小学生に合唱を教えている先生は、発声練習の指導に苦労しているのではないでしょうか。
発声練習は準備運動のようなものでとても大事ですが、小学生には退屈に感じ、ちゃんと取り組んでくれないこともあるでしょう。
この記事では、小学生でも楽しい合唱の朝の発声練習について説明します。
生徒が発声練習に真面目に取り組むようになれば、歌い方がガラッと変わり、合唱コンクールでもいい評価をもらうことができるかもしれません。
朝の時間を有効活用して楽しく発声練習をしてみましょう。
まずは、発声練習をする目的について説明します。
小学生の合唱の発声練習の目的は?
小学生に合唱の発声練習をさせる目的は、無理なくきれいな発声ができるようにするためです。
小学生はきれいに歌うことよりも、とにかく大きな声で歌おうとしがちです。喉に負担がかかる「どなり声」のような歌い方をしないように指導しなければなりません。
そのためにはどのように声を出せばいいのか体に覚えこませる必要があります。これが発声練習です。
正しい声の出し方を覚えれば長時間美しい声で歌うことが可能です。
また中学生や高校生になっても合唱をする機会はあるため、小学生のうちから発声方法を身につけておくと今後も役立つでしょう。
どなり声はなぜ起こる?
どなり声とは、地声で過度な声量を出して歌う歌い方のことです。小学校低学年の生徒は特にこの歌い方をする傾向があります。
どなり声で歌ってしまう原因としては、以下が考えられるでしょう。
- 大声で歌うことが楽しいため
- 「元気に歌いましょう」という指導への誤解のため
- 高い音を地声で歌おうとするため
それぞれについて詳しく見ていきます。
大声で歌うことが楽しいため
大声で合唱したり発声練習したりすることが楽しい小学生は、どなり声で歌うことがあるでしょう。
どなり声は問題ですが、合唱を楽しんでいるというのは素晴らしいことです。
この場合、歌を楽しいと思う気持ちを損なわないよう注意しながら、どなり声を出さないよう指導していく必要があります。
「元気に歌いましょう」という指導への誤解のため
合唱や発声練習のとき、先生は「元気に歌いましょう」「大きな声で歌いましょう」と指導することが多いのではないでしょうか。
先生はそれを決してどなり声で歌ってという意味で言っているのではないのですが、小学生はその言葉を誤解してしまい、元気に大声で歌おうとしてどなり声になってしまうことがあります。
高い音を地声で歌おうとするため
まだ裏声を使うことができない小学生や、裏声で歌うことに慣れていない小学生は、高い音を地声で歌おうとしてどなり声になってしまうことがあります。
この場合は、裏声での歌い方をしっかりと教える必要があるでしょう。
どなり声はなぜ起こる?
- 大声で歌うことが楽しいため
- 「元気に歌いましょう」という指導への誤解のため
- 高い音を地声で歌おうとするため
どなり声で歌うと喉を傷めやすくなります。
また、小学校中学年、高学年になるにつれ歌の難易度が上がりどなり声で歌うことが難しくなってくるため、歌うことへの意欲低下にもつながりやすいという問題があります。
どなり声で歌うことを解消するためにも発声練習を正しく行わなければなりません。
発声練習では何をする?
それでは、合唱の発声練習で主に何をするのか見ていきましょう。
姿勢、ブレス、口の開き方の確認
まず歌うための基礎となるところを、発声練習の際に確認しましょう。
姿勢は、体が安定するように足を少し開き、背中やお腹が出ないようにまっすぐ立ちます。
ブレスは胸式呼吸ではなく、腹式呼吸を練習させましょう。腹式呼吸の方がたっぷりと息を使って歌うことができます。
また、口は無理に大きく開こうとさせないでください。歌いやすい程度に開き、上あごを高く上げ舌は下げて、口の中の空間を広くするイメージを持つよう指導しましょう。
姿勢 | ・足を少し開く ・背中やお腹が出ないようまっすぐ立つ |
ブレス | ・胸式ではなく腹式呼吸でたっぷり息を吸う |
口の開き方 | ・無理に大きく開こうとしない ・上あごを上げ、舌を下げて、口内の空間を広くするイメージ |
音階練習
「ドレミファソファミレド」「レミファソラソファミレ」・・・のように順番に音を上げていき、だんだんと高い音まで発声していく練習です。
ある程度の高さまで到達したら、今度は逆に音をだんだんと下げていきます。
発声するときは上記のような音名ではなく、「♪アアアアアアアアアー」とすべて母音の「ア」の音で発声します。他の母音で練習するのも良いでしょう。
低い音から順につないで滑らかに歌うことで、高い音でも出しやすくなります。
スタッカートの練習
「♪ハッハッハッハッハー」とあいだを開けてスタッカートで発声する練習です。
「ドミソミド」「レファラファレ」・・・のように、分散和音で練習することが多いでしょう。順番に音を上げていく点は音階練習と同じです。
この発声をすることで、腹筋を活用してリズムよく歌うための練習になります。
発声練習では何をする?
- 姿勢、ブレス、口の開き方の確認
- 音階練習
- スタッカートの練習
では次に、小学生でも楽しい合唱の朝の発声練習をご紹介します。
小学生でも楽しい合唱の朝の発声練習は?
朝の時間を活用して発声練習をするのはおすすめです。
合唱の発声準備になる以外にも、朝から体をほぐして声が出るようにしておくことで全身がしっかりと目覚め、気持ちよく一日を過ごせるでしょう。
しかし、発声練習はあまり面白くないと思う小学生が多いかもしれません。
歌のように歌詞があるわけではありませんし、リズムも単調だからです。
小学生が楽しいと思えるような合唱の発声練習にするにはどうすれば良いのでしょうか?
発声前の準備体操をしよう
まずは声がよく出るように、準備体操をして体をほぐしてみましょう。ダンスや体を動かすゲームなどでも構いません。
少し遊び要素のあるものの方が生徒も興味を持って参加してくれるでしょう。
発声練習の仕方を工夫しよう
体がほぐれたら発声練習をします。上記で紹介したような基本的な音階練習やスタッカートの練習の他にも工夫した練習をしてみましょう。
例えば、歌を歌詞ではなくすべて音名で歌わせてみてください。
自分が歌っている音が何なのかを意識づけることができます。楽譜の読み方も理解しやすくなるでしょう。
また、スタッカートの練習なら「犬のおなか」という練習曲を用いてみてはいかがでしょうか。
「♪犬のおなかがハハハハハ・・・」と「ハ」をくりかえす歌詞になっていてスタッカートの練習になります。
歌になっていることで、単純に音階で練習するよりも小学生が楽しんでくれるでしょう。
どなり声を解消しよう
小学生にありがちなどなり声を解消するには、まずは楽に歌える音域の簡単な歌を練習してみましょう。
高音を地声で歌おうとすることでどなり声になりやすくなってしまいます。地声で歌う方が大きな声が出せて小学生は楽しいからです。
そこで、歌を楽しむ気持ちは大事にしつつ、無理のない音域で楽に歌うことを教えるのです。
また、徐々に裏声で歌うことも教えていきましょう。高音を出すときは裏声を使うということを覚えれば、どなり声で歌うことは減っていくでしょう。
小学生でも楽しい合唱の朝の発声練習は?
- ダンスや体を使ったゲームで、発声前の準備体操をしよう
- 音階練習だけでなく練習曲を使うなど発声練習の仕方を工夫しよう
- 楽に歌うことを教えてどなり声を解消しよう
⇒合唱コンクール歌わない生徒を歌わせる方法は?歌わない理由や伝え方も!
続いて、朝の発声練習をする上で気を付けることを説明します。
気を付けることは?
どなり声の原因のひとつが、指導者が「元気に歌いましょう」と教えることです。その指導に素直に応える子どもは、大きな声で歌おうとしてどなり声になってしまいがちです。
「元気に歌いましょう」「大きな声で」などの声掛けはできるだけせず、きれいに歌うことや、周りの声とピアノ伴奏を聞くことを小学校低学年のうちから教えましょう。
また、小学生が興味を持って合唱の発声練習に取り組めるよう、都度教え方を工夫していくことを忘れないでください。
一度の指導がうまくいったからと言って、同じ方法をずっと続けていると生徒は飽きてしまうかもしれません。
音楽の授業は声を出すため開放的になり、生徒同士でおしゃべりをしたり勝手に歌いだしてしまったりと収集がつかなくなることもあります。
そんなときは声を荒げて怒るなどはせず、どうすれば小学生の興味を惹けるか、どうすれば合唱の発声練習を楽しいものと思ってくれるかを常に試行錯誤してみることが大事です。
<曲選びに困ったら…課題曲一覧はこちら>
⇒合唱コンクール課題曲の歴代を一覧で!小学校・中学校・高校向けに分類したよ!
まとめ
ここまで、小学生でも楽しい合唱の朝の発声練習について説明してきました。
どうすれば小学生が発声練習に取り組んでくれるのか悩んでいる先生は参考にしてみてください。
小学生が合奏の発声練習を退屈に感じていることがわかったら、指導方法を考え、試してみることが大事です。
諦めて惰性で教えてしまっては生徒も受け入れてくれません。
また、先生が音楽を楽しんでいるかどうかも生徒には伝わります。楽しく教えていれば生徒もそれを感じ取り、一緒に楽しんでくれるでしょう。
小学校高学年の指導の場合は、発声練習を行う意味を伝えてみるのも良いかもしれません。何のためにその練習をするのかがわかれば生徒も取り組みやすいでしょう。
朝の時間を有効活用して、ぜひ楽しく効果的に発声練習をしてみてください。