普段フルートを吹いている人が、吹奏楽やオーケストラで持ち替えて演奏することが多いピッコロ。
しかしピッコロ初心者は、最初はフルートとの吹き方の違いに戸惑うかもしれません。
高音や低音のきれいな吹き方がわからず、ピッコロに苦手意識を持っているという方もいるでしょう。
そこで、ピッコロ初心者の吹き方のコツと、高音・低音のおすすめの練習法をご紹介します。
まずはピッコロとフルートの吹き方の違いを見ていきましょう。
ピッコロとフルートの吹き方の違いは?
フルートより1オクターブ高い音が出るピッコロ。華やかでかわいらしい音色が特徴です。
フルートの半分ほどの長さで、構え方も運指もフルートと基本的に同じですが、吹き方には違いがあります。
ピッコロはフルートより全体的にサイズが小さく、歌口も小さいです。また、フルートにはリッププレートが付いていますが、ピッコロはリッププレートが付いていないものが多いです。
そのため、ピッコロを吹くときはアンブシュア(口の形)や息を吹き込む角度を調整して、フルートの吹き方と変える必要があります。
またピッコロは管が細いため、フルートと同じように吹くと息の量が多すぎます。吹き込む息が多いと、音が割れてしまうなどしてきれいな音色を出すことができません。
ピッコロとフルートの吹き方の違い
- アンブシュア
- 息を吹き込む角度
- 息の量
形状は似ているピッコロとフルートですが、このように同じ吹き方ではうまく吹くことができないのです。
では、ピッコロをうまく吹くには具体的にどうすれば良いのでしょうか。
初心者がピッコロを練習するときの吹き方のコツを見ていきましょう。
ピッコロ初心者の吹き方のコツ!
ここでは、ピッコロを初めて練習する方が意識すると良いおすすめの吹き方を
- 姿勢
- 口
- 息の入れ方
- 指
の4つのポイントに分けて説明します。
姿勢
まずは姿勢についてです。
ピッコロを吹くときの持ち方は基本的にフルートと同じです。楽器を下から両手で支え、顔の横に水平より少し下げて構えます。
ただし楽器のサイズが小さいため、フルートよりもコンパクトに構えることになります。
コンパクトに持つことで手や肩に力が入ってしまわないよう注意してください。
力が入ると体が硬くなり、音色がぎこちなくなったり高音がうまく出なくなったりしてしまいます。
口
次に、口についてです。
ピッコロはフルートより歌口が小さいため、より細い息を出せるようにアンブシュアを調整し、アパチュア(息の通り道)を小さくする必要があります。
とはいっても、唇の先をとがらせてしまうのはやりすぎです。唇の先端部分で息の流れが乱れ、音色が荒くなりやすいので注意しましょう。
口に余計な力が入ると唇が尖ってしまうので、軽く微笑む程度に口角を引き、唇の先は楽にすると良いでしょう。
息の入れ方
次に、息の入れ方についてです。
息を送り込むときは、歌口が小さい分、より繊細に息をコントロールしなくてはいけません。
息が外に漏れてしまわないよう、フルートを吹くときよりも内側(自分から見て手前側)に角度をつけて吹き込むよう意識すると良いでしょう。
また、使う息の量はフルートの半分程度で十分です。
しかし、少ない息で吹くというのは決して弱く吹くというわけではありません。
音域がオクターブ上がる分、楽器に当てる息の圧力が必要です。
お腹でしっかりと支えて、少量でも圧力のあるまとまった息を吹き込むようにしましょう。
指
最後に、指についてです。
ピッコロが出す音はフルートより1オクターブ高いですが、運指はフルートと変わりません。
基本はフルートと同じように音階練習をして指使いを覚えると良いでしょう。
このとき、メトロノームを使って練習するのがおすすめです。
まずはメトロノームに合わせて四分音符で一音ずつ丁寧に練習します。慣れてきたら四分音符から八分音符にして倍速で練習したり、付点や逆付点のリズムで練習したりしてみましょう。
ピッコロは速いフレーズを吹くことも多い楽器です。このような基礎練習をしっかりしておくことで、速吹きにも指が対応できるようになるでしょう。
ピッコロ初心者の吹き方のコツ
- 姿勢:フルートよりコンパクトに構えるので力が入らないよう注意する
- 口:アンブシュアを調整しアパチュアを小さくする
- 息の入れ方:フルートを吹くときよりも内側へ角度をつけ、少量で圧力のある息を吹き込む
- 指:メトロノームを使って様々なリズムで音階練習をする
練習しているうちに、「高音が思うように出ない!」「低音が吹きにくい・・・」というような悩みが出てくるかもしれません。
次はピッコロの高音の吹き方を見ていきましょう。
高音の吹き方のコツは?
ピッコロの高音域のフレーズは曲の中での大事な見せ場です。
しかし高い音を当てることが難しく、外してしまったらどうしようとプレッシャーに感じてしまう人も多いでしょう。
高音を出すときはまず息のスピードや圧力を保つことを意識しましょう。ただし息が強すぎるときつい音になったり音程が上ずったりするので注意してください。
また高音の練習をする際は、苦手な音だけをひたすらロングトーンで練習するのではなく、別の音からスラーでつなげて練習するのがおすすめです。
例えば、3オクターブ目の「ミ」の音を出したい場合。
一番低い「ミ」から吹き始めて、スラーでオクターブを変える練習をしましょう。音の高さによって息のスピードやアンブシュアを調整しなくてはならないため、その感覚を身につけることができます。
または、吹きやすい高さの音からスラーでつなげて吹くのも効果的です。「ラ・シ・ド・レ・ミ」のように順番につなげて吹けば、高音の「ミ」を出す感覚をつかみやすいでしょう。
一番大事なのは、高音が当たると思って吹くことです。
「外してしまうかも・・・」と思って吹くと、姿勢や吹き方に表れてしまい余計にうまくいきません。
高音の吹き方のコツ
- 息のスピードや圧力を保つ
- 出すのが苦手な音は別の音からスラーでつなげて練習する
- 高音を外すことを心配せず、当たると思って吹く
では、続いてピッコロの低音の吹き方を見ていきます。
低音の吹き方のコツは?
高音の難しさが目立つピッコロですが、中には低音の吹き方に悩む人もいるでしょう。
低音がうまく出ない原因として考えられるのが、高音を出すようなアンブシュアと息遣いで吹いてしまうことです。
フルートよりオクターブ高い音を出すため、ピッコロの低音域の音はフルート奏者からすると高い音に感じてしまうかもしれません。そのため、高音域のように吹いてしまいがちです。
実音は高くてもピッコロという楽器の中では低音域なのです。
それを十分意識して、高音域を吹くときよりも多少アンブシュアを広く、息をゆっくりと使うといいでしょう。
低音の吹き方のコツ
- 高音を吹くときよりもアンブシュアを広くする
- 高音に比べて息をゆっくりと使う
最後に、トリルの吹き方についても説明します。
トリルはどうする?
トリルは、主音とその隣接する音を交互に「ピロピロピロ・・・」と鳴らす装飾音です。
素早くきれいなトリルには曲をきらびやかな印象にする効果があります。
ピッコロでトリルをする場合、「トリルキー」というトリルを吹きやすくするキーを使うか、もしくは「替え指」を使います。
替え指とは通常の音階の指使いとは異なる指で目的の音を出すことです。通常の指使いではトリルがやりづらい場合、替え指を使うことが多いでしょう。
替え指の押さえ方はピッコロとフルートで異なることがあり、フルートで使いやすい替え指がピッコロでも使えるとは限らないので注意してください。
市販のテキストやインターネットでピッコロ用の運指表を確認すると良いでしょう。
トリルの吹き方
- 「トリルキー」または「替え指」を使ってトリルをする
- ピッコロとフルートで替え指が異なることがあるため、テキストやインターネットで運指表を確認すること
<ピッコロに関する詳しい記事はこちら!>
⇒ピッコロの値段の違い・相場や中古の値段は?初心者が購入するのにおすすめはどれ?
⇒ピッコロ頭部管のみで吹いた音程と音色はフルートと違いがある?木や金属製で違う?抜くときの注意点も
まとめ
今回、ピッコロの吹き方のコツや高音・低音の練習法、トリルの吹き方をご紹介しました。
初心者の方だけでなくピッコロの吹き方に悩んでいる方も参考にしてみてください。
フルートと持ち替えて吹くことが多いピッコロ。フルートと似た楽器ではあるものの、同じように吹くとどうしてもつまずいてしまうことがあります。
フルートにはフルートの、ピッコロにはピッコロのアンブシュアや息遣いがあることを意識して、2つの楽器を吹き分けましょう。
またピッコロだけ、もしくはフルートだけに練習量が偏ってしまうのはおすすめできません。
片方の楽器のくせがついてしまうと持ち替えたときにうまく吹くことができなくなってしまうためです。
吹奏楽でピッコロパートになった方などはどうしてもピッコロの練習に偏りがちですが、どちらの楽器でも良い音色をコントロールできるよう、十分練習しておきましょう。