バスクラリネットを吹くにあたって必ず必要になってくるマウスピース。
「直接音色に影響はないんじゃない?」
「息を吹きいれるところでしょ」
と思っている方がいるかもしれません。
ところが、マウスピースは重要な役割を担っています。
マウスピース・リガチャー・リードで音色や吹奏感が変わると言っても大袈裟でないくらい大切なのです。
そこで、今回はバスクラリネットマウスピースを出している3社のメーカーを比較しながら、おすすめのものを見ていこうと思います。
バスクラリネットマウスピースのおすすめは?
バスクラリネットマウスピースを選ぶときのポイント
バスクラリネットマウスピースのメーカーはいくつかありますが、どのメーカーが良いかを知る前に、自分にあったマウスピースを選ぶためのポイントを押さえていこうと思います。
自分に合うマウスピースを見極めるためのポイントは6つです。
- 吹き心地が良い
- 音程がとりやすい
- 発音がしやすい
- よく響く音が出せる
- 音色に幅がある
- 自分の好みの音
この6つのポイントを意識しながらマウスピースを選びましょう。そして、マウスピースを選ぶ際は必ず試奏するようにしましょう。
自分が吹きやすく、思い通りの音色を出しやすいものを選ぶのが一番です。「吹きにくい」と感じるのはマウスピースにリガチャーかリードが合っていないからです。
ひとそれぞれ骨格が違えば吹き方も違います。実際に自分で吹いてみて気に入ったものを購入しましょう。
良い音色を出すためにはマウスピースだけの力だけでは難しいです。
前述にもあるようにマウスピースとリード、リガチャーが上手く噛み合ってこそ良い音色になるのです。
そこでマウスピースとリードの関係をおさえておきましょう。
マウスピースとリードの関係性
リードは湿度などで変化するので、吹く度に状態が変わる可能性がありますが、マウスピースは変化がほとんどありません。
だからこそ最初に購入する際、自分に合ったものをちゃんと選んでおく方が良い音色を出す近道になるのです。
試奏で自分に合うマウスピースを見つけるのはもちろんなのですが、マウスピースを見てある程度選別することができます。
マウスピースの構造で奥のバッフルやチェンバーは見えづらいので良いものか悪いものか判断するのが難しいです。
だからサイドレールなどの見える部分で判断しましょう。
- サイドレールの幅が左右で差がある
- ティップオープニング(リードの先端からマウスピースの先端の幅)の開きが左右で差があると精度の面であまり良くない
左右差がなく均一であるマウスピースであれば、リードとの相性が良くなります。
<バスクラリネットのリード詳しくはこちら>
⇒バスクラリネットのリードの厚さ・選び方・おすすめメーカーは? 育て方も知っておきたい
マウスピースの開きについて
マウスピースの開きが広いものの特徴
音色としてはティップオープニングの開きが広い方が息通りが良くなるので豊かでパワフルな音色を出せます。
リードミスが多くて悩んでいる方は、マウスピースを噛んだり締め付けることで起こるので、開きが広いものを選ぶことで改善される場合があります。
マウスピースの開きが狭いものの特徴
逆に開きが狭ければ息を多く入れる必要がないので楽に明るめの音を出せます。
迫力といった点では開きが広い方に劣りますが、その分音程のコントロールがしやすいので、初心者におすすめです。
マウスピースの開き | 音色 | 特徴 |
広い | 豊かでパワフル |
|
狭い | 楽に明るめの音が出せる |
|
マウスピースとリードの相性も吹きやすさにも影響してきます。
ティップオープニングの開きが広いマウスピースに硬めのリードを合わせると吹きづらくなることがあります。
マウスピースの作りからわかる特徴を踏まえた上で、いくつかの硬さのリードを使い試奏するとより自分に合うマウスピースを見つけられると思います。ぜひ、試してみてください。
また、ティップオープニングの開きと合わせてフェイシング(リードの先端からマウスピースとリードが接する点までの長さ)もマウスピース選びには重要です。
マウスピースのフェイシング
フェイシングの長さが短ければ音色をコントロールしやすく、クリアな音を出すことができます。音の立ち上がりもよく吹きやすいので、初心者に向いています。
逆に長さが長いと若干コントロールはしづらくなりますが、豊かで丸みのある音色を出すことができます。
フェイシング | 音色 | 特徴 |
長い | 豊かで丸みがある |
|
短い | クリア |
|
ここまでマウスピース選びのポイントを説明してきました。では、実際にどこのメーカーのどのモデルがおすすめかをみていきます。
セルマーのおすすめ
セルマーには2種類のバスクラリネットマウスピースがあります。
フォーカス
1つ目はフォーカスです。こちらはティップオープニングが1.9mmで、吹奏楽におすすめのマウスピースです。
開きを小さくしたことによりコントロールがしやすくなっているのが魅力です。どの音域に対しても幅広く柔軟な音を出すことができ、自然な響きを得られるモデルです。定価は9280円です。
- ディップオープニング:1.9mm
- 開きが小さいのでコントロールしやすい
- 幅広く柔軟な音が出せる
- 定価9280円
コンセプト
2つ目はコンセプトです。こちらも吹奏楽の定番です。フォーカスよりもティップオープニングの開きが2.15mmと広い分、どの音域でも音の広がりを得られるモデルです。こちらも同じく定価が9280円です。
2種類ともエボナイト製で最も一般的な素材でできています。
- ディップオープニング:2.15mm
- どの音域でも音の開きが得られる
- 素材はエボナイト製
- 定価9280円
次にヴァンドレンから出されているバスクラリネットマウスピースをみていきましょう。
ヴァンドレンのおすすめ
ヴァンドレンからはトラディショナルとブラックダイアモンドという2つのモデルが出ています。
いずれのバスクラリネットマウスピースもエボナイト製です。
ヴァンドレンのバスクラリネットマウスピースは他のメーカーと比べても格段に高額ですが、その分吹きやすさや音色にバリエーションがあります。
- 2つのモデル共、素材はエボナイト製
- 吹きやすさ音色にバリエーションがある
- 価格が高額
トラディショイナル
1つめにトラディショナルですが、ティップオープニングの開きが
- 1.84mmのB44
- 1.93mmのB40とB45
- 2.15mmのB50
があります。
B40
B40の方が軽めのリードで程よい抵抗感で吹けます。音がコンパクトにまとまり、高音もきれいに出せます。
その代わりタンギングと息のコントロールが少し難しいので、経験者の方に向いているマウスピースです。
B44
B44はクラシック演奏用にデザインされたものです。
吹きやすく人気があるモデルです。
B50はバスクラリネットマウスピースの中でも最もティップオープニングが広く、フェイシングが長いモデルです。
ダイナミックで深みのある音色を出せるのが特徴です。
柔らかめのリードと相性が良く高音域でも豊かな音色を奏でられます。
B40、B44、B50ともに定価が23,220円です。
ブラックダイアモンド
2つめはブラックダイアモンドです。
BD5というモデルでティップオープニングは1.87mmです。鳴らしやすく、どの音域でも均一の音質で鳴らすことができるため初心者から上級者まで幅広く愛されています。
音色は色彩豊かで深みがあり、丸みのある音色をしています。音程も合わせやすいです。B♭クラリネットと同じアンブシュアで吹くことができます。
定価は24840円と少し高額ではありますが、音色と吹きやすさを兼ね備えたバスクラリネットマウスピースですので、かなりおすすめです。
自分がどのような音色を出したいかというのにあわせて選んでみるとよいでしょう。
では、最後にヤマハから出ているバスクラリネットマウスピースを紹介します。
ヤマハのおすすめ
ヤマハは他のメーカーと違い合成樹脂で作られたマウスピースを採用しています。4Cというモデルでティップオープニングが1.70mmと他社と比べても一番狭いです。
鳴らしやすく、値段も定価3500円とリーズナブルなのでバスクラリネットを始めたばかりの初心者に向いているといえます。
なので、バスクラリネットを吹きはじめて間もない頃に初めて購入するマウスピースとしては良いでしょう。
- 素材が合成樹脂製
- 4Cのモデルはティップオープニングが1.70mm
- 他社に比べるとティップオープニングが狭い
- 音が鳴らしやすい
- 定価3500円とリーズナブル
- 初心者の方におすすめ
メーカー | モデル | 素材 | ティップオープニング | 音 | 価格 |
セルマー | フォーカス | エボナイト製 | 1.9mm | 幅広く柔軟な音 | 9280円 |
セルマー | コンセプト | エボナイト製 | 2.15mm | どの音域でも音の開きが得られる | 9280円 |
ヴァンドレン | B40 | エボナイト製 | 1.93mm | 音がコンパクトにまとまり高音もきれいに出せる | 23220円 |
ヴァンドレン | B44 | エボナイト製 | 1.84mm | 吹きやすく豊かな響き | 23220円 |
ヴァンドレン | B50 | エボナイト製 | 2.15mm | ダイナミックで深みのある音 | 23220円 |
ヴァンドレン | BD5 | エボナイト製 | 1.87mm | 色彩豊か、丸みのある音 | 24840円 |
ヤマハ | 4C | 合成樹脂 | 1.70mm | 音が鳴らしやすい | 3500円 |
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まとめ
今までバスクラリネットマウスピースをメーカーやモデルごとに特徴をおさえながらみてきました。メーカーによって特徴が異なれば、価格もかなり変わります。
だからこそどのような音色が出せるのか、吹きやすさはどうなのかを予め知った上でマウスピースを選びましょう。
マウスピースで音色は変わりますから、よく見て、必ず試奏して自分に合うものを決めるのが一番です。
そして、バスクラリネットマウスピースは消耗品です。どんなに丁寧に扱っていてもマウスピースは少しずつ傷が入り摩耗しています。
そうなるとやはり質は落ちてしまいます。半年~1年に1回買い換えられるといいですが、それが難しい場合は2・3年に1度は買い換えることをおすすめします。
そのタイミングでバスクラリネットマウスピースのランクアップを図るといいかもしれませんね。
自分に合ったマウスピースを使うことが上達への近道です。ぜひ吟味して自分好みのバスクラリネットの音色が出せるようになりましょう。