バスクラリネットを演奏するときに必ず必要となるリード。きれいな音を奏でるためにも良いバスクラリネットリードを使いたいと思っている方は多いと思います。
だけど、実際どんなバスクラリネットリードを選べばいいのか、どのメーカーのものを使えばいいのか悩んでしまうことはありませんか。
リードは硬さや、厚み、削り方で音質がずいぶんと変わってきます。
そこで、自分にあったバスクラリネットリードの厚さ、バスクラリネットリードの選び方を探っていきましょう。また、バスクラリネットをより良い状態で保つための育て方もあわせてみていきましょう。
では、はじめにバスクラリネットのリードの素材と基本から学んでいきますよ。
目次
バスクラリネットのリードの素材と基本
バスクラリネットは、葦(あし)と樹脂製(じゅしせい)の2種類の素材が市場に出回っています。
ここでは、バスクラリネットの2種類の素材の特徴やメリット・デメリットに加えて、バスクラリネットのリードの基本をご紹介します。
バスクラリネットのリードの素材【葦(あし)】
リードを口に含むと、少し青っぽさを感じたことはありませんか。実は、リードは葦(「あし」または「よし」)というイネ科の植物からできています。
イネ科というと、お米がイメージされますが、葦は食用というよりも生活雑貨(葦簀(よしず)というすだれや夏用の風通し抜群の障子)での使い道が一般的です。
バスクラリネットのリードの素材【樹脂製(じゅしせい)】
石油をもとにして作られた合成樹脂(ごうせいじゅし)でできています。
バスクラリネットのリードに使用される合成樹脂は「熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)」と呼ばれるもので、リード自体に柔らかさを感じさせる特徴を持ちます。
素材別で違う選ぶメリット×デメリット
葦と樹脂製の2種類の異なる素材が持つメリットとデメリットをご紹介します。
葦性リードのメリット
〇手頃な価格のため、楽器を始めた人でも躊躇なくリードを購入できる。
〇天然加工のため、温度や湿度、演奏者の状態が音に反映されるので、バリエーション豊富な音で演奏を楽しめる。
葦性リードのデメリット
×葦は加工したからといって、天然ものなので温度や湿度に左右されるので音色が安定しない。
×温度や湿度に左右されやすいので、管理を怠れば脆くなりやすく、リードの交換を頻繁に行わなければならない。
×固さが原因で、水分をなかなか吸わないので、演奏するまでの準備時間がかかってしまう。
樹脂製リードのメリット
〇人工物のため、温度や湿度に左右されることなく安定的な音色を保てる。
〇温度や湿度に左右されないので、比較的長い期間1枚のリードを使用できる。
〇演奏前にリードに水分をほどよく含ませる手間が省けるので、すぐに演奏ができる。
樹脂製リードのデメリット
×1枚のリード価格が高いので、パッケージを見て自分に合うかを判断しなければならない。
×人工加工のため、音色は安定するが曲に伴う音のバリエーションに違いを生みにくい。
×柔らかさが原因で、音が上ずってしまう場合がある。
バスクラリネットのリードの基本
バスクラリネットのリードは、葦素材や樹脂製素材に関わらず、空気の振動が音を生み出す造りをしているのが基本になっています。
では、バスクラリネットリードの素材と基本が確認できたので、次にバスクラリネットのリードを選ぶうえで、気にかけたい厚さに注目していきましょう。
バスクラリネットリードの厚さ種類・最初は3番がおすすめ
葦素材のバスクラリネットを使い、バスクラリネットを吹く時、次のような困りごとを感じた方もいるのではないでしょうか。
- 良い音を出したいけど、厚いリードだと重くて吹けない。
- 薄いリードだと音が広がってあまりきれいな音が出ない。
このように、リードは音色を伴った厚さによって困りごとも変わってきます。
ですから、リードを選ぶときには何番のリードを選ぶかがとても大切になってくるんです。
リードは、番号が小さいほうが薄く・柔らかさもあり、大きい番号になるにつれて厚く・硬さが感じられるのがポイントです。
薄いリードであれば軽く明るい音色に、厚いリードであれば深く豊かな音色になりやすいといわれています。
厚いリードの方が息を入れたときにリードが振動しづらいので、吹きにくく感じます。ですから、厚いリードを吹くときはより息の量がいるわけなんですね。初心者や肺活量が少ない方であれば、3番から始めるのがおすすめですよ。
バスクラリネットリードの厚さの種類は様々です。メーカーによって、種類によって異なってきますから、参考までにバンドレンのリードの対比表を載せておきますね。
バンドレン・対比表→ http://www.nonaka.com
バスクラリネットリードの厚さでどう音色が変わってくるのかはわかりました。
それでは、具体的にどのようにバスクラリネットリードを選んでいけば良いのかを次にみていきましょう。
リードの選び方は厚さや傾斜など自分にあったものを選ぶのが正解
葦素材のバスクラリネットリードを選ぶときには、気をつけるべき3つのポイントがあるんです。
- リード全体の厚さ
- 先端部分の厚みと傾斜
- マウスピースとの相性
リード全体の厚さ
バスクラリネットの演奏初心者の方は慣れるまでは薄めのリードから選んでいくのがおすすめです。
厚めのリードは、水分を含むのに準備が必要ですし水分は含みすぎても音色に影響するという手間がかかるからなのです。
先端部分の厚みと傾斜
リードは、ティップと呼ばれる部分が薄いほど柔らかく、厚いほどしっかりとした大きな音色を出すんです。
さらに、傾斜がゆるやかなものほど音を出す際にブレが少なく、音が出しやすいのも特徴なんです。
ただ、リードは厚くなるほど肺活量が必要になるので音が出しにくく感じるので注意して選んでくださいね。
マウスピースとの相性
バスクラリネットリードを購入する際は試し吹きができません。
ですから、リードを箱から取り出したときにはできれば全てのリードを試しに吹いてみるのがおすすめです。リードは、1枚1枚が日ごとの気温や湿度で状態が変わってしまうからです。
また、リードの保管にはリードケースを用いるのもおすすめです。リードケースを使えば、毎日の気温や湿度の異なる状態からも多少はリードを守ってあげられるからなんですよ。
さて、ここまで自分にあったバスクラリネットリードの選び方をお話ししてきましたが、いざバスクラリネットリードを購入するとなったら、一体どこのメーカーを選んだら良いのかと悩んでしまいますよね。
そこで、気になるバスクラリネットのおすすめメーカーを次ではご紹介していきますよ。
<バスクラリネットのマウスピースおすすめはこちら>
⇒バスクラリネットマウスピースのおすすめは?セルマー、ヴァンドレン、ヤマハの比較も
おすすめのメーカーは?
バスクラリネットの葦素材のリードで有名な3社のメーカーをあげます。
- バンドレン
- ダダリオウッドウィンズ
- ゴンザレス
バンドレン
老舗メーカーのバンドレンは、クラリネットやサックスのリガチャーやリードを作っています。
音色が違う多種多様な種類のリードが出回っているので、初心者から上級者まで様々な人に対応したバスクラリネットリードを購入することができます。
購入してすぐでも吹きやすいイメージなのがバンドレンです。
種類が細かく分かれているので簡単に紹介します。
トラディショナル(青箱)
最も一般的なリードです。初めて購入する人におすすめの商品です。
演奏ジャンルや演奏レベルに関係なく多くの人に使われているリードです。
V12(銀箱)
トラディショナルよりも立体感のある音を出すことができるリードです。
少し違う音色にしたいと思っている人におすすめです。
V21
透明感があり、あたたかく芯のある音色が出ます。
ルピック56
厚めのリードで、全音域でバランスの良いのが特徴です。
豊かで芯があり、純粋な音が出ます。一部リードの厚さが細分されています。
ダダリオウッドウィンズ
2社目は以前リコという名称だったダダリオウッドウィンズです。
ダダリオはもともとギターやベースの弦でなじみの深かったメーカーでしたが、リコを傘下にすることで商品の幅が広がったメーカーです。
自社開発、自社生産で製造されており、常に安定した高品位をキープしています。また、リードの番号が2から4.5で一部+を用意して細かく厚さを変えているのが特徴です。
リコグランドコンサートセレクト
バランスが良く、均一の吹奏感がでます。
バスクラリネットリードレゼルヴ
高精度のカットマシンを用いて作られたプレミアムリードです。
幅広いダイナミクスで演奏可能な柔軟性があります。リードの先端が薄いため発音性やアーティキュレーションがつけやすくなっています。
ゴンザレス
3社目にあげるのがゴンザレスです。
自社栽培のケーンを使用しリードを製造しています。
ゴンザレスのリードの特徴は3・1/4というように1/4ステップのラインナップになっているところです。
ゴンザレスのモデル種類
- クラシックに適したクラシックモデル
- 密度が濃くまろやかな音色を出すことができるレギュラーカットモデル
初心者であれば、一番ポピュラーなバンドレンのトラディショナルから始めてみるのが良いと思います。
そして、吹くことに慣れてきて、音色にこだわりたくなったときにメーカーを変えてみる、同じメーカーの違う種類のものを選んでみるようにしてみましょう。
また、楽器店に行くとメーカー別にリードの厚さを対比する表が置いていることもあるので、参考にして選んでみると間違いないですよ。
参考メーカー・モデル・特徴
メーカー | モデル | 特徴 |
バンドレン | トラディショナル | 演奏ジャンルに関係なく多くの人に使われているリード |
バンドレン | V12 | 立体感のある音色 |
バンドレン | V21 | 透明感があり、あたたかい音色 |
バンドレン | ルピック56 | 豊かで芯がある純粋な音 |
ダダリオウッドウィンズ | リコグランドコンサートセレクト | バランスが良く均一の吹奏感 |
ダダリオウッドウィンズ | バスクラリネットリードレゼルヴ | 幅広いダイナミクスで演奏可能な柔軟性 |
ゴンザレス | クラシックモデル | コントロールが容易でピュアな音色 |
ゴンザレス | レギュラーカットモデル | 密度が濃くまろやかな音色 |
楽器店などで、自分にあったリードが見つかったらできるだけ長くそのリードを使ってあげたいですよね。
そこで、長く良い状態を保つためのバスクラリネットリードを育てる方法についてもみていきましょう。
リードの育て方は湿度に気をつけよう
葦素材のバスクラリネットのリードは1箱に5枚入っているものが多いんです。その中で、1枚も使えるものがない…となるとかなり困ってしまいますね。
そこで、リードを育てていくということが必要になってきます。
メンテナンスをきっちりとするだけで、バスクラリネットリードは長持ちします。
同じリードばかりを使っていると1枚1か月ほどしかもちません。吹きやすいリードを3枚ほど見つけてローテーションを組み使いまわすと長持ちします。
また、適度な湿度を保たせたほうがリードは長持ちします。
吹きやすいリードを育てていくためにもリードケースを購入しまっすぐリードを保管できる状態にしましょう。
今はリードケース内の湿度を一定に保てるモイスレガートという商品が出ているので、それを使用し良い状態を保つのも一つの手です。
吹きづらいバスクラリネットリードの割合が多い場合も中にはあるかもしれません。
そのようなときはバスクラリネットリードを干して乾かしてみる、水につけておく、ということをすると吹きやすくなります。
手入れをしていれば、バスクラリネットリードの状態も変わりますから長い目で見てリードを大切に育てていきましょう。
<リードの育て方>
- メンテナンスをしっかりする
- 同じリードばかり使うのではなく3枚程見つけてローテーションする
- リードケースに保管し、リードをまっすぐな状態に保つ
- モイスレガートを使用し湿度を一定に保てる状態にする
- 吹きづらいリードは干して乾かすか、水につけてみる
リードは本番用以外をローテーションで使うのがおすすめ
バスクラリネットリードを長持ちさせるためにも、自分が吹きやすいと思ったリードばかりを毎日使うのではなく、自分で吹きやすいと感じるリードをいくつか見つけておくのがポイントです。
前もって、吹きやすいリードを選んでおけば、ローテーションで使えるのでおすすめなんですよ。
まとめ
今までバスクラリネットリードについてみてきましたが、やはり自分にあったバスクラリネットリードを見つけることが一番です。
最初に考えるのは自分が吹きやすいものを選ぶこと。
バスクラリネットリードでもたくさん種類があるのでメーカーの特色や厚さを参考に購入するものを選びましょう。
吹きやすいものが見つかれば、自分好みの音色が出せる厚さや種類を選べばよいです。
自分にぴったりなバスクラリネットリードを見つけて演奏を、音楽を楽しんでいきたいですね。