ギターを始めてみたけれど「何を練習して良いのか分からない」とか「教則本の基礎練習は退屈で飽きてしまった」という方は意外に多いと思います。
初心者のうちは弾ける曲が限られていますから、ギターを弾く時には教則本などに載っている簡単な練習曲を選びます。しかし、そういった練習曲では物足りなくもなってしまいます。
初心者向けの練習曲でも弾いていて楽しく、カッコ良いフレーズの方が良いと思います。今回は、ギター初心者にも分かる簡単なコードを使い、楽しく弾ける練習曲を紹介しながら、上達のコツやカッコ良く弾くコツも併せて解説していこうと思います。
まずは上達のための基礎練習から始めます。
ギター初心者が上達のための基礎練習
ここでは王道パターンの中でも、特に弾き易い「Am、F、G、E」という、お馴染みのコード進行を使った基礎練習を解説していきます。
基礎練習1
こちらはキーがAmの王道パターンと呼ばれるコード進行です。コードの専門的な知識が無い方でも、実際に弾いてみると馴染みのある動きだと思います。
まずは、このコード進行を使い簡単なリズムを刻む練習をしてみましょう。
基礎練習2
先程の全音符で伸ばすだけの弾き方を、このような8ビートに変えることもできます。和音部分を強めのピッキングでアクセントを付けるとカッコ良く弾けます。
また単音部分のブリッジミュートの加減を調節し、グルーヴ感を出すことが出来ます。
「キツめにミュートするとタイト」に「軽くミュートすると疾走感」を出すことが出来ます。
初心者の方でも簡単に弾けるシンプルなフレーズですが、アクセントやミュートの加減を意識して弾くだけで、カッコ良さが倍増することが分かると思います。
プロと初心者の違いは、この小さな部分を意識するかしないかにあります。
基礎練習3
続いてはコード構成音や経過音を使用した、メロディアスなフレーズです。たった4つのシンプルなコード進行が、ここまで変わります。
ピッキングハーモニクスやヴィブラートで装飾すると、更にカッコ良くなりますので是非、試してみて下さい。
上手く聴かせる弾き方
上手く聴かせるということは「どう弾くか?」を考えて弾くことです。初心者に限らず、意外と多いのは「フレーズを弾くことしか考えていない」というものです。
例えば「基礎練習1」や「基礎練習2」のような、非常に簡単なフレーズを弾く時は、特に何も考えずに弾き始めてしまうと思います。
こちらのフレーズは誰にでも弾けるレベルの簡単なものですが、このフレーズをどう弾くかをしっかり考えることが大切です。
「ピッキングの強弱、アクセントの位置、ミュートの加減」などを考えて演奏するだけで、この簡単なフレーズが劇的にカッコ良くなります。
弾き方の例を1つ挙げると「和音は強くピッキング、各小節の3拍目の表にアクセント、ミュート軽く」といった感じです。ここにアクセントを付けると、8ビートのドラムのスネアと一緒にアクセントが付きます。また強くピッキングすることで高音が効きメリハリも生まれます。
ドラムと一体になってリズムを弾くギターも非常にカッコ良いので、ドラミングに合わせたアクセントなどを考えてみるのも良いと思います。
このような簡単なフレーズを、何も考えずにフレーズをなぞるだけの弾き方と、アクセントやミュートを考えた弾き方とを比べてみると、違いが分かりやすいと思います。
続いてはおすすめの練習曲を紹介していきます。
おすすめコード練習フレーズ5選
王道パターンのシンプルなコード進行を使い、更にギターで弾かれることの多いキーの練習曲を紹介していこうと思います。
練習の際は、クリックに合わせて弾くことをおすすめします。
Ex:1
キーはEmのミッドテンポの練習フレーズです。
単音部分は強めのミュートでタイトに、和音部分は輪郭がハッキリとするピッキングを意識し、メリハリのある演奏をするようにしましょう。
和音部分のピッキングが弱くなると、コード感が不明瞭になってしまいます。弦に対してピックの角度を平行にヒットさせるようにして下さい。
テンポが130と、ゆっくりなのでリズムが走ってしまわないように注意が必要です。裏拍を意識するとリズムが安定し、カッコ良いバックビートになります。
Ex:2
こちらもEx:1と同様にキーがEmのフレーズです。
単音部分のミュートの加減によりタイトにもなりますし、ドライブさせることも出来ますので両方、試してみると良いと思います。
7~8小節目と15~16小節目の、コードBのアルペジオではリズムが乱れてしまいがちです。ここが曲全体に緩急をつける重要な部分でもあります。しっかりと8ビートで数え、リズムが乱れないように弾くようにしましょう。
Ex:3
今度は16ビートのフレーズです。
各所に出てくるハンマリングとプリングをアクセントを付けるつもりで、しっかり鳴らし16ビートをキープするようにしましょう。低音弦のコードにプリングをかけるので、ピッキングの時と同じ音量のプリングをするようにしてみて下さい。
4小節目と8小節目にコードDが出てきますが、パワーコードのDにまつわる意外と知られていない豆知識を紹介します。
パワーコードのDは日本人は5弦5F、4弦7F、3弦7Fと押さえますが、外人は譜面のポジションで押さえます。この押さえ方は「外人D」と呼ばれています。
外人と日本人では「Dの鳴り」が違うと言われていますので、本物志向の方はこちらのDを使うようにしてみて下さい。
Ex:4
続いてはキーがF#mのフレーズです。
6弦2Fは親指を使って押さえるようにし、各所に出てくるコードヴィブラートをしっかり揺らしましょう。このヴィブラートもビートに合わせ3連符で揺らして下さい。
ヴィブラートはビートに合わせてかけるようにするとカッコ良くなります。
アップテンポのフレーズですが、6小節目からのアルペジオはバラードを聴かせるように弾くと雰囲気が出ます。更に6小節目以降は8ビートではなく4ビートでリズムを取ると緩急がつきグルーヴ感が出ます。
総合練習曲
最後に総合練習曲です。これまで解説してきましたポイントを意識しながら演奏してみて下さい。
ロック調のメロディックなリズムギター、クラシック音楽のようなアルペジオ、ブルース調のフレーズと様々なフレーズが使われている曲です。
一本調子にならないように、各パートごとに「どう弾けば聴き手にカッコ良く、そして心地よく聴かせられるか?」を考えてみましょう。
簡単なコードの簡単なフレーズでも「どう聴かせるか?」を意識するだけで劇的に演奏は上手くなりカッコ良く弾くことができます。
まとめ
楽器の演奏は、少しのことを意識するだけで格段に演奏が上達します。
1人で弾いて楽しむのも良いですが「上手く聴かせる弾き方」ということは「聴き手がいてこその弾き方」でもあります。(実際に上手い、下手は自分が判断するものでもありません)
「どう弾いたら聴き手を感動させられるか?」を「聴き手の立場になって考えながら演奏」することが大切です。
掲載した練習曲を自分なりにアレンジして弾くのも良い練習になりますし、アレンジの勉強にもなります。是非、自分がカッコ良いと思うフレーズにアレンジして弾いてみて下さい。そういった練習は作曲やアレンジに、とても役立ちます。
- 簡単な曲も「どう弾くか?」を考えて演奏する。
- 少しのことを意識するだけで上手く弾ける。
- 常に聴き手の立場で楽器を演奏する。
この3つを意識しながら、ギターがカッコ良く弾けるように練習をしてみて下さい。