バスクラリネトを始めたきっかけは、B♭クラリネットをやっていて移ってきた、初めて触ったのがバスクラリネットだった、と大まかに2種類に分けられると思います。
「見た感じ大きくなっただけなので簡単!」と意気揚揚と練習に励んでいても、運指でつまずいた経験があるのではないでしょうか?
複雑な造りをしていて、ロング管になると操作するキーの数は増えますが、人口がB♭クラリネットやAクラリネットに比べると少ないため運指表は中々見つかりません。
今回は、そんなバスクラリネットの高音域や低音域の運指についてまとめていきます!メーカーごとの違いにも触れて行きますので、ぜひご参考ください。
目次
バスクラリネットの運指表を分かりやすく
実のところバスクラリネットの運指表はほとんどないのですが、それは通常のB♭クラリネットの運指と大部分が一緒だからです。
そのためバスクラリネットでもB♭クラリネット運指表を見ることになります。
バスクラリネット専用もあるかもしれませんが、探すのが非常に大変なためその時間で練習して覚えた方が早いと言えます。
とはいえ全く違いがないわけではないので、まずはそこを説明します。
バスクラリネットは楽器自体が大きくなっているため、音孔自体を指で押さえることはなく全てカップで押さえることになります。
それにより運指上違ってくる部分は左手人差し指で抑えるキー。
そしてLow E♭以下の低音を出すための追加されたキーです。
他にもレジスタキーになど追加されたキーはありますが、自動切り替えなので操作は変わりません。
B♭クラリネットとバスクラリネットは、運指上違ってくるのは一部分のみです。これは発明当時のバスクラリネットから改良された結果、見た目は複雑ですが今のB♭クラリネットと同じ運指が使用できるようになったからです。
参考までにB♭クラリネットの運指表のリンクを貼っておきます。この運指表から少し派生するだけでバスクラリネットの運指はカバーできます。
https://www.yamaha.com/ja/musical_instrument_guide/common/images/clarinet/fingering.pdf
ではまず、高音域の運指について見ていきます。
バスクラリネットの高音は第3オクターブのBの音からB♭クラと違う!
まずは高音域の運指から確認していきましょう。高音域は途中まではB♭クラリネットと同じで、変化するのは第3オクターブのBの音からです。
通常この先の音ではB♭クラリネットでは左手の人差し指を開放となりますが、バスクラリネットでは全てを開けることはしません。
このキーはカップの中心に穴が空いており、さらにキーは閉じても中心の穴は開けたままにできるように延長した抑えスペースがあります。
バスクラリネットにおいてはこの中心の穴から息が抜けていれば大丈夫なのです。
そのため、運指表記上は抑えない形になっている左手人差し指を延長した抑えスペースを使用してキーを閉じることがバスクラリネットの運指となります。
高音域においての違いはたったそれだけです。
<バスクラリネット高音をキレイに出すポイントはこちら!>
⇒バスクラリネットの吹き方・高音を出すときのポイントは? キレイな音を出すにはこうすればいい!
続いて、低音域に入る前に、低音域の構造と注意を確認してしてみましょう。
バスクラリネットのロング管・低音域の構造と注意編
バスクラリネットは、メーカーにより設計が全く異なっています。
何故かというと、もとのクラリネットでカバーできる広い音域を、バスクラリネットはさらに低音域へ伸ばした結果、1本の指で操作する数が増えたためです。
このキーの力の分散やしなりを各メーカーが独自に工夫し、改良した結果、メーカーごとに設計が大きく違っているのです。
簡単に分けると
右手親指操作時にキーカップを同時に押さえる | 各キーカップに上から抑えのアームが付いています。 |
右手親指操作時にキーを次々と連動させて押さえる | 見た目は非常にスッキリしています。 |
特に連動させるタイプはこの傾向が強く出るためご注意ください。ちなみに構造がしっかりしているメーカーほど楽器の値段が高額です
演奏時にはこのしなりを考慮して、右手親指を操作する時は右手小指も同時に使い、しっかりカップが閉じるようにすることが望ましいです。特に連動タイプはこの奏法をしないとキーカップの抑えが甘くなりますので要注意です。
それでは、ロング管で追加されたキーを用いた、低音域の運指の方を確認していきましょう。
バスクラリネットの運指表・低音編
低音域の運指は以下の通りです。
LowE
LowEは冒頭で提示した運指表にもあるので特に説明することはありません。
通常のB♭クラリネットで使用するキーを押さえますが、ロング管では右手小指で操作するキーが下に1列増えていますので、位置取りに注意しましょう。
LowD♯(LowE♭)
LowD#またはLowE♭は左手はそのまま、右手小指をLowEで押えていた位置から下に1列ずらし、奥(身体側)のキーを押さえます。
LowD
LowDは左手小指を開放し、右手小指はLowD#(LowE♭)で押えていた位置から手前(指揮者側)のキーを押さえます。
LowEからLowDまで、操作位置が近寄っているためキーの位置確認を行い、LowDでは左手小指の開放を忘れないようにしましょう。
LowDの替え指
LowDには替え指が2種類存在しています。
①左手の小指をLowD#(LowE♭)で押えていたキーから1つ奥(身体側)にずらし、左手小指は開放する。
②左手小指と右手の小指を開放し、右手の親指で指掛けの横のキーを押さえる。
LowD付近とLowC付近では押さえるポイントが変わってきますが、この替え指はそれぞれ押さえるキーが異なっています。
①はLowD、②はLowCに近い押さえ方になっているので用途によって使い分けれるようにするのがベストです。
LowC#(LowD♭)
LowC#またはLowD♭は左手小指は開放したまま、右手の小指を開放し、右手の親指で指掛けの下のキーを押さえます。
LowC
LowCでは左手小指は開放したまま、右手の親指はLowC#(LowD♭)から1つ下のキーを押さえます。
LowDからLowCまでは左手の小指が開放されるので忘れないようにしましょう。
また、LowC#(LowD♭)とLowCで押える指掛けの下にあるキーを間違えないように確認をしてください。
バスクラリネット運指表ポイント
<高音域>
- 第3オクターブのBの音から変化、運指表記上は抑えていない左手人差し指を延長した抑えスペースを使用してキーを閉じること
<低音域>
- キーは順番に半音ずつ低くなるため、右手小指~右手親指と4音分低くなる。
- 右手小指の操作位置に1列キーが追加される(メーカーによっては上も1列増えている)。
- 追加された列の奥(身体側)のキーが<LowE♭>、手前(指揮者側)のキーが<LowD>
- 右手親指の3つのキーは上から順に<LowD>、<LowC♯>、<LowC>と下がっていく。
まとめ
バスクラリネットの運指について紹介していきましたがいかがでしょうか?
このようにB♭クラリネットの運指表から考えると違いはほんの少しですが、バスクラリネットならではのポイントがいくつかあるのをご理解いただけたかと思います。
構造やキーの配置など、分かりにくい部分はビュッフェ・クランポン社の以下の動画も参考にしていただけると幸いです。
運指は楽器の基礎といっても過言ではありません。
つまずいて時間を浪費しないように覚えるまで練習して、自由な演奏をしてくださいね。