花形楽器のイメージが強いトランペット。メロディーラインを高らかに吹きならし、吹奏楽やジャズ、ビッグバンドなど活躍の幅も広いトランペットは演奏したら「かっこいい」と人気の楽器ですよね。
今回は、そんな注目の的に慣れちゃうトランペットが吹きたい初心者さんへの一連の教え方から覚えるのに時間の必要な運指、そして基礎練習で使いたいおすすめ教本をご紹介します。
トランペット初心者への教え方はどうする?
部活動や地域の楽団では、入団してきたばかりの初心者に「演奏の仕方を教えてあげない」なんて、冷たくする方はいないですよね。多くの先輩演奏者さんは、「初心者の方も演奏できるようになって、トランペットをもっと好きになってほしい」と思うはずです。
しかし、人に教えるのって、なんだか難しいなって感じたことありませんか。自分では簡単にできたことが初心者さんには難しく感じてしまっていたり、教える自分がすでに感覚的に覚えてしまっている運指など、上手く伝えられずにもどかしく感じたりする場面もあるかと思います。
では、そんな苦しい思いを感じてしまう教え方、初心者にはどのようにしたらいいのでしょうか。
音が出ない時は?
トランペットは他の金管楽器と比べてマウスピースが小さい分、最初に音を出すことからハードルが少し高めです。
まず音が出るまで時間がかかってしまうのだと伝え、焦らせない気持ちを持つ重要性を教えてあげましょう。そして、音を出せるようになったら、次に運指について教え音程を変えられるようにしていきます。
- 運指表を見ながら、全ての音が簡単には出ないと確認する。
- ひとつの音を出せるように集中する。
楽器演奏の初心者には、一通り早く吹いてみたいという人と一音一音ていねいにきれいな音で吹けるようになりたいと感じる人で分かれます。
一音一音ていねいに吹きたい方の場合は、美しい音のために時間がたくさんかかる必要性を感じているのでいいのですが
一通り吹いてみたい方の場合はまず一度、運指表を見ながら全部の音をきれいに出すのは難しいのだと一緒に確認する作業を最初にするといいですよ。
百聞は一見に如かずなんていいますから、一度全部の音の経験をさせるという体験をさせてあげましょう。
そして、全ての音を一度にきれいに出すのは難しいけれど、一音一音ていねいに吹き込んでいけば、あなたも主役級の音色が出せるのだと伝え、「今週はファ#に挑戦しましょう」と練習を導いてあげるといいですね。
一音一音の繰り返しを通して、音階が吹けるよう教えていきましょう。
きれいな音にするには?
音が出るようになったら、次は音質を良くしていくフェーズに入ります。
先ほど練習して音を出せるようになった音階を、綺麗で豊かな音色になるよう練習していきます。
そこで必要になってくるのがロングトーンです。音階を追いながら、一音ずつメトロノームを使って4拍吹いて4拍休むを繰り返していきます。
初めから終わりまで同じ息のスピードで真っすぐな音が出せているか、確認しながら音を出してみましょう。できるようになってきたら、「拍数を少しずつ伸ばしてもいい」か確認しながら指導しましょう。
体力がないときは?
楽器を始めたばかりの頃は、慣れていないがための体力不足も多くあります。
音を出すだけのスタミナがやっとついてきても、曲を吹けるだけのスタミナをつけないと合奏に参加できません。
ではいったい、どのように楽器を吹くための体力をつけたらいいのでしょうか。
1つは唇を強化することです。
トランペットを吹いていて一番きついと感じる時は、休符なく吹き続ける・高音域やタンギングといった唇の消耗が激しい時です。
2つの強化に有効な方法は、先ほども出てきたロングトーンになります。
楽器を長時間唇から離さないといった練習が有効となるのです。
唇の強化には、休憩を挟まないで吹ける体と心の状態をつくる必要があります。
もう1つは、基礎的な体力の強化です。
よくドラマなどで吹奏楽部が走ったり筋トレしたりする映像が使われていると思います。
これは基礎的な体力強化のために行われています。
トランペットの練習だけでなく、楽器の演奏にはやはり体力が必要なんです。有酸素運動や筋トレを通して、楽器を吹ける身体づくりを心がけましょう。
気を付けるポイントは?
では、初心者に教える際に気を付けるポイントはなんでしょうか。
まず1つは焦らせず楽器を吹く楽しさをわかってもらうことです。
何事も一番初めの段階が難しいものです。
自分が初心者の頃を思い出してみてください。
音を出すのもままならかった日々や本当に吹けるようになるのか不安になる瞬間もありましたよね。
そういった初期の苦しみを通り抜けた先に、楽器を吹く楽しさが待ち受けているのだと伝える・喜びを共有していく練習時間や演奏時間をたくさん経験させてあげましょう。
もう1つは自分の練習時間の確保を忘れないことです。
楽器を練習できる時間は部活動の時間や練習場所を借りている時間など、限られた時間です。
初心者への指導も大切ですが、ご自身の練習も同じくらい重要なこととなってきます。指導の時間と自分の練習時間のバランスを見つつ、どちらも行っていけるよう意識していきましょう。
運指の教え方
美しい音色のためにもトランペットの運指を覚えて、初心者の方にもトランペットの楽しさを味わってほしいですよね。
ここでは、トランペットに必要な運指の教え方を紹介します。
運指のための3つのピストン
トランペットには、音を出すために指でペコっと押すピストンが3つあります。
吹き口から1番・2番・3番とあらかじめ番号をつけて、これから運指を覚える初心者に教えてあげましょう。
引用先:トランペットの運指表~YAMAHA~
運指の種類は全部で7つ
トランペットの運指は、以下の7種類が基本になります。
- 3つのピストンを全部押す
- 1番と3番を一緒に押す
- 2番と3番を一緒に押す
- 1番と2番を一緒に押す
- 1番だけ押す
- 2番だけを押す
- 3つのピストンを押さない
参考にさせていただいたYAMAHAのトランペット運指表をみていくと、一番低いファ#~ドまでとド#~ソまでの運指は同じで、それより先の音は3つのピストンを押さないをきっかけに運指のパターンが同じ傾向にあることが分かります。
教える前にあらかじめ、5線符に音符と運指のパターンを書き出しておくと初心者の方にもわかりやすく伝えられますね。
<トランペットの運指についてはこちら>
⇒トランペットの運指や替え指の覚え方のコツは?ハイトーンや実音の分かりやすい楽譜も
初心者おすすめ教本3選!
最後にトランペット初心者へ教える際、使いやすい教本をご紹介します。
基礎練習は楽器を吹く土台となる重要な要素です。土台がしっかりとできるよう、教本を用いての練習を是非取り入れていきましょう。
新版 朝練トランペット 毎日の基礎練習30分
基礎的がコンパクトにまとまった1冊です。
書いてある内容を全て行おうとすると30分ではおさまりませんが、上手くなるための練習が多数掲載されており、初心者にとっては十分な内容です。
奏法や困りごとの解決法も書かれており、実践的で役に立ちます。
トランペット&コルネット教本
基本的な演奏テクニックを低音域を中心におきながら、無理なくテクニックが身に着けられるよう作成された1冊です。
基礎の基礎から書かれており、短期間で上達ができます。
アンサンブルの譜面なども掲載されているため、楽しみながら練習できる点も魅力です。
見て聴いて必ず吹ける/トランペット入門
入門者に特化した1冊で、CDつきです。
楽譜にはルビもふってあるため、譜面を読むのも初めてといった方にもおすすめできます。
最低限曲が吹けるようになるために必要な内容がまとめられており、分かりやすさをとにかく重視したい方には良い本となっています。
まとめ
ここまで、トランペット初心者に向けた教え方を見てきましたが、参考になるものはありましたでしょうか。
- 音が出せるようになる
- 音階を吹けるようにする
- 音質を良くするためロングトーンを行う
- 唇と体力の強化
- 基礎練習
- 運指を覚える
始めはみんな初心者です。教えた相手が上手くなっていく過程は、教える側にとっても喜ばしいものでしょう。初心者への指導は大変ですが、その分達成感もあります。
音楽を一緒に楽しめる仲間をより増やせるよう、あなたなりの教え方を工夫してみるのもいいですね。