ギターの教則本などで「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」という名称を目にしたものの、イマイチ理解できずにスルーしてしまう方は意外に多いかと思います。
後ほど詳しく解説しますが「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」はコード進行に関する専門用語です。教則本を見て理解できなかった方でも、知らないうちに使っているものですし、理解できなくても演奏や作曲・編曲に支障はありません。
しかし、これを理解していると作曲や編曲の時にとても役立ちます。
今回は「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」と「代理コード」について詳しく解説していきます。
まずは「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」についてから始めます。
※実際にギターを弾きながら記事を読んでいただくと分かりやすいと思います。
目次
トニック・サブドミナント・ドミナントとは?
「C-F-G7」といった定番のコード進行がありますが、このようにコード進行の中に置かれたコードは機能別に「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」に分類することができます。
「C-F-G7」の場合は
- C=トニック
- F=サブドミナント
- G7=サブドミナント
と分類することができます。
もう少し詳しく解説してみます。
トニックとは?
キー(調)の基礎となるスケール(音階)の出発点にあたる音で主音と呼ばれるものです。
それ以外の音に対する支配力を持ちトーナリティ(調性)の確立の基礎となります。
つまり「キーCの場合はCメジャースケール(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)を主体に展開するのでトニック(主音)はC」となり「キーCmの場合はCmスケール(ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド)を主体に展開するので、こちらもトニック(主音)はC」です。
※キーがマイナーであっても、キーの基礎となるスケールの出発点になる音がトニックになりますのでキーがCmでもトニックはCになります。
サブドミナントとは?
トーナリティ(調性)の基盤となるスケールの第4音であり、隣り合わせた第5音(ドミナント)に次ぐ主要な音です。サブドミナント・コード(下属和音)の意味で使われることもあります。
キーCでCメジャースケール(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)で解説すると、ドから数えて4音目のファの音がサブドミナントとなります。
ドミナントとは?
スケール(音階)の5度上の音であり、トニック(主音)の次に調性の確立のために重要な音と言われています。
こちらもサブドミナントと同様にCメジャースケールであれば、ドから数えて5音目のソの音がドミナントになります。
トニックとドミナントはギタリストであればパワーコードで覚えることをおすすめします。
パワーコードは「ルート音+5度」の和音ですが、これがまさに「トニック+ドミナント」になります。
「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」の基礎は以上になりますが、実戦で使う場合は「トニック・コード」「サブドミナント・コード」「ドミナント・コード」を意味している場合が多いです。
「トニック・コード」「サブドミナント・コード」「ドミナント・コード」について解説します。
「トニック・コード」「サブドミナント・コード」「ドミナント・コード」について
先ほども解説したように実践では「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」は基本的には「トニック・コード」「サブドミナント・コード」「ドミナント・コード」を意味している場合が多いです。
写真のようにキーCのダイアトニック・コードで解説するとコード進行は「CとC△7はトニック・コード、FとF△7はサブドミナント・コード、GとG7はドミナント・コード」になります。
これはキーCで使用するCメジャースケールのトニックを主体に構成したコードであることが分かると思います。
トニック・サブドミナント・ドミナントの特徴
- トニック=安定感がある。
- サブドミナント=不安定ではあるもののドミナントほど不安定ではない。
- ドミナント=不安定。
以上のような特徴がありますが、ここで注意してほしいのは「そのコード単体(C-F-G)を鳴らしたときにその響きが安定しているかどうかという意味ではない」ということです。コード進行の中において、そのコードがどのような印象をもって聞こえるかという意味です。
つまりCメジャースケールに対して「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」が、どのような響きにになるかという意味です。
エンディングをトニックで終らせれば安定感と着地感があります。しかし、サブドミナントやドミナントで終らせると不安定でぎこちなく感じるのが分かると思います。
「C-F-G-C」や「C-F-C」といったトニックで終るコード進行と「C-F」や「C-F-G」といったサブドミナントやドミナントで終るコード進行と弾き比べると分かりやすいと思います。
続いてはトニック・サブドミナント・ドミナントの主要コードと代理コードについて解説していきます。
トニック・サブドミナント・ドミナントの主要コードと代理コード
先ほども載せたこちらのキーCで使用可能なコード一覧ですが「C-F-G」以外のコードも「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」に分類することができます。
分類するとこのようになり、これが代理コードというものです。
このように分類することができるのはコードの構成音に共通性があるためです。
代理コードの共通点
こちらはトニック・コードの代理コードの譜面ですが、各コードには構成音に共通点があることが分かります。
キーCのトニック・コードの代理コードはトニック・コードの構成音を1音変えただけのものです。
続いてはサブドミナント・コードの代理コードですが、こちらもコードFの構成音を1音変えただけのものです。
続いてドミナント・コードの代理コードですが、これもコードGの構成音を1音変えただけのものになります。
メジャーコードとマイナーコードが一緒に分類されていますので、違和感を感じる方も多いかと思いますが、この場合はメジャーとマイナーにとらわれず構成音のみを見て考えると分かりやすくなります。
代理コードの注意点
例えばギターで初心者が押さえにくいと言われているコードにFがあります。
コードFはサブドミナントに分類され、代理コードにはDmがありますが、コードFが押さえられないからDmで代用するというのは間違いです。
代理コードは構成音に共通点があるだけであり、代わりに使用できるコードではありませんので注意してください。
代理コードの使い方
代理コードは作曲の時(特にアレンジの時)に役立ちます。
例えば「C-C-F-G7-C」といったコード進行で作曲したものの、少し違う雰囲気に変えたい時に「2つめのCをその代理コードであるEm7に」また「3つめのFをDm7」に変更すれば「C-Em7-Dm7-G7-C」というコード進行が完成し、違った雰囲気を出すことができます。代理コードはこのように使用します。
まとめ
トニック・サブドミナント・ドミナントと代理コードについて解説してきましたが、記事を読んでみて名称は知らなかったものの、既に使っていたという方は多いのではないかと思います。
最後にこれらのポイントをまとめてみます。
- トニック・サブドミナント・ドミナントはコード進行の中のコードを機能別に分類したもの。
- 代理コードはトニック・サブドミナント・ドミナントの構成音と共通性があるコード。
- 代理コードを知っていると作曲やアレンジに役立つ。
- 代理コードは押さえられないコードの代わりになるものではないので注意が必要。
以上がポイントになります。
この記事をトニック・サブドミナント・ドミナントや代理コードの勉強に是非役立ててみて下さい。