ロックには「王道パターンと呼ばれるコード進行」が存在します。(厳密に言うと各ジャンルに王道パターンが存在します)
多くの楽曲は、この王道パターンと呼ばれるコード進行に沿って作曲されていますので、これを理解することがロックの作曲の基本にもなります。
また「パワーコード」というシンプルかつパワフルな響きのコードもロックには欠かせません。このパワーコードは初心者でもすぐ押さえられるほど簡単なフォームのコードでもありますし、こちらもロックを演奏する上で必要なものです。
今回はロックの王道パターンとパワーコードについて詳しく解説していきます。
まずはパワーコードの仕組みと押さえ方から解説していきます。
パワーコードの仕組みと押さえ方
パワーコードは写真のように、基本的に弦2本のみを押さえるコードになります。
コード構成音は「ルート音+5度」となっており、バンドスコアのタブ譜では写真のように記載され、弾き語り専用のコード譜では「C5」や「E5」と記載されます。※「5」の数字は「5度」を意味しています。
例えばCのパワーコード(C5)では「ルート音のC」+「5度のG」の組み合わせになります。
非常に押さえやすくパワフルな響きですが、ルート音と5度のみですのでコード感はありませんし、パワーコードのみでメジャーとマイナーの響きを出すことはできません。
続いてはロックの王道・定番コード進行パターンを解説していきます。
ロックの王道・定番コード進行パターン
冒頭でも少し解説しましたが、ロックには王道パターンと呼ばれる定番のコード進行が存在します。
多くの楽曲はこの王道パターンと呼ばれるコード進行で作曲されています。どんな曲もよく聴きこんでコードを調べてみると、全く同じコード進行の曲は数えきれないほどあります。
つまり曲の土台となるコード進行は例外を除き、ほぼ王道パターンが土台になっておりアレンジで違いを出しています。
またロックではギターをメインに作曲することが多いため、キーも限定されてきます。よく使われるキーは「Em、Am、F#m、Gm、Dm、Bm、Cm、C#m」といったギターで弾きやすく、重低音が鳴らしやすいキーになります。中でも最もメジャーなものはEmとAmです。
ではギターでも最も重低音が出せる定番のキーEmで王道を解説します。
キーEmで使用可能なコード一覧
Em・D・C・B・Bm・Am・G
定番のコードは以上になります。
基礎が身に付いたらテンションコードのセブンスやナインスなどを追加して響きに幅を持たせることもできますが、初心者の方は定番のメジャーとマイナーから覚えるようにして下さい。
キーEmでの王道パターン
- Em・D・C・B
- Em・C・D・B
- Em・G・C・D
- C・D・Em
- C・D・B・Em
定番のものとなると以上のようなものがあります。
このコードを並べるだけで曲の土台は完成します。
1つのキーを覚えたら好みのキーに移調すると良いですが、ギタリストの場合はコードネームではなくポジションを感覚的に移調した方がスムーズにいくと思います。
続いては王道パターンを人気曲で分かりやすく解説してみます。
人気曲で分かりやすく解説
先ほど解説したキーEmの王道パターンで作曲されている曲です。
イントロ:Em
Aメロ:Em・C・D
Bメロ:C・D・G・Em
サビ:Em・C・D・G・C・D
このようなパターンで作曲されています。
ほぼ同じコード進行の曲がこちらです。
同じコード進行でもアレンジ次第でここまで変わります。
先ほどのキーEmの王道パターンをほぼそのままの進行で、キーCmに移調したのがこちらの曲です。
有名バンド「Bon Jovi」を例に挙げてみましたが、この王道パターンを使用しているバンドは数え切れませんし、全く同じコード進行のバンドも沢山います。
コード進行は既に決まった王道パターンをいくつも把握しておき、作曲の際にどれを使用するかを選択できるようにすると作曲がスムーズになりますのでおすすめです。
またオリジナリティーのあるコード進行を生み出すことは非常に困難です。
初心者のうちは意外にオリジナリティーに拘り、独特のコード進行を考えることもよくあります。しかし、オリジナリティーのあるコード進行は違和感のあるものになりますので、コード進行に関しては王道パターンを使用するようにして下さい。
続いてはロックの定番コードでの作曲の仕方について解説します。
ロックの定番コードでの作曲の仕方
ロックを作曲する場合は多くの方がギターで作曲していきます。
パワーコードで王道パターンを並べるのは歌のバックになりますが、この流れで作曲するよりもまずはイントロのギターリフを作曲し、それをベースに歌のバックを王道パターンで構成する方法がおすすめであり定番でもあります。
ギターリフは張り付けた動画のイントロで流れているようなものです。ロックのギターリフもほぼパワーコードで構成されています。
あらゆるパワーコードを組み合わせメロディアスなもの、ブルージーなもの、ダークなものなど様々なリフを作ることができます。ギターリフは沢山のギタリストのリフを聴き、実際にコピーして覚えるようにしましょう。
ギターリフに関してもオリジナリティーのあるものを生み出すのは非常に難しくなってきています。ギターリフ中心のロックが誕生してから60年は経ち、ギターで考えれらるリフの殆どが出尽くしてしまっています。何かの曲に似ていても構いませんので、自分が良いと思えるものを作曲してみて下さい。
リフが完成したら、先ほど解説した王道パターンを並べて好みの展開を作っていくようにしてみて下さい。
また、王道パターンのコード進行に沿ってギターリフ作ると非常に歌心のあるメロディアスなギターリフを作曲することができます。
こちらの曲などが参考になると思います。
ダウンチューニングしていますが王道パターンをそのまま使用し、そのコード進行の上でメロディアスなギターリフを上手く作っている良い例です。
最後に王道パターンから外れたコード進行で作曲しているバンドの曲を紹介します。
こちらはブラック・メタル・バンドの楽曲ですが、見事なほどに王道パターンから外れた独特なコード進行で作曲しています。敢えて王道パターンから外れた曲を作ってみたい方は北欧のブラック・メタル・バンドを参考にしてみるのも良いと思います。
王道パターン外れると、このような雰囲気の楽曲になることが非常に多いですので、決して聴きやすい音楽にはならないので注意が必要です。
まとめ
王道パターンやパワーコードについて解説してきましたが、まとめに入ろうと思います。
パワーコードのまとめ
- パワーコードはルート音+5度で構成されたコード。
- パワーコードは「C5」のように記載される。
- ルート音+5度のみのシンプルな構成なのでパワフルな響きでなあるがコード感がない。
王道パターンのまとめ
- 好みのキーの王道パターンを把握したら他のキーに移調すると覚えやすい。
- 王道パターンを把握することで作曲がスムーズになる。
- ロックを作曲するのであればイントロのギターリフから。
- オリジナリティーのあるコード進行は失敗に繋がる可能性が高いので注意が必要。
- 王道パターン以外のコード進行を使用するのには桁外れのセンスが必要な上、作曲できたとしても独特で決して聴きやすい響きではなくなる。
以上のポイントを参考にしてみて下さい。