コードには何種類ものパターンがあります。特に有名なものは王道パターンと呼ばれる進行です。
その他にも、パッヘルベルがカノン使用したことで有名なカノン進行、小室哲哉がよく使用していたもので今では小室進行と呼ばれるものなど沢山あります。※これらはコード進行の正式名称ではありません。
今回は小室進行、王道パターン、カノン進行と呼ばれるものについて分かり易く解説していきます。
まずは、王道パターン、カノン進行、小室進行に関する基礎知識ついて解説します。
王道パターン、カノン進行、小室進行の基礎知識
今回は王道パターン、カノン進行、小室進行について解説していきますが、冒頭でも触れたとおり、この3つは音楽理論の正式名称ではありませんので注意して下さい。
カノン進行に関してはメジャーコードで始まりメジャーコードで完結するコード進行、王道パターンと小室進行についてはマイナーコードをメインに進行するものとされています。
※厳密にはカノン進行も王道パターンに含まれます。
この3つを簡単に覚えるのであれば各進行の特徴を勉強する必要もありません。各キーで使用可能なコード一覧さえ分かれば、この3つの進行は覚えたも同然です。(後程、詳しく解説します)
各進行を1つ1つ覚えるよりも各キーで使用可能なコード一覧を見てそれを覚えれば、この3つの進行は無意識にでも作ることが可能。
続いて王道パターンについて解説していきます。
王道パターンとは?
こちらは王道パターンを学ぶのに最適な曲です。
キーは「Am」で使用しているコードは「Am、G、F、E、Em、Dm、C」です。
王道パターンについてですが、多くの教則本の場合は「循環コード」や「ダイアトニック・コード」といった専門用語を使っており、更に例として「C、Am、Dm、G」といったコード進行を掲載していますが、これが非常に分かりにくくなる原因でもあります。
自分自身、普段はコード進行をギターレッスンで説明することも多いのですが専門用語から教えるとやはり理解できません。しかし、このようにキーで使用できるコードを一覧を渡し、好きなように並べさせてみると見事に王道パターンで並べることができます。
これは普段から聴いている曲が王道パターンで作曲されているため(王道パターンではない曲を探すほうが難しい)自然とそのコード感が身についているためです。
そして1つのキーで使用可能なコード一覧さえ理解すれば、他のキーはポジションをズラすのみなので、最も簡単なキー「Am」で覚えてしまうことで、全てのキーで王道パターンが使用可能になります。
そして後程、解説しするカノン進行や小室進行と呼ばれているものも王道パターンの1つですし、コード一覧を並べる過程で必ずと言って良いほどカノン進行や小室進行が出来上がります。
- 各キーで使用可能なコードを覚えれば王道パターンを組み立てることが可能。
- 逆に王道パターン以外を組み立てるのは非常に難しい。
続いてはカノン進行について解説していきます。
カノン進行とは?
こちらの曲のサビはキー「Am」でカノン進行「C、G、Am、G、F、Dm、F、G」を使用しています。(キーは「C」とも解釈できます)
ポイントとなるのは「C、G、Am、G」までの動きでキーのメインコード「Am」の3音上のメジャーコード「C」から下降してくるのが特徴です。この下降がパッヘルベルのカノンと同じなのでカノン進行と呼ばれています。
キーは変わりますが、この曲もカノン進行を使用している曲です。カノン進行は暗くもなく明るすぎずといった雰囲気を出すことができるコード進行です。
カノン進行応用編
カノン進行の後半4つのコードを半音ずつオンコードを混ぜて上昇すると、この曲のサビのようになります。聴き覚えがある方も多いと思いますがバッハの「G線上のアリア」のコード進行になります。
カノン進行が「C、G、Am、G、F、Dm、F、G」なのに対し「C、G、Am、G、F、F#/D、G、E/G#」と変更するとカノン進行がよりドラマティックになります。
これは少し捻りを効かせた技で王道パターンからは外れますが、誰もが使用するありきたりなカノン進行にアクセントを付ける際におすすめです。
定番のパターンに音楽理論書などに乗っている高度な進行を組み合わせていくのも大切ですので、興味のある方は勉強して試してみて下さい。
カノン進行も1つのキーのパターンを覚え、ポジションを変えて他のキーできるようにすることをおすすめします。
小室進行とは?
この曲は小室進行の典型的なパターンの曲です。
歌の始まりのコード進行は「Am、F、G、C」というものですが、これはまさに先程にも解説した王道パターンそのものです。
音楽理論の専門用語では「トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック」となりますが、これが「小室進行」や「王道パターン」と呼ばれているコード進行です。
「Get Wild」はキー「Am」ですが、キー「Em」のバージョンがこちらの曲です。
この曲はキー「Em」で「トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック」のパターンで使用しているコードは全く同じです。
そして別なアーティストの曲でキー「Em」の「トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック」のパターンです。
「I Believe」と「Bad Communication」はコード進行が全く同じで、これは王道パターンであり小室進行です。
小室進行と呼ばれる「トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック」が小室哲哉が開発した革新的なコード進行かというと全くそうではありません。
小室進行はヤマハ音楽教室で初心者に教える基本的なコード進行です。小室哲哉はヤマハ出身なので教室で教わった基本的なコード進行が小室スタイルの土台となっているようです。
小室進行や王道パターンと呼ばれる「トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック」は、どのアーティストも使用するお約束のコード進行で、海外も含めポピュラーな音楽の大半がこのコード進行で作曲されています。
この誰もが使用する決まったコード進行に、どんなメロディーを乗せて、どんなアレンジをするかがポイントになります。
- 王道パターンと小室進行は全く同じもの。
- 各キーで使用できるコードを好きなように並べると王道パターンが完成する。
まとめ
王道パターン、カノン進行、小室進行といったコード進行について解説してきましたが、無調音楽やロックで言えばブラックメタルで使用されるような特殊なコード進行ではない限り、全ては王道パターンだと考えて下さい。
この世に存在する音は12音のみで、それらを組み合わせたコード(和音)にも数に限りがあります。そして、それらを使用して調性の取れた組み合わせを作ると必ず王道パターンができあがります。
そのコード進行を王道パターンと呼ぶか、カノン進行や小室進行と呼ぶかは個人の自由なので覚えやすい名称のもので覚えて問題はありません。
そして、オリジナリティーのあるコード進行というものは今はもう存在しませんので、存在する組み合わせのコード進行の中から好みのものを見付け、それを使用して自分の個性を出したメロディーを乗せることが最が大切です。
また、音楽専門学校に通っている方などはテストで「ダイアトニック・コード」や「循環コード」等が出た場合、くれぐれも王道パターン、カノン進行、小室進行と記入しないように気を付けて下さい。
この記事をコード進行の勉強や作曲の参考にしてみて下さい。