クラリネットとリードを固定する為に使用するリガチャー。
今回はリガチャーの選び方や各社製品の比較とおすすめ品を紹介し、皆さんのクラリネットライフに一役買えたらと思います。
リードの選び方も大事ですが、リガチャーも大事なパーツです。おすすめ品を比較して、あるいは楽器屋さんで試してみて、音の響きや音色がグッと変わるリガチャーに出会えたら幸いです。
では早速、選び方のポイントからみてみましょう!
目次
クラリネットのリガチャーを選ぶときは素材と、リードとの接点をチェックする
ではまずクラリネットのリガチャーを選ぶ際によく見たい点や吹き感で確認をしたいポイントをまとめます。
素材は金属製と革製
まずチェックしたいのが素材です。
- 金属製
- 革製
主にこの2種類に分かれます。
金属製
金属製は初心者向けで、吹奏楽ではほとんど金属製を使用しています。金属製ですとリードの振動が伝わりやすく、立ち上がりの明るい音が鳴ります。
が、場合によっては鳴りすぎてキンキンしてしまう事もあります。
メッキも銀、金、ピンクゴールドとあり、柔らかい音色になりやすいのは銀メッキ、明るい音色は金メッキがおすすめです。
ピンクゴールドは明るい音質で深い響きになるのが特徴で、実際に試奏してみると違いがよくわかるでしょう。
このほかにラッカー仕上げのリガチャーもあります。比較的安価で、変色やサビにも強くて耐久性が高いです。しかし、音の響きに関してはメッキ仕上げのリガチャーには劣って聴こえてしまうかもしれません。
メッキの色 | 特徴 |
銀メッキ | 柔らかい音色 |
金メッキ | 明るい音色 |
ピンクゴールド | 明るい音質 |
ラッカー仕上げ | 耐久性が高い |
革製
革製は柔らかい音が出しやすいです。金属製よりもリードの振動が伝わりにくく、まとまりのある音色が出せます。
しかし、初心者やアンブシュアが安定していない人が革製を使用すると、音の立ち上がりが悪くなったり、音が広がってコントロールしにくくなる事があります。
柔らかいまろやかな音が出る代わりに音自体は飛びにくいので、吹奏楽では金属製の方がおすすめです。
リガチャーとリードの接点は縦型と横型と点型がある
マウスピースにリードとリガチャーをセットした際の接点によっても、音色や音の出方に違いが現れます。
リードの中央部分を押さえるものは吹きやすいのに対し、リードの端を押さえるものは息の量が一定になるので音に安定感が出ます。
<リガチャーを選ぶときのポイント>
- 縦型はスタッカートなど細かい音を出す事に特化しています。
- 横型はリードの振動を滑らかに伝え、まとまりのある優しい音色を出す事に特化しています。
- 点型はリードとの設置面積が少なく、リードの振動を妨げないので音に伸びが出ます。
以上がリガチャーを選ぶ際に気をつけたいポイントです。では次の項目からは、主要メーカーの製品でおすすめのリガチャーをご紹介したいと思います。
リガチャーの選び方
ここでは、リガチャーの選び方を3つのステップで紹介します。
1.素材を選ぶ
金属と革製の2種類あるリガチャーですので、最初にどちらを使って演奏していきたいのかを決めましょう。
クラリネット初心者には金属がおすすめ
メーカーによって、多少異なりますがクラリネットの演奏初心者であれば、金属のリガチャーをまずは手に取ってみましょう。
金属のリガチャーは明るい音色がパーンと弾けるように響いてくれるので、吹きやすさを肌で感じられます。
革製リガチャーは吹き手次第
メーカーによって、多少異なりますが革製のリガチャーは、吹き手によって音の響きにかなり違いが出てきてしまいます。
合奏というよりは、個人で演奏するソロリサイタル向きといえます。
革製のリガチャーを選ぶ場合は、「自分がそれなりに演奏技術を持っている」と自信を持っていえると思ったら選んでみるといいでしょう。
2.吹きやすさの違いで決める
楽器店へ足を運んだら、気になるリガチャーを何種類か選んで試し吹きをするのがおすすめです。
例えば、5つのリガチャーを選んだ場合、いままで自分が使用していたリガチャーを合わせた6つのリガチャーから選んでいきましょう。
また、リガチャーのメーカーを1種類に絞って決めるのではなく、バンドレンやクランポンといった異なるメーカーを合わせて選ぶようにするのもポイントです。
1種類のメーカーでもいいのですが、自分に合ったリガチャーを選ぶわけですから、最適なリガチャーを見つけるためにもメーカーの個性を知った上でベストなリガチャーを購入しましょう。
試し吹きの際は、1番最初に今まで使用してきたリガチャーを楽器につけ、次に気になるリガチャー順に演奏していきます。
- 音の出だしがいいか、悪いか。
- 音をタンギングで出した場合に苦しさを感じないか。
- 音階を一番低い音から高い音へ、高い音から低い音へとナチュラルに吹けているか。
- ppp(ピアニッシシモ)からfff(フォルテフォルテッシモ)へと変化させた場合に吹きづらさを感じないか。
3.音の響き方で決める
吹きやすいリガチャーを選んだら、今度は音の響き方に気をつけてみましょう。
- 1つ1つの音がバラけず均一な音であるか。
- スラーで半音階を吹いた場合の音色はどうか。
- デクレッシェンドやクレッシェンドの際に鳴らしている途中で音に違和感がないか。
- 自分が一番得意とする曲を演奏し、出したい音のイメージと合っているかチェックする。
バンドレンのお音の響きによるすすめ
まずはリードのメーカーとしても有名なバンドレンのリガチャーをご紹介します。
オプティマム
金属製の縦型リガチャーです。
このリガチャーの特徴はダブルトラックネジ機構を採用し、リードの固定・調整がスピーディに行う事が出来、さらにリードが均等な力でしっかり固定されます。
そして専用の圧力プレートが3枚付いており、
- 豊かでカラフルでアーティキュレーションが容易くなるプレート
- コンパクトでまとまった音色になるプレート
- 表現力があがってフレキシブルな音になるプレート
と、それぞれ特徴ある音色に変化します。
一つのリガチャーで三つのリガチャーを購入したようなお得感があります。
M|O
マウスピースとリードに沿った形になっており、装着時に必要な時間を大幅に削減できます。
素早いレスポンスと切れ味の良いアーティキュレーションで、より豊かな表現を実現します。
軽いブラスから作られており、素材もゴールドラッカー、ゴールド、シルバー、ピンクゴールドと様々な種類から選ぶ事ができます。
上記の他にも革製のものも販売されていますが、こちらは好みが分かれるかと思いますので、もし購入の際に試奏できそうであれば試してみてもいいかもしれません。
では次項ではクランポンのリガチャーでおすすめのリガチャーをご紹介します。
ビュッフェ・クランポンのおすすめ
続いてクラリネットで一番有名なメーカーのビュッフェ・クランポンのリガチャーを見てみましょう。
SP
非常にシンプルなリガチャーで、値段も安価です。銀メッキで出来ており、音色は暗めで柔らかさがあるのが特徴です。
PGP
SPと見た目は一緒で、ピンクゴールドメッキで出来ています。
上から下の音まで安定して響き、柔らかな音色です。作りがシンプルで人気があります。
ICON
フランス管楽器界の巨匠、ミシェル・アリニョン氏監修の製品です。
ピンクゴールド仕上げのボディとブラックニッケルのネジを使用しており、二つの素材を組み合わせた結果、音の飛びが良く、丸みを帯びた芯のある音色になります。
今まで紹介したクランポンのリガチャーの中では高値ですが、比例して音色や感覚がとても良くなるリガチャーと言えます。
以上がビュッフェ・クランポンのおすすめのリガチャーです。リガチャーだけを取っても、各メーカーで性能に差がかなり出ますね。
次はダダリオウッドウインズのリガチャーについてご紹介します。
ダダリオウッドウインズのおすすめ
次はダダリオウッドウインズのリガチャーについてです。旧名リコ(RICO)というメーカーで、サックスのリガチャーも幅広く揃っています。
H シルバー
非常に明るい音がなるリガチャーです。厚めのリードを使うと音程や音色のコントロールが出来ますが、薄いリードですと少し難しくなります。
どちらかと言うと中上級者向けのリガチャーと言えます。
H ゴールド
こちらも明るい音が鳴ります。シルバーのリガチャーに比べると音のコントロールが多少しやすくなるので、初中級者向けのリガチャーです。
音が上ずってしまう傾向にある方におすすめです。
H 特注金メッキ仕様
上記の二品と形状は同じですが、メッキの厚みによりまとまった響きや音色が得られます。明るい音色は同じですが、芯の太い音が得られ、ダイナミクスレンジも広くて大きな音をしっかり支えられます。
以上がダダリオウッドウインズのおすすめのリガチャーになります。
最後にウッドストーンのおすすめリガチャーをご紹介します。
ウッドストーンのおすすめ
最後はウッドストーンです。こちらもサックスのリガチャーも出しているメーカーです。
木製:KODAMA1
珍しい木製のリガチャーで、見た目にもかなり特徴があります。クラリネットのボディと同じ木材を使用し、リードとの接点が少ないため、他とは違うレスポンスの早さがあり、木特有の温かみのある音色になります。
ただ、バンドレンのマウスピースに合わせた設計になっているようで、その他メーカーのマウスピースですと特注品になるようなので、ご使用のマウスピースをよく確認していただきたいです。
木製:KODAMA2
こちらはKODAMA1の進化版で、リードと接している部分は木製ですが、マウスピースを覆う部分は革製となります。革で覆う分、音色はやや暗く落ち着いた雰囲気になります。
金属製
見た目は一般的な金属製となりますが、プロ奏者で使用している方が多いようです。しっかりリードを固定でき、抵抗感は少なめのリガチャーです。
色と素材の金属も様々です。
色と素材の金属 | 特徴 |
コパー(銅、赤茶色) | まとまりのある柔らかく優しい音 |
ゴールド | ボリュームが出しやすく明るい音 |
サテンゴールド | 重厚感のある音色 |
コパー製のピンクゴールド | 程よい明るさと柔らかさのある音 |
総銀製 | 柔らかく力強い音 |
総銀製のピンクゴールド | 総銀製よりも抵抗感が増えてしまうが、パワーがあって音抜けがよく明るい音 |
このように素材も音の特徴も様々で、選びがいがあるか、選ぶ際に迷ってしまうようなリガチャーです。
メーカー | モデル | 特徴① | 特徴② |
バンドレン | オプティマ | アーティキュレーションが容易 | 表現力があってフレキシブルな音 |
バンドレン | M|O | 切れ味の良いアーティキュレーション | 素早いレスポンス |
ビュッフェ・クランポン | SP | 暗めで柔らかな音色 | |
ビュッフェ・クランポン | PGP | 上から下の音まで安定した響き | 柔らかな音色 |
ビュッフェ・クランポン | ICON | 音飛びが良い | 丸みを帯びた芯のある音色 |
ダダリオウッドウインズ | Hシルバー | 非常に明るい音 | 薄いリードだと音程や音色のコントロールがやや難しい |
ダダリオウッドウインズ | Hゴールド | 明るい音 | Hシルバーに比べ、やや音のコントロールがしやすい |
ダダリオウッドウインズ | H特注金メッキ仕様 | 明るい音+芯の太い音 | ダイナミクスレンジも広くて大きな音 |
ウッドストーン | KODAMA1 | 温かみのある音色 | レスポンスが早い |
ウッドストーン | KODAMA2 | やや暗く落ち着いた音色 | |
ウッドストーン | コパー | まとまりがある柔らかな音 | |
ウッドストーン | ゴールド | 明るい音 | ボリュームが出しやすい |
ウッドストーン | サテンゴールド | 重厚感のある音 | |
ウッドストーン | コパー製のピンクゴールド | ほど良い明るさと柔らかさがある音 | |
ウッドストーン | 総銀製 | 柔らかく力強い音 | |
ウッドストーン | 総銀製のピンクゴールド | パワーがあって音抜けが良い | 明るい音 |
まとめ
今回はクラリネットのリガチャーを選ぶ時のポイントや、それぞれのリガチャーの特徴について紹介しました。
リガチャーの素材や形状が少し違うだけで音に大きな変化が得られます。
<リガチャーを選ぶときのポイント>
- 金属製と革製の素材がある
- 金属製は立ち上がりの明るい音が鳴る
- 革製は柔らかい音が出しやすい
- リガチャーとリードの接点は、縦型・横型・点型がある
リードとの組み合わせを色々試すと更に様々な変化を感じる事が出来ると思いますので、ぜひ色々試してみて好みの音色を探してみてください!