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音楽史

バロック音楽の特徴と有名な作曲家!通奏低音の演奏方法とオペラとの関係も


学校の音楽の授業で「バロック音楽」という言葉を耳にしたことがある方も少なくないと思います。

バロック音楽とは17世紀~18世紀にかけてのヨーロッパの音楽、つまりその頃のクラシック音楽です。現代風に分かり易く説明すると70年代ロック、90年代ポップスと同じです。

今回はバロック音楽の特徴や有名な作曲家、バロック音楽とオペラの関係や少し専門的な「通奏低音」について解説していきます。

バロック音楽の特徴

バロック音楽が誕生する前は「ルネサンス音楽」という音楽が主流でした。

クラシック音楽は厳格なルールに則って作曲/編曲する決まりがあり、ルネサンス音楽は基本的に「対位法」をベースに作曲し「不協和音」の使用には制限がありました。

しかし、これでは表現方法に限界があると感じた作曲家達が、ルールを変えようと運動を起こした結果、徐々にルールが変わっていきました。

最初は声楽(オペラ)のルールが変わり、宗教音楽や鍵盤音楽(この頃はピアノではなくチェンバロ)で半音階や不協和音も使用されるようになりバロック音楽が誕生します。

バロックとは

当時の芸術家は「バロック音楽家」ではなくで古典主義の音楽家であると考えていました。

しかし、この芸術運動が始まったばかりのころは「比喩的な意味で、いびつ、奇妙、不規則」といった決してポジティブではない意見が飛び交いました。

そして、ポルトガル語で「歪んだ真珠」という意味を持つバロックという言葉が定着したといわれています。

現在、バロック芸術は「自由な感動表現、動的で量感あふれる装飾形式」を特色とした芸術様式と評価されています。

バロック音楽は教会と貴族のための音楽

バロック時代は貴族が大きな力を持つ貴族社会の時代で、この時代の貴族は毎日のように宮殿にて祝典を開き音楽を楽しんでいました。

この時代の作曲家は貴族もしくは教会のミサの為に曲を書くのが仕事でした。自分自身の感性を生かした楽曲ではなく「クライアントの依頼に応える雇われ作曲家」として作曲活動をしていました。

現在のミュージシャンは「レコード会社の雇われ作曲家」ですが、バロック時代は貴族がレコード会社のような存在でした。

器楽中心の音楽

バロック時代に入る前の音楽は声楽が中心でした。その頃は現在のオーケストラで使われている楽器は殆ど誕生しておらず、声楽が主流でした。

音楽は教会のミサの為に存在していましたが、バロック時代に入ると「ピアノの前身であるクラヴィコードやチェンバロが完成」します。

更にフルート・クラリネット・オーボエといった木管楽器も現在の形とは異りますが誕生し、器楽中心の楽曲が多くなります。

バロック音楽のジャンル

バロック音楽にもジャンルが存在しています。

オペラ

バロック時代に最も流行った音楽ジャンルが「オペラ」です。オペラは器楽の伴奏に声楽を組み合わせたものです。

ルネサンス時代のオペラは3声楽形式でしたが、バロック時代のオペラは独唱が加わるという特徴があります。

オペラというジャンルでは「ヘンデル」が非常に人気がありました。

カンタータ

カンタータは声楽曲ですが、ミサで使われる宗教的な声楽ではなく「劇のないオペラ」といわれるようなポピュラーな声楽曲であることが特徴です。

オラトリオ

オラトリオとはキリスト教の物語を題材とする声楽曲で、宗教が絡むことによってカンタータよりは厳かな雰囲気の声楽曲です。

受難曲

キリストの磔を題材としたオラトリオよりも更に重い雰囲気の宗教曲です。最も有名な受難曲はバッハの「マタイ受難曲」です。

器楽曲

楽器の急速な普及によって生まれた、楽器だけで演奏される新しい音楽です。

チェンバロのみで演奏される曲、チェンバロ+フルートといった伴奏と旋律楽器の演奏、ヴァイオリン属による合奏といった様々な編成による曲が作られました。

チェンバロ系はバッハ、コーラス系はヘンデル、弦楽合奏はヴィヴァルディが有名です。

  • 宗教と貴族のための音楽
  • 作曲の形式の変化
  • 半音階や不協和音の使用
  • 対位法や通奏低音
  • 平均律
  • ジャンルの細分化
  • ピアノの前身であるチェンバロの誕生

バロック音楽の主な特徴をまとめると以上のようになります。

バロック音楽の誕生は現代音楽の基礎の確立とも言えます。

そして、バロック音楽の要素が最も強い現代音楽は「ヘヴィー・メタル」です。

バロック時代の協奏曲のようなメロディーを多用した「ネオクラシカル・メタル」や、フルオーケストラやオペラティックな声楽を取り入れた「シンフォニック・メタル」というジャンルは現代版バロック音楽とも呼ばれています。

続いてはバロック時代の有名な作曲家について解説していきます。

有名な作曲家

一般的に最も知られているバロック時代の作曲家は「アントニオ・ヴィヴァルディ」と「ヨハン・セバスティアン・バッハ」です。

ヴィヴァルディは独奏楽器(バイオリン)のテクニックを前面に出した「3楽章形式」の協奏曲を確立し、バッハは「平均律」を確立しました。

この2人がバロック時代を代表する有名な作曲家です。

ヨハン・セバスティアン・バッハの豆知識

バッハ一族の中でも元も有名な「ヨハン・セバスティアン・バッハ」はバロック時代に現代音楽の基礎を築きました。

「G線上のアリア」など数々の名曲を生み出したバッハですが、当時は全く評価されていませんでした。

現在は非常に有名な音楽家ですが、バッハの音楽は死後200年以上も経ってから、メンデルスゾーンに発見されたことで評価されました。

現代の様々な音楽(ロック、ポップス、ジャズ、ヒップホップなど)はバッハの技法が使われています。バッハを勉強していなくても、無意識のうちにバッハの確立した技法を曲中に使っていることが殆どです。

それだけバッハの影響力は大きなものだと思います。

通奏低音の演奏方法

通奏低音は簡単に説明すると「バロック音楽で頻繁に使用される伴奏」です。楽譜上では低音部の旋律のみが示され、奏者はそれに適切な和音を付けて演奏します。

これは現代でいうコードネームのようなもので、この「音と番号が使われたらこの和音を付ける」というものです。

例えば「Am」と記されていれば「ラ・ド・ミ」と和音を弾くのと全く同じです。

通奏低音はコードネームの元祖のようなものです。(現在は使用されることは少ないです)

まとめ

バロック音楽について解説をしてきましたが、バロック音楽を含むクラシック音楽を古い退屈な音楽とは思わず研究してみるのも非常に面白いのでおすすめです。

時代が違うだけで根本的な部分は全く変わらないですし、バロック時代の作曲家たちが今生きていたら、どんな音楽を作っていたのかを考えるのも非常に楽しいです。

個人的にヴィヴァルディが今生きていれば間違いなくエレキギターをメインにした曲を作っていたでしょうし、即興演奏の名手でもあったバッハに関してはハモンドオルガンを使用してジャズをやっていた可能性が高いのではと思っています。

また、音楽をやっている方はバロック音楽を勉強して損はありませんので機会があれば是非、勉強してみて下さい。この時代の作曲法(対位法など)を1つ覚えるだけでも作曲の幅は非常に広がります。

最近はYoutubeに一般的にはあまり知られていないバロック音楽が沢山アップされていますし、同じ曲でも演奏者が違えば全く異なる曲に聴こえて非常に面白いです。

この機会にバロック音楽を聴いてみるのも良いかと思います。