ZOOM G5nはリアルなチューブアンプや有名アンプのモデリングをしているマルチエフェクターです。G5nはZOOMのエフェクターにしては少々、高めの価格設定になっています。
このモデルはボディーやスイッチの耐久性が従来のモデルよりも高くなっています。今まではプラスティック製でしたので、非常に耐久性が低いエフェクターでした。
今回のレビューはG11と同様にマーシャルDSL1C(小型コンボアンプ)とストラト(HS-3搭載)を使用し、G11との比較もしてみようと思います。
まずは、ZOOM G5nの仕様から始めます。
ZOOM G5nの基本仕様
公式サイトに掲載されている主な仕様から見てみましょう。
- エフェクトタイプ: 68タイプ
- アンプモデリング: 5タイプ(MS800/ FD TWNR/UK 30A/ BG MK3/ Xtasy Blue)
- キャビネットモデリング: 5タイプ(MS4x12/ FD2x12/ UK2x12/ MK3 1×12/ BGN4x12)
- 同時使用エフェクト: 9
- パッチユーザーエリア: 200パッチ
- プリセットパッチ: 100パッチ
- リズムパターン: 68パターン
- サンプリング周波数: 44.1kHz
- A/D変換: 24ビット128倍オーバーサンプリング
- D/A変換: 24ビット128倍オーバーサンプリング
- 信号処理: 32ビット
アンプモデリング数は他社のマルチよりは少ない5タイプですが、モデリングの名前から予想すると「MS800:マーシャルJCM800」で「FD TWNR:フェンダー・ツインリバーブ」だと思います。
続いて、ZOOM G5nのレビューをしていきます。
ZOOM G5n モデリングアンプのレビュー
まずは5種類のアンプモデリングのサウンドのレビューから始めます。
MS800
サウンドの質から予想するとマーシャルJCM800のモデリングだと思います。
モデリングですので完全再現は不可能ですが、例えるならばJCM800をクリアにした感じです。
かなり歪みますので、ゲインのコントロールが難しいところです。ゲインを落とせば曇ったサウンドになり、上げれば歪み過ぎてギタープレイのタッチやニュアンスが消されてしまいますので加減に注意しないといけません。
FD TWNR
フェンダーのツインリバーブによく似たサウンドになっています。
本物のツインリバーブよりも音の抜けが悪く、扱いやすいサウンドです。(本物は音抜けが良過ぎて扱いにくさがあります)
EQやエフェクトでミドル/ミッドハイを持ち上げて、太さと音抜けを加えていくと良い感じのサウンドになります。
何ワットのツインリバーブなのかは不明ですが、サウンドの質から小型のツインリバーブのように感じました。
UK 30A
モデリング名とサウンドからVOX AC30のモデリングだと思います。
よくあるVOXのモデリングと同様に、音が細いのでEQやエフェクトでしっかりと音作りが必要です。(実際のVOXは小型ながら音は太く音圧もあります)
太さと音圧を上げる為にEQやエフェクトを使用する際は、音が曇らないように気を付ける必要があります。※EQのBASSの上げすぎには特に注意です。
BG MK3
こちらはモデリング名やサウンドからモデリングしているアンプの判別ができませんでした。
モデル名は分かりませんがハイゲインアンプです。サウンドの質感からメサブギーやヒュース&ケトナー系ではないと思います。どちらかと言うとマーシャル系の柔軟性がある荒い歪みです。
ハイゲインですが、ギタープレイのタッチが出しやすいので、MS800とBG MK3を好みで使い分ける方が良いと思います。
このアンプはオジー・オズボーンのバンドのギタリスト「ランディー・ローズ」のギターサウンドに凄く近いと思いました。
Xtasy Blue
こちらもモデリングしているアンプは不明ですが、コンボアンプのサウンドです。
昔のPODに内蔵されていたVOXやツインリバーブのようなサウンドで、音が細く音圧も足りないように感じます。
色々と調整しましたが上手く音作りができないので、これを使うならFD TWNRの方が良いと思います。
ZOOM G5n パッチのサウンドレビュー
G5nには有名ギタリストのサウンドをシュミレートした非常に面白いパッチが沢山、内蔵されています。
その中からいくつかピックアップしてレビューをしていきます。
UFO
パッチ名から分かる人には分かると思いますが「マイケル・シェンカー」のサウンドです。
UFO時代からマイケル・シェンカーは「フライングV、マーシャル・アンプ、ミッドストップさせたワウ」を使用していますが、その音を再現したものと思われます。
何となく似てはいるレベルの再現度ですが、マイケル・シェンカーが好きな方なら楽しめるサウンドだと思います。
余談ですがマイケル・シェンカー風のサウンドは「ハムバッカー・ピックアップ搭載のギター、クライベイビーをミッドストップ、マーシャルアンプ」で簡単に作れますので興味のある方は試してみて下さい。
The Brown
ブラウンという名の通り「エドワード・ヴァン・ヘイレン」の「ブラウン・サウンド」のパチです。
このパッチのサウンドですが「それ風のサウンド」にはなっています。ブラウン・サウンドをマルチエフェクターで再現するのは、これが限界だと思います。
誰もが1度は憧れるヴァン・ヘイレンのブラウン・サウンドですが、クラフトマンがアンプをヴァン・ヘイレン専用に大幅に改造をしています。その改造方法は企業秘密で未だに分かりませんが、普通では考えられないような改造を施しているそうです。
Rhapsody
クイーンの「ブライアン・メイ」のサウンド・パッチです。
ブライアン・メイと言えばスイッチが沢山付いたオリジナルのギターが有名ですが、そのサウンド(フェイズアウト・モード)をフェイザーを使用して似せたパッチです。
ブライアン・メイ本人はピックアップの位相を逆にして作ったサウンドですが、それを通常の位相で似せるのですから再現度は低くなります。
しかし、コインで弾く(ブライアンはピックではなくコインで弾く)と似たような質感になるので面白いと思いました。
空間系エフェクトのサウンド
空間系エフェクトに関しては「G11」と殆ど変わらなく感じました。
空間系エフェクトの好みはデジタル派とアナログ派に分かれますが、デジタル派であれば満足できるレベルだと思います。
今までのシリーズは音が痩せるので正直、使いものになりませんでしたが格段にクオリティーが上がっているので、アンプのセンド/リターンに接続して使用するのも良いと思います。
ワウのサウンド
ワウはマルチエフェクター特有の効きが強めで、劣化の無いサウンドでした。
劣化したアナログ的な温かみが好きなギタリストには向きませんが、最近のハイファイなワウ・サウンドが好きなギタリストにはおすすめできます。
このハイファイさがなければ先程、紹介した「UFO」というパッチもリアルになっていたと思います。
これはZOOMに限らずですが、マルチエフェクターのワウ・サウンドは90年代のマルチエフェクターのサウンドに戻した方が良いと思います。
まとめ
ZOOM G5nですが今までのZOOMシリーズほど悪くは無く、特にパッチ・サウンドは遊び心があって良いと思いました。
G5nとG11との比較ですが根本的なサウンドは殆ど変わらないので、もし購入するのであればG5nをおすすめします。
G11のクオリティーであの価格は高すぎますし、同じ価格帯で他社にもっと素晴らしいエフェクターがありますので、そちらを選ぶ方が良いと思います。
- G5nは遊び心があって演奏していて楽しいエフェクター。
- アンプモデルやパッチも初心者~中級者まで満足できるレベル。
- G11とほぼ変わらないクオリティーなので購入するのであればG5nがおすすめ。
このレビューをG5nの購入や使用の参考にしてみて下さい。