先日、ZOOMから「G11」というマルチエフェクターが発売されました。
この「G11」は従来のZOOMのエフェクターとは見た目から違います。
ZOOMといえばマルチエフェクターでもコンパクトサイズであることが特徴でしたが、「G11」は通常のフロアタイプと同じ大きさになっています。
更にタッチパネルが搭載されているのも大きな特徴です。耐久性の面でも、パッチ切替えのスイッチに関しては従来のモデルよりはしっかりとした構造になっているように思います。
そして、今までのモデルとは価格も全く違います。ZOOMのエフェクターと言えば1万円ほどの低価格が売りでしたが「G11」はその7~8倍の価格になっています。
今回はこの「G11」をレビューしていきますが、いつもとは視点を変えてレビューしてみようと思います。敢えてスタックアンプからは鳴らさずマーシャル「DSL1H」というコンボアンプを使用します。
では、ZOOM G11の仕様から見ていきます。
ZOOM G11の仕様
「G11」の主な仕様は以下の通りになっています。
- 従来比3倍以上の圧倒的なプロセッシングパワーを誇る最新DSP(ZOOM G5nとの比較)
- 16種類の定番アンプモデル+6種類の新開発ZOOMオリジナルアンプモデル
- 22種類のキャビネットモデルに加え、70個のRデータをプリインストール
- 新開発のオリジナルエフェクト:ディストーション2種+モジュレーション3種
- 最大2048サンプル、合計200個(70プリセット+130ユーザー)を読み込めるIRローダー機能
- 最大9エフェクト+1アンプモデルの同時使用が可能
- 240種類のエフェクトパッチをメモリー可能(ファクトリー/ユーザー兼用)
- スワイプやドラッグ&ドロップ操作が可能な5インチ・タッチスクリーン
- いつでも即座に調整できる独立アンプセクションと5つのストンプパネル
- 最長でステレオ5分のフレーズを録音できるルーパー機能
- ルーパー機能と同期できる68種類のリズムパターン
- 4イン/4アウトのUSBオーディオ・インターフェース機能
- 4ケーブルメソッド対応、外部エフェクトを接続できる2系統のセンド/リターン端子
- 外部機器と連携できるMIDI IN/OUT端子
- 音楽プレイヤーなどの接続に便利なステレオAUXインプット端子
- 435Hz/445Hzのキャリブレーション、オープン/ドロップチューニングにも対応する内蔵チューナー
- ボリューム/ピッチ/ワウ等をフットコントロールするエクスプレッションペダル
こちらは公式サイトに掲載されている「G11」の仕様ですが、やっと他社メーカーのマルチエフェクターと同等の仕様になった印象です。
今までは低価格で販売を可能にするためにボディーをプラスティック製にし、内蔵しているサウンドもデジタルではありますが、決して良いものではありませんでした。
「G11」の仕様はBOSSやLINE6と同等になっていますので、従来のZOOMとは全く異なるサウンドであることは仕様を見ただけでも分かります。
では、ZOOM G11のレビューをしていきます。
ZOOM G11のレビュー
ZOOMの公式サイトやマニュアルを見ても、アンプシュミレーターやエフェクターが何をモデリングしたのか掲載せれていませんので歪み系、空間系、フィルター系と分けてレビューします。
アンプモデルのサウンド
ナチュラルサウンドもドライブサウンド従来のZOOMのサウンドとは全く違います。
正直に言ってしまえば、今までのZOOMはこれからギターを始める初心者や、沢山のサウンド(アンプやエフェクター)を鳴らしたことのないギタリスト向けという感じでした。実際、そういったギタリストをターゲットに商品開発をしていたと思います。
しかし「G11」はマルチエフェクターのサウンドが好みの多くのギタリストが納得できるレベルのサウンドだと思います。
アンプモデルは主にレコーディングに使用することが多いと思いますが、ミックスでサウンドを上手く調整すれば全然、問題なく使用できるサウンドだと思います。
歪み系エフェクターのサウンド
歪み系エフェクトのサウンドですが、今までのZOOMシリーズのものとは全く異なるサウンドに変わっています。
分かり易く例えるとデジタル色が強い、アンプシュミレーターのプラグインのようなサウンドで、線の細さが気にならなくなっています。
ゲインの効きが強く感じる部分がありますので特に初心者の方は、調整に注意した方が良いと思います。歪ませ過ぎるクセが付かないようにしましょう。
アナログ感については他社のマルチエフェクターほど出せていませんので、現代風ハイファイ・サウンドが好みの方にはおすすめできます。
1つ欠点があるとすれば、ピッキングのニュアンスや繊細なギタープレイのタッチを完全に拾わないところです。ニュアンスやタッチで勝負しているギタリストは、この部分に不満を感じるかもしれません。
しかし、これは少々、雑に弾いても綺麗に聴こえるということでもありますので、そのタイプのサウンドが好みのギタリストには良いかもしれません。
空間系エフェクターのサウンド
空間系エフェクターはデジタル派とアナログ派に分かれてしまいますが、デジタル派の方には満足できるサウンドだと思います。
従来のZOOMシリーズの空間系エフェクターは音痩せが非常に気になりましたが、その音痩せの問題は、かなり改善されていると思います。(音痩せ自体は僅かにします)
アンプのセンド/リターンに接続して極力、音痩せを防止することをおすすめします。
アンプシュミレーターのプラグインのようなサウンドですので、アナログ感は殆どありません。レコーディングの場合のみですが、アナログ感を出したい場合はミックスで上手く音質処理をすると良いと思います。
ワウのサウンド
ワウに関してもデジタル系のワウ・サウンドです。
コンパクト・エフェクターのワウを通した時のような劣化が無いので、好みが分かれるかと思います。
効きも強く、音の線の細さも気になりますが、これは他社のマルチエフェクターにもよくあることです。
ミッドストップで使用することもできなくはないですが、本物のワウのサウンドのようにはいかないと思いました。系統的にはヤンレイはVOXなどのサウンドに近いです。
G11のワウはトゥルーバイパス内蔵のワウが好きな方にはおすすめできます。
まとめ
ZOOM G11は想像以上にしっかりとしたエフェクターです。
正直、今までのシリーズは初心者にもおすすめできるものではなく、マルチエフェクターの体験版といったものが多かったのも事実です。
しかし、G11はやっと他社のマルチエフェクターと同じクオリティーまでレベルが上がったと演奏していて思いました。
クオリティー自体は上がりましたが、難点は価格にあると思います。従来のZOOM製品は約1万円ほどの低価格(ものによっては5千円程度)が魅力でしたが、G11は約8万円もします。
個人的にこの金額を出すのであればLINE6のPOD GOやHelixシリーズの方を選んでしまうと思います。(G11よりも格段にサウンド良いので)
G11はサウンドのクオリティーは上がったものの、今度は金額がネックになるかと思います。
もし購入を考えている方はBOSSやLINE6も弾き比べてからにすることをおすすめします。
この記事を購入や使用の参考にしてみて下さい。