ギターは湿度や気温の影響を受けやすい楽器です。特にネックへの影響が大きく少しの湿気や気温の変化で、ネックは反ってしまします。
日本の気候でギターを常に良い状態に管理するのは、非常に難しいとも言われています。
今回はギターを管理するための湿度調整剤の入れ方やメンテナンス方法、湿度や気温から受ける影響を解説していきます。
まずはギターを管理するために最適な湿度と温度から始めます。
ギターの最適湿度・温度
ギターの湿度管理ですが、常に完璧な状態で管理するには湿度40%~50%を常に保つことと言われています。これ以外の湿度環境で使用すると必ず何かしらの不具合が出ます。
温度に関しては一定の温度を常に保つことが大切と言われています。
しかし、常に40%~50%の環境を保つことは現実的に難しいと思います。この湿度を保つにはハードケースに湿度調整剤を入れて保管する方法が良いと言われていますが、それも難しいのが現実です。
では、湿度から受ける主な影響を解説していきます。
湿度50%~60%
こちらは加湿器のそばに保管した場合の湿度です。
水分過多になってしまい木が膨張します。更にネックの逆反りが起こり錆びも出ます。
湿度40%~50%
ハードケースに入れて湿度調整剤を入れた湿度です。
この状態がギターにとってベストな環境です。湿度の影響による不具合は出ません。
湿度30%~40%
この湿度は乾燥気味の環境になります。
乾燥対策を全くしていないこの環境で週1回演奏するだけでフレットにバリが出て、ネックが順反りします。
湿度20%~30%
この湿度は乾燥した環境になります。
アコギですとボディートップが落ち込み、エボニー指板は割れてしまします。
湿度10%~20%
こちらも乾燥した環境です。
この湿度の部屋でケースに入れず保管すると、アコギの場合はボディートップが割れます。更にブリッジが剥がれたりもします。
続いては湿度からギターが受ける影響について解説します。
梅雨時期など湿度からギターが受ける影響
湿度や気温からギターが受ける影響は以下のようなものが挙げられます。
- ネックへの影響。(順反り、逆反り、捻じれ)
- 弦への影響。(チューニングが狂います)
- フレットなど金属パーツへの影響。(腐食、錆)
では、1つずつ解説していきます。
ネックへの影響
湿度や気温からギターが受ける影響で、最も多いのがネックへの影響です。少しの湿度と気温でネックは反ってしまいます。
特に日本はギターをべストなコンディションで保つのが難しい(不可能に近い)環境ですので、ネックが反ってしまうのは仕方のないことでもあります。
そのような環境なので、反ってしまったネックをその都度、調整しながらギターを弾くようにするしか方法はありません。
弦への影響
弦は湿度や気温で伸び縮みしますので、湿度や気温が僅かに変わっただけでもチューニングが狂ってしまいます。
またネックが反ると弦にも影響が出てチューニングが狂ってしまいます。
こちらも対処法はハードケースに湿度調整剤と一緒に入れて保管する他に方法はありませんが、これでは演奏ができなくなります。
対策法は、その都度チューニングを合せるしかありません。
フレットや金属パーツへの影響
湿気は金属パーツへの腐食に繋がります。ギター本体のフレット、ブリッジ、ペグが腐食してしまうとチューニングを始め演奏に使用が出ます。
こちらは湿度管理よりも、頻繁にクロスで水気を拭き取ることで対処できます。
湿気によるギターへの影響は以上のようなものがあります。
続いてはギターの湿度・温度管理方法について解説していきます。
ギターの湿度・温度管理方法
ギターにとって1番良い湿度と温度の管理方法は、加湿器で常に湿度40%~50%を保ち、更にエアコンと使用して常に室温を一定(何度でも良い)の温度に保つことです。
しかし、正直に言ってしまうと、これは不可能に近いことです。
ギターは室温と気温の影響を受けるものだと理解し、影響を受けた時にすぐに対処できるようにしておくことが大切です。
対処法は2つあります。
対処法①
ネックの反りなどをメンテナンス出来るように、ある程度のメンテナンス知識と技術を身に付けておくことです。
そうすれば湿度や気温の変化でネックが反った時、六角レンチを使用してすぐに直すことが可能です。
対処法②
もう1つの対処法はメンテナンス代を常に確保しておくことです。
ネック調整は反りくらいでしたら8000円ほどで楽器店でリペアしてもらえます。捻じれた場合は楽器店にもよりますが30000円ほどかかります。
湿度・気温の影響を受けにくいギターを選ぶコツ
楽器店でリペアマンをしている友人の話ですが、アメリカ製やメキシコ製の楽器(フェンダーUSAやフェンダーMEX)などは向こうの気候(日本とは真逆の気候)に合せた木材をチョイスして制作されているそうです。
そのためアメリカ製やメキシコ製のギターは、日本の気候には合わないものが多いそうです。
日本で使用するのであれば、日本で制作されたギターを選ぶのが湿度や気温の影響を考えると1番良いとのことでした。
続いては湿度調整剤の使い方について解説していきます。
湿度調整材の入れ方
ギターを少しでも良いコンディションに保つために、写真のような湿度調整剤というグッズが販売されています。(あまり効果がありませんので気休め程度に使用して下さい)
調整剤を水分を発生させ湿度を調整してくれるので、楽器と一緒にケースに入れて使用します。
調整剤を使用する際の注意点
調整剤は水分を発生させるのでソフトケースであれば外側のポケットに、ハードケースであれば小物入れにいれると良いと思います。
楽器に触れる場所に調整剤を入れてしまうと、調整剤の水分で金属パーツがサビてしまいます。
最悪の場合はピックアップに水分が入ってしまいます。そうすると断線してしまいピックップを買い替えないといけなくなります。
湿度調整剤を使用する場合はギターに触れる場所に置かないことが大切です。
湿度調整剤の効果
調整剤なのですが、自分自身は使用していません。その理由ですがカビ臭さなどの防臭効果はありますが、楽器のコンディションには全く効果を感じないためです。
先程も解説した通り、日本の気候はギターのコンディションを管理しにくいので、調整剤を使ったくらいではコンディションを保つことができません。
そして、ギターのコンディションは、ベストコンディションに整えた数分後に最悪のコンディションになることもよくあります。
個人的には完璧ではないにしろ、コンディションが悪くなったら、その都度応急処置くらいはできるようにしておくことを、おすすめします。
まとめ
ギターの湿度管理に関するまとめに入ろうと思います。
- ギター(ベースも)は僅かな湿度・気温の変化でコンディションが変わる。
- 常にベストコンディションに保つことは不可能に近い。
- 湿度調整剤は水分を発生させるのでギターに触れる場所には置かない。
- コンディションが悪くなる度に自分で調整できる知識と技術を身に付けるのがおすすめ。
日本の気候の問題もありますが、ギターは木でできていますので常にコンディションが変化するのは仕方のないことです。そして木の変形は湿度調整剤くらいでは防ぐことができません。
1番良い方法は、ギターを演奏する度にコンディションの確認をして不具合があれば応急処置をしておくことです。(演奏しない時もコンディション確認だけでもすると良いと思います)
この記事をギターの管理や保管の参考にしてみて下さい。