BOSS GT-5は、ラックタイプのエフェクターであるGP-100のデジタルプリアンプと、BOSSのアナログオーバードライブ/ディストーションを併せて使うことができる、デジタルとアナログを融合させた1台です。
1996年発売なので20年以上前のマルチエフェクターですが、このレビューは現在の感覚で弾いてみたレビューになります。
レビューに使用した楽器/機材は以下の通りです。
- ストラトキャスター(カスタム693基搭載)
- マーシャル JVM410H
では、GT-5のレビューを始めたいと思います。
BOSS GT-5 デジタル・プリアンプのサウンド
GT-5は13種類のデジタルプリアンプを搭載しています。これは現在でいうアンプシュミレーターになります。
JCやVOXなどのコンボアンプからマーシャル1959、ソルダーノ、ピーヴィー5150などのハイゲイン・スタックアンプのサウンドをシュミレートしたデジタルプリアンプが内蔵されています。
当時のモデリング技術は現在よりもかなり低いので、モデリングしているアンプの再現は全くと言って良いほどできていません。
GT-5を使用する場合はモデリングしているアンプを意識しないで、鳴っているサウンドで判断すると良いと思います。
※このレビューは出力するアンプはクリーンに設定して鳴らします。
JC-120
ローランドのジャズコーラスのモデリングです。音圧不足でサウンドに広がりがなく、抜けも悪いサウンドです。
EQフラット状態で、このようなサウンドですので、音圧と抜けを出すためにはアンプ側のEQミッドハイを押し上げる必要があります。更に、サウンドの輪郭がぼやけない程度にリバーブで広がりを出すとJCらしいサウンドになります。
JC-120はEQとエフェクトで手を加えないといけないと思います。
BG Lead
取扱説明書には「70年代後半から80年代を代表する真空管アンプのサウンド」とありますが、どのアンプをモデリングしているのかは不明です。予想ですが、あの時代のマーシャルだとは思います。
まず、マルチエフェクターに真空管は搭載されていませんので、真空管のサウンドは鳴りませんし、似たサウンドも再現できていません。(真空管サウンドは現在のデジタル技術でも再現できていません)
BG Leadのサウンドですが、程良いゲインとサウンドのコントロールのしにくさがマーシャルアンプのようで個人的には気に入っています。
多くのモデリングアンプは誤魔化しが効きすぎて弾いていて楽しくないのですが、BG Leadは本物のマーシャルアンプのような弾きにくさがあります。これはギタープレイのニュアンスを自由自在に出せるということでもあります。
GT-5のBG Leadは個人的に1番おすすめのモデリングアンプです。
MS 1959
マーシャル1959のモデリングアンプです。このアンプは大人気のヴィンテージアンプですが、現在のデジタル技術を駆使しても再現不可能なので当然、GT-5でも再現はできていません。
BOSSに限らずLINE6でもそうなのですが、1959をモデリングするとローからミドルにかけてサウンド全体をぼやけた雰囲気が覆ってしまいます。
1959のモデリングを使用する場合は、このぼやけた雰囲気をローとミドルを削らずに排除することが必要になります。
その方法ですが、GT-5のEQでベースを絞っていき(ゼロでも良い)出力するアンプ側でEQのベースをバランスよく調整するのがコツです。
MS 1959は手を加えないと使用できないサウンドだと思います。
SLDN Lead
ソルダーノのモデリングです。ソルダーノの、どのモデルなのかは不明ですがエッジの効いた荒々しいサウンドが鳴ります。
ハイゲイン過ぎますので、相当ゲインを絞らないとコードを弾いた時のサウンドの輪郭が無くなります。
アンプのアグレッシヴさが失われない限界までゲインを下げて、不足した音圧やサスティンはオーバードライブなどのエフェクターで追加すると良いと思います。
Metal 5150
ピーヴィーの5150にも種類がありますが、どの機種のモデリングかは不明です。サウンドの質を効く限りでは大型スタックアンプで間違いないと思います。
BG Leadを若干、整えてハイゲインにしたようなサウンドです。BG Leadのような弾きにくさはありませんので扱い易いサウンドです。
それほど手を加えなくてもEQとゲインの設定のみで幅広い音作りができます。個人的にはゲインを限界まで下げたほうが本物のアンプの鳴りがするので好みでした。
Metal Drive
モデリングしているアンプの機種は不明ですが、メサブギーで間違いないと思います。
GT-6などと同様に誤魔化しの効く綺麗に整ったサウンドです。そのためギタープレイのニュアンスは非常に出しにくいです。ゲインを下げるとニュアンスが出るようになります。
コード感が無くならない程度にゲインを落とし、ギタープレイのニュアンスが出るようにセッティングすると良いと思います。
非常に弾き易いので初心者ギタリストにも扱い易いモデリングアンプです。しかし、誤魔化しの効くアンプに慣れていまうと、上達しませんので気を付けるようにして下さい。
GT-5 エフェクターのサウンド
GT-5には歪み系エフェクターや空間系エフェクターのパッチが内蔵されています。
※エフェクターのレビューはモデリングアンプをオフにしてJVMでサウンドを作り行いました。
歪み系エフェクターのサウンド
ファズやオーバードライブ/ディストーションといったエフェクターのパッチが内蔵されていますが、最近のモデルのように他社の人気機種のモデリング(TSやRATなど)は内蔵されていません。BOSSのコンパクトエフェクターのモデリングのみです。
ファズ
ファズに関しては元々がトランジスタやゲルマニウムを電池駆動させるエフェクターなので、マルチエフェクターで再現は不可能です。
このパッチは過激に歪む線の細いサウンドです。個人的には使えないと思います。
オーバードライブ/ディストーションのサウンド
BOSS独特の雰囲気が出ています。このサウンドの雰囲気に関しては好みが分かれます。
個人的にはSD-1系のドライブサウンドは最近のモデルよりもGT-5の方がヴィンテージ感が出ていて良いと思います。出力するアンプのサウンドを変えてしまわない程度にBOSSらしさを追加する使用方法も悪くはないと思います。
あまり強くかけてしまうとアンプのサウンドがBOSSのサウンドになっていしまうので中位が必要です。
BOSSのコンパクトシリーズを何台も使用したいのであれば、GT-5を使用しても良いと思います。
空間系エフェクトのサウンド
最近のモデルのようにハイファイ過ぎず、程良くアナログ感があり個人的には気に入っています。
近年はデジタル技術が進化し、空間系エフェクトはサウンドがクリアに機械的になりすぎてしまいましたが、GT-5はデジタル技術ではありますがコンパクトエフェクターのアナログ感がしっかり出ています。
人気のディレイ、DD-5のようなサウンドも鳴らすことができますし、リバーブなども自然な感じで良いと思います。
GTシリーズは古いモデルになればなるほど空間系エフェクトのクオリティーが高いように感じます。
まとめ
BOSS GT-5レビューのまとめに入ります。
- モデリングアンプはBG LeadとMetal5150がおすすめ。
- 歪み系エフェクターはBOSS独特の雰囲気が出ている。
- 空間系エフェクトはシリーズ中で1番アナログ感がありクオリティーが高い。
以上のポイントをGT-5の購入や使用の参考にしてみて下さい。