BOSS GT-3はGT-5の後継機種です。フット・スイッチが5つから4つに減り、バンク・ペダルが2つに増え、本体は全体的にコンパクトになったのが特徴です。
1998年発売のマルチ・エフェクターですので、サウンドの質は現在のGTシリーズとは全く異なります。更に、発売当時と今ではサウンドの聴こえ方も違います。
今回のレビューは、現在の感覚でGT-3を使用してみたレビューなります。
レビューに使用する楽器/機材は以下の通りです。
- ストラトキャスター(フロント&リアにHS-3、センターにテキサス・スペシャル)
- マーシャル JVM410H
BOSS GT-3 アンプ・シュミレーターのレビュー
GT-3にもVOXやマーシャル1959、5150、メサブギー等のアンプシュミレーター、そして人気のコンパクト・エフェクターのサウンドをモデリングしたパッチが内蔵されています。
まずモデリングの技術が今ほど高くない時代のマルチ・エフェクターですので、再現度に関しては非常に低いです。
音作りをして、モデリングしているアンプに近付けることも難しいので、鳴っているサウンドが好みかどうかで判断する方が良いと思います。
アンプ・シュミレーターに関しては、出力するアンプをクリーンにセッティングして鳴らす方がサウンドのバランスが取り易くなります。アンプではなくモニター・スピーカーからの出力もおすすめです。
JC-120
アンプから出力するよりも、ラインでモニター・スピーカーから出力した方が綺麗に鳴ると思います。サウンド自体は音圧不足で線も細いです。
アンプから出力すると、アンプのサウンドとのバランスを取るのが難しく感じました。モニター・スピーカーから出力して、ミキサーでEQやリバーヴをかけると上手くサウンドが作れますが、アンプのクリーン・チャンネルをそのまま使用した方が良いサウンドが鳴ります。
MS 1959
マーシャルの1959のモデリング・アンプです。1959には全く似ておらずクランチ系のドライブ・サウンドです。ゲインをフルにしても殆ど歪みません。
EQをフラットの状態でもローとミッドローがぼやけるので、EQのベースを0~3まで下げ、内蔵されているオーバードライブでミッドからミッドハイにかけて押し上げると良いと思います。
オーバードライブのトーンの調整がサウンドを上手く作るポイントです。トーンを上げてミッドからミッドハイをブーストした方が、EQで上げるよりも上手くいきます。
Metal 5150
ピーヴィーの5150のモデリングですが、どのタイプの5150かは不明です。MS 1959をよりハイゲインにし、ローとミッドローをクリアにしたようなアグレッシヴなサウンドです。
個人的に1番お気に入りのモデリング・アンプです。MS1959は音作りが難しく鳴らしにくさがありますし、次にレビューするMetal Driveは整いすぎていてニュアンスが出しにくいです。
しかし、この5150はプレイ・ニュアンスが出しやすく、モデリングの中では比較的リアルなアンプ・サウンドです。
Metal Drive
ハイゲインで非常にまとまりのある整ったサウンドです。プレイ・ニュアンスはモデリング・アンプの中で1番出しにくいのですが多少、雑に弾いても綺麗に鳴ってくれます。
ゲインをクランチ寸前まで下げると、誤魔化しが効かず弾きにくくなりますが、プレイ・ニュアンスは出るようになりました。
個人的に、この手のアンプに頼るのは上達しないので、あまり良くないと思いますが初心者におすすめのモデリング・アンプです。
BG Lead
マニュアルを見ると70~80年代を代表する真空管アンプをモデリングと書いていますが、どのアンプをモデリングしているのかは不明です。
MS 1959系を整えたようなサウンドでゲインも高めです。1959よりもこちらの方が扱い易く感じます。
SLDN Lead
こちらもモデリングしているアンプは不明ですが、名前から予想するとソルダーノ・アンプで間違いないと思います。Metal Drive系のハイゲイン・アンプですが、こちらの方がプレイ・ニュアンスも出るのでおすすめです。
Metal Driveはクランチ寸前までゲインを落として、弾きにくいセッティングにしないとプレイ・ニュアンスが出せませんが、こちらはハイゲインのままでもプレイ・ニュアンスが出せます。
- モデリング・アンプはSLDN LeadとBG Leadがおすすめ。
- 出力するアンプはクリーンに設定する。
- EQはGT-3よりも出力先のアンプで調整する。
この3つが上手く使いこなすコツですので、参考にしてみて下さい。
BOSS GT-3 エフェクターのレビュー
現在、発売されているGTシリーズに比べると内蔵されているエフェクトの数が少なく、BOSSのコンパクト・エフェクターのみをモデリングしているようです。TSやRATなどBOSS以外のメーカーのエフェクターのモデリングは内蔵されていません。
歪み系エフェクターのサウンド
1998年のエフェクターですので全体的にサウンドに張りや抜けがありません。サウンド全体がぼやけた雰囲気で覆われています。(これはBOSS特有のクセともまた違います)
モデリング・アンプと併用するのが通常の使用方法ですが、エフェクター自体の効果は悪くありませんが、ぼやけた雰囲気まで追加されてしまいます。
このサウンドが好みであれば問題ありませんが、個人的にはGT-3の歪み系エフェクターを使用するのであれば他のものが良いと思いました。
空間系エフェクターのサウンド
マルチ・エフェクターですが、今の感覚ですとアナログ感溢れるサウンドに聴こえます。
GTシリーズは新しいモデルが発売されるごとにアンプ・シュミレーターや歪み系エフェクターの欠点は改善されて行きましたが、空間系に関してはリアルさが失われていました。
GTシリーズの空間系エフェクトは、古いモデルになるほどアナログ感が増していくようです。
BOSSで人気の空間系エフェクターは生産終了してしまっているものも多いですが、それに近いサウンドを古いGTシリーズで出すことができます。アンプのセンド/リターンに接続して空間系専用に使用してみるのも良いかもしれません。
ワウのサウンド
ワウのサウンドも古いモデルの方がサウンドが劣化した雰囲気もよく再現されていると思います。
サウンドの劣化は計算して意図的に再現したものではないはずですが、最近のマルチ・エフェクターのワウでは絶対に出せないものです。(単体のワウほどの劣化ではありません)
ワウの効きも最近のモデルほど強くなく、ペダルをミッド・ストップしたサウンドも良いと思います。
まとめ
BOSS GT-3のまとめに入ります。
- アンプ・シュミレーター出力先のアンプをクリーンにして使用する。
- Metal Drive、BG Lead、SLDN Leadがおすすめのモデリング・アンプ。
- 歪み系エフェクターは単体で使用する方がおすすめ。
- 空間系エフェクトはアナログ感があり近年のGTシリーズよりもコンパクト・エフェクターの再現度は高い。
- ワウは劣化の仕方が本物に近く、効きも程良い。ミッド・ストップで使用することもできる。
以上がGT-3を使用してみた感想です。
現在は生産終了していますので中古品しか入手できませんが、初心者ギタリストにもおすすめできるエフェクターです。
このレビューを購入や使用する際の参考にしてみて下さい。