サイレントギターは特殊な構造ですが、使用する弦、弦交換、弦高調整の方法は通常のギター(エレクトリック・ギターやアコースティック・ギター)と全く同じです。
弦の交換頻度に関しては1日にどのくらい演奏するかにより、弦の劣化のしかたが異なりますので個人差があると思います。(夏や梅雨の時期は弦の劣化(腐食や錆)が、他の時期よりも早くなります)
今回はサイレントギターの弦の種類や弦交換方法、弦高の調整方法などを初心者にも分かり易く解説していきます。
まずは、サイレントギターの弦の種類から解説していきます。
サイレントギターの弦の種類
サイレントギターの弦は通常のギターと同様にスティール弦、ナイロン弦を使用します。
※サイレントギター専用の弦というものはありません。
ナイロン弦のサウンド
クラシック・ギターに使用される弦で1弦~3弦がナイロン製、4弦~6弦はスティール製です。ナイロン弦は太くて温かみのあるサウンドが特徴で、スティール弦に比べ音量も小さめです。
しかし、スティール弦に比べると切れやすいというデメリットがあります。
スティール弦のサウンド
弾き語りなどをする際に使用されるアコースティック・ギター用の弦です。高音が効いていて、ナイロン弦と比べると音量も大きくなります。
ナイロン弦に比べて切れにくいですが、劣化が早く錆びやすいというデメリットがあります。
弦のゲージによるサウンドの違い
弦のゲージ(太さ)によってもサウンドは変わります。
ゲージの細い弦はサウンドが細く、音量も小さいです。ゲージの太い弦はサウンドが太く、音量も大きくなります。
太い弦は弦のテンション(張り)が強くなるので、細いゲージと比べると弾き心地が変わります。また、太いゲージの弦を鳴らしきるには強めのピッキングが必要になります。
弦はサウンドの好みと弾き心地で、スティール弦かナイロン弦、ゲージの太さを選ぶようにすると良いと思います。
弦を選ぶ際の注意点
サイレントギターに限らず、ギターの弦は3セット1000円などの低価格の弦はチューニングが安定せず、劣化も非常に早いので1セット1000円程度ものがおすすめです。
※低価格の弦は新品の状態でもチューニングが合わないこともあるので注意が必要です。
格安の弦はチューナーで音程を合わせても弾いた瞬間に音程が狂ってしまったり、数時間弾いただけで弦が伸びてしまうこともよくあります。
弦はエリクサー、ダダリオ、アーニボールなどの有名ブランドの弦を使用することをおすすめします。
続いては弦交換の頻度と時期の目安について解説します。
弦交換頻度や時期の目安
既に解説した通り弦の交換については、使用頻度と時期、そして演奏方法によっても異なります。弦は頻繁に演奏する人ほど弦の劣化は早くなります。更に夏は汗で弦が錆やすくなりますし、梅雨は湿気により劣化しやすくなります。
また、アタックの強いピッキングをする人や、ヴィブラートの揺れ幅が大きい人は弦が伸びるスピードも早くなります。
楽器本体、サウンド、チューンニングを常に良い状態に保つためにも2週間に1度、夏や梅雨の時期は1週間に1度は弦交換した方が良いと思います。
※劣化した弦は開放弦でチューニングが合っていても、押弦した際の音程がズレてしまうことも多く、錆びた弦はフレットを傷付けてしまうこともあります。
続いてはサイレントギターの弦交換の方法を解説していきます。
交換方法
サイレントギターの弦交換方法ですが、通常のエレクトリック・ギターやアコースティック・ギターと同じになります。
弦交換の手順
- ヘッドのペグを回して弦を緩めて外す。
- ブリッジ側から弦を通しペグに巻きつけていく。
- 全部の弦が張り終わってからチューニングをする。
以上の手順で弦交換を行います。
※モデルによってはヘッドとブリッジの位置が逆のタイプもありますが、その際も弦の張る方向が異なるのみで張り方は同じです。
弦交換の際のコツ
全ての弦を外してから、新しい弦を1本ずつ張っていくのが通常の弦交換方法です。
しかし、この方法はネックに負荷がかかってしまします。全ての弦(スティール弦)を張った状態でネックにかかる負荷は80キロ近くになっています。この負荷を一気に外すと、木材でできているネックは変形(ネックが反る)してしまいます。
ネックが反るとチューニング、弦高、サウンドに影響が出ます。
- 弦は1本ずつ交換する。
- 6弦→1弦→5弦→2弦→4弦→3弦の順で交換。
- 張った弦は軽く締める程度にし全弦張ってチューニングをしながら締めていく。
- チューナーのインジゲーターの針は中央と左側の範囲で調整する。
- インジゲーターの針が中央と右側で合せるのはN.G.
これらのポイントに注意しながら、弦交換とチューニングを行って下さい。
新品の弦を張った直後はチューニングがなかなか安定しませんので、何度もチューニングしてギターに弦を馴染ませるようにして下さい。
弦交換を行い、1度だけチューニングを合わせたら、数時間放置して弦を本体に馴染ませる方法もあります。この自然に弦を馴染ませる方法はおすすめです。
また、弦のゲージを太いものに変更するとネックにかかる負荷が変わり、ネックが反ってしまうこともあります。この場合はトラスロッドのネジを六角レンチで回して反りを直して下さい。
続いてはサイレントギターの弦高調整方法を解説していきます。
弦高調整方法
サイレントギターの弦高も通常のギターと同様に、ブリッジのテイルピースと呼ばれるネジを六角レンチで回して調整します。
- テイルピースのネジを締めると弦高は下がる。
- テイルピースのネジを緩めると弦高は上がる。
弦高調整で気を付けること
弦高を下げるとフレットと弦の距離が短くなるので演奏し易くなりますが、弦高を下げすぎてしまうと音が鳴らなくなってしまいます。
弦高を下げる場合は、全てのフレットの音がしっかりと鳴る範囲で下げるようにして下さい。
また、弦高を上げすぎるとフレットと弦の距離が遠くなりますので、演奏しにくくなります。しかし、音に響きと張りが出ます。(音量も若干、大きくなります)
弦高を上げるすぎると弦を押さえた時のチューニングが不安定になってしまいますので注意が必要です。
まとめ
では、サイレントギターの解説のまとめに入ります。
弦の種類
- スティール弦でもナイロン弦でも使用可能。
- 3セット1000円程度の低価格の弦はチューニングが安定せず劣化も早い。
- スティール弦は音量が大きく、ナイロン弦は音量が小さい
- おすすめのメーカーはエリクサー、ダダリオ、アーニボール。
弦交換
- 弦交換の目安は大体2週間に1度。
- 夏や梅雨の時期は弦の劣化が早いので1週間に1度の弦交換がおすすめ。
- 弦は全て外さずに1本ずつ交換する。(6弦→1弦→5弦→2弦→4弦→3弦の順)
弦高調整
- 通常のギターと同様にブリッジのネジを回して調整する。
- 弦高が低いと弾き易くなりますが、低くしすぎると音が鳴らなくなる。
- 弦高が高いと音に張りと響きが出ますが、弾きにくく高すぎるとチューニングが不安定になる。
- 弦高が低いと音量も小さく、高いと音量は大きくなる。(僅かな差です)
サイレントギターは音量を抑える目的で使用する方が殆どだと思いますので、ゲージの細いナイロン弦を使用して、弦高は低めのセッティングにするのがおすすめです。
この記事をサイレントギターの弦交換や弦高調整の参考にしてみて下さい。