BOSS GT-10(販売終了)はGT-8の後継モデルです。GT-8と同様にCOSM技術によるモデリング・アンプが特長の1つでもあります。
2008年頃に発売されたモデルですので現在、主流となっているGT-100やGT-1000とは若干、異なるサウンドでもあります。(COSM技術も現在とGT-10発売当時とではサウンドが僅かに異なります)
GT-10をレビューするにあたり使用する楽器/機材は以下の通りです。
- ストラトキャスター(カスタム69搭載)
- マーシャル JVM410H
- モニター・スピーカー
では、BOSS GT-10の仕様から始めます。
BOSS GT-10の仕様
- 強力なDSPチップとCOSM技術による圧倒的なサウンド・クオリティ。
- 直感的な操作で、すばやく音づくりが完了する「EZ TONE」機能。
- パラレル・チェインによる多彩な音づくりが可能。
- 最大38秒のフレーズ・ループ機能搭載によりパフォーマンスを強力にサポート。
- PCとの連携で活躍するUSB AUDIO/MIDI機能。
以上が公式サイトに掲載されているGT-10の仕様です。
高性能DSPチップの搭載によりサウンド・クオリティーを大幅に強化している部分と、COSMアンプ・モデリングがリニューアルされているので、GT-8に比べどこまで進化しているかがポイントになります。
では、GT-10のレビューをしていきます。
BOSS GT-10のレビュー
まず、工場出荷時に設定されているプリセット・サウンドですが、好みもあると思いますがこれは使用しない方が良いと思います。
BOSSに限らず、どのメーカーのマルチ・エフェクター/アンプ・シュミレーターもプリセット・サウンドは実践で使用できるレベルのものではありません。
コンプレッサー、ディストーション、EQ、リバーブを同時にオンにしているバッキング・サウンドなど、通常では考えられない組み合わせのものが沢山プリセットされています。
COSMプリアンプのサウンド
結論を先に言ってしまいますが、モデリングしているアンプのサウンドには全く似ていなく、COSM独特のサウンド(通称:BOSSの音)です。
先日、レビューしたGT-8と比較すると、ごく僅かですがGT-10の方が全体的にクリアなサウンドです。
COSMプリアンプについてですが、これはアンプから出力させるものではないと思います。
COSMプリアンプのサウンドは、DAWソフトで音質処理をして仕上げていくと良いサウンドになります。もし使用する場合はレコーディングに使用するのがおすすめです。
サウンド自体は好みが分かれると思いますが、非常に演奏し易く、音質処理もし易いサウンドだと思います。
また、リハやライブで使用したいのであれば、アンプではなくモニター・スピーカーから出力した方が綺麗に鳴らせます。実際にモニタ-・スピーカーから鳴らしてみましたが、アンプから鳴らしたサウンドよりも格段に良いと思いました。
個人的におすすめのモデリング・アンプは「BG LEAD」になります。これはメサブギーをモデリングしたアンプです。整ったサウンドで、非常に弾き易く音作りもしやすいです。
- COSMプリアンプはレコーディング向きのサウンド。
- DAWソフトで音質処理することを見越して音作りする。
- ピッキングのタッチなどの細かいニュアンスがCOSMは拾いにくい。
- BG LEADは弾き易く綺麗に整った歪みサウンドなのでおすすめ。
- リハやライブで使用する場合はアンプから出力せず、モニター・スピーカーから出力するのがおすすめ。
歪み系エフェクトのサウンド
GT-10では「トレブル・ブースター」が追加されていますが、トレブルをブーストするというよりローを必要以上にカットしてしまうので、サウンドが細くなります。
「BD-2」をモデリングした「ブルースドライバー」はゲインをアップさせるとオーバードライブ的にも使用できますし、ローに艶があるので個人的におすすめのパッチです。
COSMプリアンプとキャビネット・シュミレーターをオフにしてしまい「BD-2」のみをオンにする使用方法も良いと思います。
「OD-1」や「OD-2」のモデリングに関しては、1つ前のモデルのGT-8の方が本物に近いサウンドだと思います。これはGT-10になりDSPチップが進化した影響で、今風のハイファイ・サウンドの要素が強めになり、そのハイファイなサウンドがモデリングしているエフェクターのリアルさを無くしてしまっている原因ではないかと思います。
空間系エフェクトのサウンド
どのモデリングもGT-8とほぼ変わらないサウンドです。当時は非常にハイファイに聴こえましたが、今聴いてみるとデジタルとアナログの中間のように聴こえます。
GT-100やGT-1000よりもモデリングしているエフェクトに近いサウンドです。現在、主流のモデル(GT-100やGT-1000)はデジタル技術が進化しすぎてしまったせいか、アナログ系のモデリングとは程遠いサウンドです。
アナログ系エコーに関しては、GTシリーズの中ではGT-8かGT-10がシリーズ中で1番、バランスの良いサウンドだと思います。
デジタル系の空間系エフェクトはどのモデルにも個性があります。
GT-10やGT-8はデジタルとアナログの中間のような個性、最近のGT-100やGT-1000は現代風のハイファイなデジタル・サウンドです。
個人的にはGT-10やGT-8のアナログとデジタルの中間のようなサウンドの方が、扱い易くリアルなサウンドなのでおすすめです。
ワウのサウンド
ワウに関しては効きが強めの、デジタル・ワウのサウンドだと思います。音痩せしますし、ハイが非常に細くなってしまいます。このような特徴のサウンドなのでミッド・ストップすることは難しいです。
ワウのサウンドはGT-8と比べると、かなり変わったと思います。GT-100やGT-1000に近い今風のサウンドだと思います。
- COSMプリアンプはレコーディング向き。リハやライブで使用するならモニター・スピーカーから出力がおすすめ。
- 歪み系エフェクトは「BD-2」がオールマイティーに使用可能なパッチ。オーバードライブとしても使用可能。
- 空間系エフェクトはアナログとデジタルの中間のようなサウンド。(数年後にヴィンテージ・サウンドとして高く評価される可能性あり)
- ワウに関しては最近のモデルに近いデジタル・サウンド。
まとめ
BOSS GT-10を久々に使用してみましたが、歪み系エフェクターの「BD-2」を除いてはGT-8の方が好みでした。
GT-10は現在のGTシリーズの初期モデルですので、サウンドが全体的に中途半端でバランスが悪く感じます。旧デジタルと最新デジタルの中間の、どっちつかずのサウンドというと分かり易いかもしれません。
正直に言ってしまうとGT-10よりも、GT-8の方がサウンド、操作性ともにクオリティーが高いと思います。
では、BOSS GT-10のまとめに入ります。
- BOSS GT-10よりはGT-8の方がサウンドも操作性も良い。
- GT-8よりもデジタル技術が進歩したものの、そのハイファイ・サウンドが逆効果にもなっている(特にワウのサウンド)
- この時期のGTシリーズを使用するのならGT-8がおすすめ。
以上のポイントを購入や使用の参考にしてみて下さい。