BOSS GT-8はGT-5の後継機種ですが、完全独立2チャンネル仕様のデュアルCOSMアンプ・セクションを搭載していますので、従来のGTシリーズとは全く違ったサウンドのモデルです。
※GT-8が発売された頃はGT-1、GT-10、GT-100、GT-1000といったシリーズは発売されていません。GT-8がGTシリーズで最新のモデルでした。
今回のレビューは以下の機材で行います。
- ストラトキャスター(HS-3搭載)
- マーシャル JVM410H
では、GT-8の仕様から始めたいと思います。
BOSS GT-8の仕様
- 完全独立2チャンネル仕様のデュアルCOSMアンプ・セクションを搭載。
- 44種類のエフェクト。13種類まで同時使用が可能。
- 外部エフェクトも有効活用。独立エクスターナル・ループ機能を装備。
- お気に入りのCOSMアンプを共通使用できるプリアンプ・モードを搭載。
- プロ仕様の拡張性を備え、デジタル・レコーディングにも対応。
- 外形寸法 幅 (W)515 mm×奥行き (D) 261 mm×高さ (H) 75 mm
- 重量 4.8 kg
最近、主流のGTシリーズに比べると非常にシンプルな機能に感じます。
従来のGTシリーズと異なる部分はCOSMを搭載していることです。COSMによりBOSSのサウンドは180度変わりました。
余談ですがBOSS GTシリーズはGT-5の頃からチェックしていますが、コンパクト・エフェクターもマルチ・エフェクターもBOSSのサウンドは好みではなかったので、自分のエフェクト・システムにBOSS製品を組み込むことはしませんでした。
しかし、友人のギタリストにCOSM技術によってサウンドが大幅に変わったと知らされ試してみたところ見違えるほどサウンドが良くなり驚いた記憶があります。
アンプ/キャビネット・シュミレーターや歪み系エフェクトは好みではありませんが、空間系エフェクト専用にしてアンプのセンド/リターンに接続して使用しても良いと思います。
では、BOSS GT-8のレビューをしていこうと思います。
BOSS GT-8 サウンドのレビュー
※このレビューは現在GT-8を使用したレビューになります
COSMアンプのサウンド
COSMアンプのレビューはJVMのクリーン・チャンネルを使用しEQはフラットに設定して行いました。
単体(エフェクトをオフ)で使用した場合ですが現在、主流のGTシリーズとさほど変わらないサウンドです。GT-1000はAIRD技術を導入しているので別物ですが、GT-1やGT-100と変わりなく聴こえます。
DAWソフト専用のプラグイン「アンプリチューブ」のようなデジタル・サウンドと初期型のPODの中間のようなサウンドです。
発売当時はアンプリチューブのようなデジタル・サウンドに聴こえてしまい、好みではありませんでした。しかし、今聴いてみると、このサウンドも悪くはないと思います。
デジタル特有のハイ(高音)が少し気になりますが、これはセッティング次第(意図的に劣化させ)では消すことも可能です。
「ギター」→「電源オフのコンパクト・エフェクター」→「BOSS GT-8」と接続すると、デジタル特有のハイが良い感じに削れ「サンズアンプ(初期型)」のようなニュアンスになります。
初期型のサンズアンプは現在は入手困難なので、サンズアンプのサウンドが好みのギタリストはこのセッティングをしてみるのも良いかもしれません。
因みにCOSMでモデリングしているアンプに関しては本物には全く似ていませんので、モデリングを意識せず使用した方が良いと思います。
歪み系エフェクターのサウンド
発売当時はBOSSらしくないサウンドに聴こえましたが、今となってはこれがBOSSのサウンドとして定着しています。
GT-1000のAIRDよりは遥かに劣りますが、現在でも通用するサウンドです。このサウンドが好みであれば、使用するのも良いと思います。
しかし、モデリングしているエフェクターのサウンドには全く似ていません。やはりLINE 6の方がモデリングの再現度は高いです。
BOSSのコンパクト・エフェクター「OD-1」のモデリングが1番、再現度が高く感じました。
現在はマルチ・エフェクターはPOD系、COSM系、AIRD系がメインになっています。COSMのアンプやエフェクターのサウンドのみが必要であればGT-8が価格的にも良いと思います。
空間系エフェクトのサウンド
空間系に関してはGT-100やGT-1を、やや曇らせた雰囲気(サウンドが抜けない)のサウンドです。GT-8が発売された当時は今ほどのデジタル技術ではなかったので、これが限界だったと思います。
当時は凄くハイファイに聴こえましたが、今聴いてみるとデジタルとアナログの中間のようなサウンドに聴こえます。
アナログ系のエコーのサウンドは、主流のGTシリーズより、こちらの方が個人的には気に入っています。
アナログ系のモデリングは最先端のデジタル技術よりも多少、古いデジタル技術でモデリングした方が似たサウンドになるのかもしれません。
デジタル系のモデリングも主流のGTシリーズとさほど変わりありません。むしろ、こちらの方がアナログ感があります。
- アナログ系のモデリングは現在、主流のシリーズよりも再現度が高い。
- デジタルとアナログの中間のようなサウンドがリアルでおすすめ。
- デジタル系のモデリングもシリーズ中で1番リアルなサウンド。
ワウのサウンド
ワウのサウンドも、最近のシリーズよりも良い雰囲気が出ていると思います。
ハイファイすぎるワウ・サウンドに慣れていまっているせいか、GT-8のワウ・サウンドは非常にアナログ感あふれるサウンドに聴こえます。
主流のGTシリーズはハイが効きすぎてワウ独特の雰囲気(空気感)が全くありませんが、GT-8は本物のワウのような音質の劣化や空気感が出ています。最近のモデルで気になっていた強すぎる効きも、それほどありません。
GTシリーズ中で最もクライベイビーに近いサウンドだと思います。
※因みにGT-5やGT-6などの、COSMが搭載されていないモデルはGT-8とは全く異なるサウンドが鳴ります。
- GTシリーズ中で最も本物のワウに近いサウンド。
- ワウ独特の空気感や音の劣化もある。
- 最近のシリーズ特有の強すぎる効きも全くない。
- ミッド・ストップで使用しても良いサウンドが鳴る。
まとめ
レビューをするために久々にGT-8を使用してみましたが、当時とは全くサウンドの聴こえ方が違いました。(ギターの鳴らし方が変わったことにも原因があるとは思いますが)
GT-8を使用して気付いたことは「最近のデジタル・テクノロジーを駆使したハイファイ・サウンドに慣れすぎていたこと」と「そのサウンドを如何にアナログ化することばかりを考えていて他の選択肢を思い付かなかった」ということです。このようなギタリストは意外に多いかと思います。
アンプやワウ・ペダルに関しては本物を使用すれば良いのですが、オールドのアナログ・エコーは以上に殆ど出回っていないので入手困難です。そのサウンドを出すためにだけにGT-8を使用する価値は十分にあると思います。
市場には中古品しか出回っていませんが、価格が1万円程度ですので1台持っておくのも良いと思います。
そして、COSMのサウンドは現在と殆ど変りありませんので、初心者ギタリストにもおすすめできるマルチ・エフェクターです。
このレビューをGT-8の購入や使用の参考にしてみて下さい。