サイレントギターは、YAMAHAやトラベラーギターといったメーカーが販売している、ボディーの無い(フレームのみ)ギターです。
その構造により通常のギター(エレアコ)よりも生音(アンプを通さずに弾いた音)の音量が小さいことが特長です。また、パワード・ピックアップやEQを搭載していますので、アンプやヘッドホンに接続して使用することも可能です。
今回はサイレントギターとエレクトリックギターの違いを中心に解説していきます。
サイレントギターとエレクトリックギターの違い
サイレントギターは写真のようにボディーが無いのが特長です。
重さの違い
エレクトリックギターが約5~6キロあるのに対しサイレントギターは1.8キロ程度しかありません。因みにエレアコは2キロほどになります。
この重量はサウンドに大きな影響を及ぼします。
音量や音質の違い
サイレントギターには音が共鳴するボディーを無くすことで音量が小さくしています。(サイレントギターの音量はエレアコの10分の1とも言われています)
しかし、ボディーが無いことは実はデメリットばかりです。
デメリット
まず、ボディーがないと本来の楽器の響きを失いますが、これを利用したギターがサイレントギターです。
ボディーが無いことや重量が無いということは、楽器の響きを失うのでサイレントギターでは、ギタープレイで非常に重要な「楽器を鳴らす」練習をすることが不可能です。
ギターはフレーズを弾けるようになるのは当たり前のことであり、そこから更に上のレベルに行くには弦とボディーを確実に鳴らし切り、更にアンプを鳴らす弾き方をすることが重要です。これらをサイレントギターで練習することはできません。
個人的にはサイレントギターは音量が小さいともは思いませんのでした。エレクトリックギターをアンプに通さずに鳴らした音よりもサイレントギターの方が音が大きいので、夜間や集合住宅で演奏すれば近所迷惑にもなります。
また、ボディーが無いので音質も良いとは言えません。(個人的に音は悪いと思います)アンプやヘッドホンに通してもボディーが無いのでギター本来の響きがありません。
- サイレントギターはボディーを鳴らす練習ができない。
- 実際の音量はエレクトリックギターをアンプに通さず弾いた音量より遥かに大きい。
- 生音もアンプやヘッドホンに通した音も、響きが無く良いサウンドではない。
使い方の違い
サイレントギターとエレクトリックギターの使い方は全く同じです。
本体のアウトプット・ジャックにケーブルを差し込み、アンプのインプット・ジャックに接続すればアンプから音が鳴らせます。
本体のアウトプット・ジャックのヘッドホンを接続すれば、ヘッドホンから出力することも可能です。
サイレントギターのアンプは必要?
アンプを使用するかどうかは演奏する環境や目的にもよりますが、個人的には使用した方が良いと思います。
その理由は、サイレントギターはサウンドが良くないので、アンプに接続しEQやエフェクトを使い、しっかりと音作りが必要だと思います。
初めてサイレントギターを弾いた時「もし使うなら音を作り込むことが必要。」と真っ先に思いました。
やはりサウンドが良くない(好みではない)と演奏していても全く楽しくないので、サイレントギターに限らず、楽器はしっかり音作りをする必要があると思います。
ウォーミングアップなどに使用するのであればアンプは必要ないと思います。
代用できるものは?エレアコ用アンプでも可能?
サイレントギターのアンプに代用できるものですが、ギターアンプ(エレアコ用を含む)、ベースアンプ、モニタースピーカーでも代用可能です。基本的にスピーカーであれば、どのようなもの(PCスピーカー)でも代用できます。
もちろん使用するアンプの特性によりサウンドは異なりますが、サイレントギター本体のサウンドが良くないので使用するアンプに拘るまでもないと思います。
もしもギターアンプ以外のものを代用するのであれば、クセの無いモニター・スピーカーが良いと思います。サイレントギター本体にEQが内蔵されていますので、EQを搭載していないモニター・スピーカーを使用しても音作りが可能です。
おすすめのセッティング
以前、サイレントギターを使用した際に、どこまでサウンドのクオリティーを上げられるか実験をしたことがあります。その際に発見した個人的にベストなセッティングを紹介します。
- サイレントギターのEQはフラットに設定。
- 使用したエフェクターはカーボンコピー(ディレイ)、コンプレッサー、クリーンブースター。
- アンプはLINE6 スパイダー
- アンプのセッティングはクリーンモード、ボリュームは4、EQはベースが4、ミドルが7.5、トレブルが6。
ディレ・イタイムを短くしたカーボンコピーでサウンドに広がりと厚みを加え(リバーヴ的に使用)、コンプレッサーでアタック感を追加し、クリーン・ブースターで音圧とミドル、ミッド・ハイの抜けを加えます。
アンプはクリーン・チャンネルを使用し、EQに関しては好みのセッティングです。このEQのセッティングは、ボディーの無いギターでも本来のギターのような鳴りを出すことを目的としたものです。
また、サイレントギターをPODのインプットに接続し、PODのアウトプットにヘッドホンを接続し出力する方法もおすすめです。PODのエフェクトを使用して、しっかりと音作りができるので、アンプに直結するよりは良いと思います。
このようにサイレントギターはエフェクターやアンプを活用して音作りをして、ボディーの鳴りが無いデメリットをカバーする必要があります。
サイレントギターの効果的な使い方
これまでアンプやヘッドホンに接続する方法や、音作りのコツを解説してきましたが、ここでは演奏面での効果的な使い方を解説したいと思います。
サイレントギターはフィンガリングやピッキングの練習に使用するのが1番良いと思います。
特殊な構造のギターですので、楽器やアンプを鳴らす弾き方はできません。サイレントギターを鳴らす弾き方(殆ど鳴りませんが)を身に付けてしまうと、通常のギターを演奏する時にサイレントギター特有のクセが出てしまい上手く演奏できなくなる可能性もあります。
サイレントギターは、あくまでフィンガリングやピッキングのウォーミングアップ用にすると良いと思います。
まとめ
サイレントギターは公式のコメントにあるような「どんな環境でも気軽に演奏できる」ような楽器でないと思います。
サイレントギターというネーミングですが、それなりの音量が出ますし、その音量はエレクトリックギターの生音の音量より遥かに大きいです。
エレアコに比べれば音量は小さいですが、それでも十分に大きい音が鳴りますので、夜間や自宅で演奏すれば近所迷惑にもなるレベルの音量です。このようなことから個人的には通常のギターを演奏した方が良いと思います。
- サイレントギターはそれなりの音量が出る。(エレアコやアコギよりは小さい)
- サウンドはボディーが無いので非常に悪い。
- どのようなアンプでも代用可能。モニタースピーカーがおすすめ。
- エフェクターやアンプでしっかり音作りをする必要がある。
- アンプ・シュミレーターとヘッドホンを使用して鳴らすのもおすすめ。
- サイレントギターはフィンガリングとピッキングのウォーミングアップ用に使用する。
以上がサイレントギターを使用する際のポイントになりますので是非、参考にしてみて下さい。