LINE6 Delay Modeler DL4はディレイやリバーヴなど、空間系エフェクトの人気機種をモデリングしたエフェクターです。
PODシリーズから空間系エフェクトのみを独立させたエフェクターで、人気機種をデジタル技術によってモデリングしています。DL4はギター以外(ボーカルやキーボード)の楽器にも対応しています。
今回のレビューはカスタム69を3基マウントしたストラト、ブースターにDB-4R、アンプはマーシャルのJVM410Hを使用して行います。
まずはDL4の仕様についての解説から始めたいと思います。
LINE6 Delay Modeler DL4の仕様
DL4の仕様
- エフェクト数 16
- ファクトリー・プリセット 18
- ユーザー・プリセット 3
- コントロール:エフェクト選択, Delay Time, Repeats, Tweak, Tweez, Mix
- 3つのユーザー・プリセットに専用タップ・テンポ・スイッチを搭載。
- True Bypassスイッチング・回路を搭載。バイパス時はギターからの信号は直接アンプへ送信。
- エフェクトをリアル・タイムでコントロールするためのエクスプレッション・ペダル入力搭載。
- 入出力ともにディスクリート・ステレオで左右の信号を完全に分離。(ループ・サンプラーの場合は信号をモノに集約)
- 電池駆動(単2×4)、ACアダプター(オプションAPX2)による駆動が可能。
- チューブ・ドライブ、テープ・ループ・エコー(ワウ・フラッターを調整可能)
- 24ビット・クリーン・デジタル・エコー、リアルタイム・リバース・エコーなどのディレイを15種搭載。
内蔵しているエフェクトの種類
- Tube Echo
- Tape Echo
- Multi-Head
- Sweep Echo
- Analog Echo
- Analog w/Mod
- Lo Res Delay
- Digital Delay
- Digital w/Mod
- Rhythmic Delays
- Stereo Delays
- Ping Pong
- Reverse
- Dynamic Delay
- Auto-Volume Echo
- Loop Sampler
※太字はおすすめのパッチです。
以上16種類の空間系エフェクトが内蔵されていますが、レビューする際の1つめのポイントはモデリングしているエフェクターの再現度、2つめのポイントは仮にモデリングの再現度が低くても、そのサウンド自体が実践で使用できるものかどうかになります。
では、DL4のレビューをしていきたいと思います。
LINE6 Delay Modeler DL4のサウンド・レビュー
まず、DL4は10年近く前のエフェクターです。レビューするにあたり久々にDL4を鳴らしてみましたが、デジタル・サウンドとはいえ今となっては流石に古臭いサウンドに聴こえました。
あと30年もすれば、このサウンドも貴重なヴィンテージ・サウンドになるのかもしれませんが、今はまだ一昔前のデジタル・サウンドといった印象です。
Tube Echo
こちらはチューブ管を使用したオールド・エコーをモデリングしたものです。
しかし、DL4本体にチューブ管は搭載されていませんので、チューブのサウンドは鳴りません。このパッチをオンにするとベースとミドルが太くなるので、そこがチューブの雰囲気に似ています。
エコーの効果が聴き取れないレベルにセッティングしEQに使用しても良いと思います。
Tape Echo
こちらもDL4内部にテープが搭載されていませんので、テープ・エコーの音は鳴りませんし、あまり似てもいません。
テープ・エコー特有の輪郭がぼやけた感じは出ていると思います。こちらもチューブ・エコー同様にEQとして使用してみても良いと思います。
Multi-Head
マルチ・ヘッドもテープ・エコーの1つです。やはり、これも再現度は低いです。テープ・エコー系のパッチで1番、再現度が低いと思います。
こちらも、それ風の雰囲気は出せていますのでEQとして使用するのもおすすめです。
Sweep Echo
使用頻度は低いですが、デジタルならではの綺麗な効きが良いと思います。
現在はもっと整ったサウンドが主流になっていますが、敢えてこちらを使用するのも面白いかもしれません。
Analog Echo
今のデジタル技術ですと、もう少しアナログらしさを出せますが、この頃は全く出せていないのでアナログ風のサウンドではありません。
チューブ・エコーから少しぼやけた感じを取り払ったサウンドです。
Analog w/Mod
こちらも全くアナログらしさが出ていないパッチです。
ギターではなくキーボードのハモンド・オルガンのサウンドに追加した方がマッチすると思います。
Lo Res Delay
スウィープ・エコーと同様に飛び道具系のディレイです。
この手のエフェクトは、あまり詳しくないのですがサウンドよりも、曲中で使う場所を考える方が難しいと思います。
Digital Delay
デジタル回路なのでこのディレイはクオリティーが高いように感じます。
効き具合や音の整い方も良いと思いますので、DL4でディレイを使用するならこのデジタル・ディレイがおすすめです。
Digital w/Mod
こちらもデジタル・ディレイ同様に整ったサウンドで、キーボードに使用するのも良いと思います。
キーボードのソウ・リードにオーバードライブと併用すると、JD-800のリード・サウンドに近くなるのではないかと思います。
Rhythmic Delays
こちらは飛び道具系のディレイです。クリーン・サウンドにかけてアルぺジオを演奏するとスペーシーな雰囲気になります。
曲中のどこで使用するかがポイントになるエフェクターだと思います。
Stereo Delays
クオリティーの高いディレイです。効果を最大限に引き出すには2台のアンプまたはスピーカーから出力することです。
上手くセッティングすればギター1本でフーガがプレイできます。個人的に気に入っているパッチです。
Ping Pong
このパッチも2台のアンプかスピーカーから出力することで効果を最大限に引き出せます。
現実的にライブなどではワンマンでない限り難しいですが、ピンポンの効果を利用したソロなどに向いています。
Reverse
演奏したフレーズが逆再生されるエフェクターです。
使用方法よりも逆再生させるフレーズを考える方が大変かもしれません。実践で使用するよりも楽しむためのエフェクトです。
Dynamic Delay
ステレオ・ディレイとの変わりが殆ど分かりませんでした。
サウンドの雰囲気的にステレオ・ディレイはギター向き、ダイナミック・ディレイはボーカル向きのような気がします。
Auto-Volume Echo
エコーとボリュームぺダルのオン/オフを組み合わせたものです。
飛び道具系なので曲中で使用する場所を探すのがポイントです。このエフェクトを使用する前提で作曲するのも面白いと思います。
Loop Sampler
1度弾いたフレーズがループ再生されます。
バッキングを演奏しループ再生させ、その上でギターソロを演奏することができます。実戦向きではなく楽しむためのエフェクトです。
まとめ
DL4のレビューをしてきましたが、今となっては古いサウンドですのでDL4のサウンドにこだわりがある方以外は、更にクオリティーの高いMシリーズが良いと思います。
では、DL4のまとめに入ります。
- アナログ系のエフェクトの再現度は低い。
- アナログサウンドではなく雰囲気は再現されている。
- デジタル系エフェクトのサウンドのクオリティーは高いほう。
- デジタル・ディレイが特におすすめ。
以上のレビューを購入や使用の参考にしてみて下さい。