LINE6 Stompbox Modelerシリーズ(Mシリーズ)にはM5、M9、M13の3つのモデルがあります。
この3つのモデルはサウンドは全く同じですが、同時に使用できるエフェクト数が違います。M5は1つ、M9は3つ、M13は4つのエフェクターが同時に使用できます。
LINE6 Stompbox Modelerのサウンド・レビューをしながら、使い方のコツなども解説していこうと思います。
まずはLINE6 Stompbox Modelerの仕様から始めます。
LINE6 Stompbox Modelerの仕様
Mシリーズには100種類以上のエフェクトが内蔵されており、各グレードにより同時使用可能なエフェクト数が異なります。このような仕様になっているため、演奏するジャンルや自分のエフェクターボードの状況によって使い分けることができます。
また、基本的にマルチエフェクターの中でエディットを組むというよりも、コンパクトエフェクターを並べたような使い方ができるタイプのマルチです。
似たようなタイプのマルチエフェクターにBOSSのMEシリーズなどがあるのですが、Mシリーズは接続するエフェクターの順番を自由に変えられるという明確な違いがあります。
MEシリーズの場合は操作性をよくするためにエフェクター別に固定されているので順番を変えたり同じ系統のエフェクターを使うことが出来ないのですが、Mシリーズにはそれが出来るのでサウンドメイクの自由度が高いです。
例えば、このようなデメリットしかない接続をするギタリストはいないと思いますが、空間系のエフェクターのあとに歪みエフェクターを並べてみたり、歪みを三つ連続で並べる使い方もM9では可能です。
※M5は使用できるエフェクターが1つのみ(複数の同時使用は不可)です。
続いてはLINE6 Stompbox Modelerシリーズのサウンド・レビューをしていきます。
LINE6 Stompbox Modelerシリーズのサウンド・レビュー
LINE6 Stompbox Modelerシリーズですが、個人的にエフェクトを1つ使うために敢えてMシリーズを選択する意味はないですし、エフェクトを4つも同時使用することも無いのでM9を選びました。※M5やM13は楽器店で試奏したレビューになります。
レビューに使用した楽器・機材は以下の通りです。
- ストラトキャスター(カスタム69をフロント、センター、リアにマウント)
- マーシャルJVM410H
- モニター・スピーカー
では歪み系エフェクトのサウンド・レビューから始めます。
LINE6オリジナルのエフェクト
PODの頃からそれほど変化を感じられず、抜けが悪く線が細すぎるように感じました。ゲインのかかりも深めで、ゲインを絞りクランチ・サウンドを狙うと急に音が潰れて不明瞭になります。
オリジナル・エフェクトがゲインの強いファズやディストーションをモデリングしたものばかりなのは、このデジタル回路でオーバードライブ系のサウンドを出すことが難しいからかもしれません。
空間系に関しても音がこもり気味で、更に音痩せもするので、個人的には好みではありませんでした。
このサウンドが好みギタリストには良いのかもしれませんが、モデリング・エフェクトの方がクオリティーが高いので使用するならそちらが良いと思います。
歪み系エフェクトのモデリング・サウンド
PODシリーズと同様に人気エフェクターをモデリングしたパッチが内蔵されています。デジタル回路なので100%再現は不可能なので、ポイントとなるのは「どこまで本物に近いサウンドが鳴るか?」です。
Screamer
大人気の Ibanez Tube Screamerをモデリングしたエフェクトです。
TSシリーズにはTS-9、TS-9DX、TS10、TS-808など様々な種類がありますが、どれをモデリングしたのかは不明です。
TS自体はブースターとして使用することが多く、TS本体のゲインを使用することは滅多にありませんのでブースターとしてのセッティングで試してみました。
このエフェクトは良くも悪くもTS-9DXの「ターボ・モード」のサウンド(ゲイン強め、ミッド太め)に近いと思います。TS-9のような突き抜けるミッドハイは出ません。
定番のTSとディレイの組み合わせでの使用するのであれば、M9ではなくTS-9とアナログ・ディレイ、それこそカーボン・コピーのコンパクト・エフェクターを購入した方が良いと思います。
TSのようなサウンドを使いつつ、他の歪みも欲しいギタリストにはM9で良いと思います。
Overdrive
DOD Overdrive/Preamp 250のモデリングです。こちらも本来2種類ありますが、どちらをモデリングしているのかは不明です。サウンドを聴いた感じですと後期モデルのような気がします。
しかし、本物のDOD250よりもかなりゲインが強く、ゲインを深くすると音が痩せていきます。(本物は殆ど痩せません)
後期モデルに近いサウンドなので、使用する場合はゲインはゼロ、レベルがフルのセッティングが良いと思います。
Classic Distortion
ProCo Ratのモデリングです。どのモデルのRatを参考にしているのかは不明です。サウンドを聴くとRat2に近いと思います。Rat2特有のクセのあるハイも出ていますので、高いレベルで再現していると思います。
個人的にRatの最大の魅力はフィルターの可変幅(効きが強く、微調整が可能)だと思っていますが、これに関しては全く再現されていませんでした。歪み系エフェクターにフィルターの可変幅を求める人もいないと思うので、この部分は特に問題はないと思います。
Fuzz系のモデリング・エフェクト
Fuzzに関しては、どれも全く再現できていません。歪みが強いだけのパッチという印象です。
これに関しては、デジタルでゲルマニウムやトランジスタ回路を電池駆動させるFuzzのサウンドを再現するのは今後も不可能だと思います。
Fuzzは1台、1台に個体差もあり全く同じサウンドが鳴るFuzz自体が存在しません。以前、同じモデルのFuzzを10台並べて1つずつサウンド・チェックしたことがありますが、全て違う音が鳴りました。
また、ゲルマニウムを使用したFuzzは天候でもサウンドが変わり、それも個性の1つです。
モデリングしているFuzzは好みもありますが、あまりおすすめはしません。
空間系エフェクトのモデリング・サウンド
空間系エフェクト全般はPOD X3の頃とそれほど変化の無いサウンドです。
モデリングしているエフェクターには全く似ていなく、綺麗に整ったサウンドのデジタル・エフェクトといったサウンドです。
デジタルが進化すればするほど、モデリングしているエフェクターを再現することは難しくなるのかもしれません。これはFuzzも同様ですが、目指すサウンドがローファイ・サウンドですが、デジタルではどうしても真逆のハイファイ・サウンドになってしまいます。
多彩なエフェクト・パッチを楽しみたい方にはおすすめですが、本物志向のギタリストで空間系エフェクトをメインに使用する場合は、コンパクト・エフェクターが良いと思います。
まとめ
Mシリーズを演奏した個人的な感想ですが、使用するならM9が良いと思います。
エフェクトを1つ使用するためならM5ではなくマルチ・エフェクターで良いですし、4つ同時に鳴らすことも殆ど無いと思いますので、そうなるとM13の機能を活かしきれません。
では、Mシリーズのまとめに入ろうと思います。
- MシリーズはPODシリーズとあまり変わらないサウンド。
- アンプよりモニター・スピーカーとの相性が良い
- 使用するならM9がおすすめ
以上のポイントをMシリーズの購入や使用の参考にしてみて下さい。