LINE6 POD HD500とHD500Xですが、この2つは基本的サウンドは同じエフェクターになります。HD500XはHD500をサウンド以外の面をマイナーチェンジしたものになります。
HDシリーズは発売当初から自宅レコーディングに使用していましたが、サウンドよりもHD500はDPS(デジタル信号処理能力)面での問題を多く感じていました。HD500Xではその部分が大幅に改善されストレスなく使用できるようになっています。
今回は、この2つのモデルのサウンド・レビューをしていこうと思います。
LINE6 POD HD500のレビュー
POD HD500ですが写真のようにフロアタイプの形状になっています。
アンプ/キャビネット・シュミレーターのサウンド
PODシリーズの中でもX3に近いサウンドです。モデリングしているアンプのサウンドの再現度はシュミレーターの中では高い方だと思います。
しかし、この機能を完璧に使いこなすにはモデリングしているアンプを実際に鳴らしたことのある方でないと難しいです。
どのアンプモデルも厳密に言うと、モデリングしているアンプを使用して、レコーディングしたサウンドを再現しているものだと思います。
CDから聞こえてくるアンプのサウンドをモデリングしているというと分かり易いかもしれません。
マーシャルからメサブギーまで様々なアンプモデルを内蔵していますが、これらのモデルのことは意識せず、実際に鳴っているサウンドを調整していく使用方法が良いです。
個人的におすすめの使用方法はゲインは好みの深さにかけ、EQはフラットに設定しレコーディング後の音質処理段階でサウンドを仕上げていくことです。
例えば、マーシャル1959のサウンドをイメージしながら音作りを行うと、実際に鳴っているサウンドは1959のものではありませんし、あまり似てもいませんので中々、上手く作ることができません。
本体の設定で50%ほど音作りをして、残りはレコーディング後に作る使用方法がおすすめです。
フロアタイプなのでリハやライブでも使用可能ですが、本物のアンプとアンプ/キャビネット・シュミレーターの併用は避けた方が良いと思います。
「ギター」→「アンプヘッド」→「キャビネット」→「アンプヘッド」→「キャビネット」といった接続になりPODの良さも、アンプの良さも出すことができなくなります。
リハやライブで使用したい場合はモニター・スピーカーから出力するほうが上手くいきます。
歪み系エフェクターのサウンド
PODシリーズは、人気エフェクターをモデリングしたストンプが内蔵されています。ストンプの再現度は低いので、アンプ/キャビネット・シミュレーターの音質補正用に使用すると良いと思います。
「最終的にどのような環境で音を聴くのか?」を想定しながら音作りをするのがPODを使う際のコツです。
多くの場合は音源にすることが最終目的ですので、POD単体で音作りはせずDAWソフトも併用して音作りをするのがポイントです。
ストンプもモデリングしているエフェクターのサウンドは意識せずに、実際に鳴っているサウンドをよく聴きながら使用するのがおすすめです。
どのモデルも実際のエフェクターよりも歪みが深く、デジタルならではのハイファイ・サウンドですので実物に近付ける音質処理が必要になります。
楽器とPODの間にオフにしたコンパクト・エフェクターを接続し、そこでサウンドを意図的に劣化させてしまう方法もあります。
また、ストンプは敢えて使用せず、ストンプと同じ本物のエフェクターを接続するのもおすすめの方法です。
この場合はハイファイ・サウンドを程良く劣化させることもできますし、本物のエフェクターの効きを追加することができます。
空間系エフェクトのサウンド
個人的に空間系エフェクトに関してはPOD XTからの変化を感じませんでした。
モデリングしているアナログ系のエフェクトの再現度は当然、回路自体が異なるので再現できていませんが、デジタル系のエフェクトは再現度に関係なくクオリティーが高いと思います。
アナログ系エフェクトのストンプに関しては、空間系の効果が全く分からないような設定にして、アナログ・エフェクトを接続した時の劣化の雰囲気を利用する方法で使用するのが良いと思います。
PODはディレイの効きやトレモロの揺れの他に、劣化したサウンドの雰囲気もモデリングしていますので、その劣化を効果的に使い音作りをする方法です。
LINE6 POD HD500Xのレビュー
HD500はエフェクターをプログラムする際の処理能力に問題がありました。
アンプ/キャビネット・シュミレーターのほかに4台ほどエフェクターを追加ししたところ「DPSエラー」が起きてしまい使用することができなくなります。
DPSエラーを回避する方法はエフェクターを外す他にないので、これですと場合によっては音作りが不可能になってしまいます。
この部分を改善したモデルがPOD HD500Xになります。
DPSの処理能力が格段に上がりましたので、ストレスなく幅広い音作りが可能になりました。他に改良された部分はディスプレイが見やすさ、フット・スイッチにLEDが搭載されたことくらいで、サウンド自体はHD500と変わりません。
LINE6 PODシリーズの使い方のコツ
PODシリーズは元々レコーディングに使用することを想定して作られていますので、単体で音作りをしないことがコツです。
DAWソフトでレコーディングをしてマスタリングやミキシングの段階でEQ処理などを行いサウンドを完成させるようにすると良いです。
また人気のアンプやエフェクターをモデリングしているのがPODの売りの1つですが、これはあくまでデジタル回路を使用したモデリングです。このボディーの中の基盤と配線で本物のサウンドを出すことは不可能です。
本物のサウンドに拘りすぎると上手く音作りができませんので、鳴っている音をよく聴きながらの音作りをすることがコツです。
例えば、メサブギーのサウンドを出したいのであれば、メサブギーを使用しているギタリストの音源を聴き、それに似せてPODとDAWで音作りをすると良いです。
それから、DAWで最終的な音作りをする場合はPOD自体のEQはフラットにしておくと、レコーディング後の音質処理が楽になります。
※POD本体で個性的でクセのあるEQ設定をすると、DAWで音質処理が難しくなることがよくあるので注意が必要です。
まとめ
POD HD500とHD500Xのレビューをしてきましたが、この2つの違いはDPS機能の違いです。今は中古市場でしか出回っていませんが、もし購入するのであればHD500Xをおすすめします。
HD500は単体で使用するのなら問題ありませんが、レコーディングでは全く使えませんので注意して下さい。
では、POD HD500シリーズのまとめに入ろうと思います。
- HD500とHD500Xのサウンドは同じ。
- HD500はDPS処理能力に問題があるのでレコーディングには向かない。
- HD500のDPS処理能力を改善したものがHD500X。
- PODはDAWと組み合わせて音作りをする。
- モデリングしているアンプやエフェクターを意識せず音作りをするのがコツ。
- 購入するならHD500Xがおすすめ。
これらのポイントをHD500シリーズの購入や、使用する際の参考にしてみて下さい。