LINE6のPODシリーズは人気のギターアンプや、コンパクトエフェクターをモデリングし、そのサウンドを再現する事が可能なマルチ・エフェクターです。
デジタル技術での再現なので100%再現することは不可能ですが、初期型のPODやPOD2は、そのサウンドを80%は再現しています。
このPOD XT LIVEはPOD2の後継機種で、ライブやリハでも使用できるようにパッチの切り替えスイッチやエクスプレッション・ペダルを搭載したフロアタイプ(通常のマルチエフェクターの形状)になっています。
では、POD XT LIVEのレビューを始めようと思います。
POD XT LIVEのアンプ&キャビネット・シミュレーターのレビュー
まず、レビューするにあたり使用したギターと機材は以下の通りです。
- フェンダー・ストラトキャスター(フロント、リアにバーチャル・ソロ搭載)
- ESP ミラージュ(EMG搭載)
- マーシャル 1959
- マーシャル JVM410H
これらを使用してみました。
アンプ・シュミレーターのサウンド
VOX、フェンダー、マーシャル、メサブギーといった人気アンプがモデリングされていますが、これらをアンプから鳴らすのには全く向いていないように感じました。
まず、ストラトキャスターとマーシャル1959(EQフラット、サウンドはクリーンに設定)を使用して、マーシャルアンプのアンプシュミレータを鳴らしてみたところ、PODを使用しない方が断然良い音が鳴ります。PODを使用することでサウンドのクオリティーが下がってしまいました。(ESPのギターとJVMを使用しても全く同じです)
PODのアンプ・シュミレーターはアンプから出力するには向いていないと思います。
これはVOXなど他のアンプモデルを鳴らしても同じでしたので、アンプからアンプモデルを鳴らすのはサウンドのクオリティーを下げてしまうのでおすすめはできません。
キャビネット・シュミレーターのサウンド
キャビネット・シュミレーターはアンプ・シュミレーターとセットで使用するものですが、出力先のアンプにもアンプヘッドとキャビネットがありますので、不自然すぎるサウンドになってしまいます。
この接続方法は「ギター」→「PODのアンプヘッド」→「PODのキャビネット」→「アンプヘッド」→「キャビネット」の順になります。
これは通常で考えられない接続になりますので、サウンドのクオリティーが下がるのは当然と言えます。
※キャビネット・シミュレーターもアンプから出力する場合はオフの設定が良いと思います。
アンプ・シュミレーターとキャビネット・シュミレーターは、ヘッドホンを使用した練習やレコーディング向きだと思います。
ギターアンプを使用せずモニター・スピーカーやヘッドホンから出力してみたところ、こちらの方が断然、良いサウンドになりました。
かなり昔のエフェクターですので現在、主流のPODシリーズよりサウンドは劣りますが、モデリングしている機種のサウンドに似たサウンドは鳴ると思います。
- アンプ・シュミレーターはアンプから出力しない
- キャビネット・シュミレーターもアンプから出力する場合はオフ
- この2つの機能はモニター・スピーカーやヘッドホン向きなので、レコーディングにおすすめ
POD XT LIVE エフェクターのサウンド
続いてはPOD XT LIVEに搭載されているエフェクターのレビューをしていきます。
レビューする際のセッティングは「ギター」→「PODのエフェクトのみ」→「アンプ」といった接続方法で、コンパクト・エフェクターを使用するのと同じセッティングにしました。
全体的にBOSSのGTシリーズのような硬質なサウンドとは真逆の、柔らかくキメが細かいサウンドです。
ファズ
ファズのサウンドは「ゲインの深い潰れた歪み」でモデリングしているファズのサウンドは鳴りませんし似てもいません。
本来のファズはゲルマニウム回路やトランジスタ回路を電池駆動させるものですが、PODはデジタル回路のエフェクターなのでファズの再現は不可能です。
ファズのサウンドはデジタル・テクノロジーがいくら進化しても再現できるものではありません。テクノロジーが進化すればするほど、ファズとは程遠いサウンドになっていきます。
オーバードライブ/ディストーション
チューブスクリーマー、マーシャル・ガバナー、プロコ・ラットをレコーディングし、音質処理を施し整えたサウンドという印象です。
マルチ・エフェクターのモデリングなので本物と全く同じにはなりませんが、似たようなサウンドではあります。
POD XT LIVEが発売された当時は今とは聴こえ方も違ったのですが(他にここまでハイクオリティーな機材が無かったので)、現在はもっと低価格でハイクオリティーなサウンドが鳴る機材がありますので、そちらを使用した方が良いと思いました。
空間系エフェクト
アナログ系のエフェクトをモデリングしたものに関しては、再現度はかなり低いです。これもファズ同様に回路そのものが違いますので、仕方のないことではあります。
デジタル系のエフェクトに関しては、エフェクトのかかりが良くデジタルならではの広がりがあり非常に綺麗なサウンドが鳴ると思います。
POD XT LIVEを使用するのであればアンプのセンド/リターンに接続して空間系エフェクト専用にする使い方が良いと思います。
LINE6 PODXT LIVEの効果的な使い方
リハやライブで使用するためにフロアタイプの形状になっていますが、使用してみた感じですとレコーディング向きのエフェクターだと思います。
リハスタやライブハウスにはマーシャルやフェンダーといったアンプが完備されていますので、PODのアンプ・シュミレーターを使用する意味は無いと思います。使用することでサウンドのクオリティーも下がります。
POD XT LIVEが良さを発揮するのはレコーディングだと思います。
各シュミレーターを使用してレコーディングを行い、録音したサウンドをミキシングで本物のアンプのサウンドに近づけていくようにすると良いと思います。こうすることで、かなりクオリティーの高いサウンドを作ることが可能です。
また、自宅でアンプが鳴らせない場合にヘッドホンを接続し練習用に使うのも良いと思います。
PODは本物のアンプから鳴らさない方が良さを発揮しますので、レコーディングかヘッドホンを使用した練習に使うのがおすすめです。
まとめ
POD XT LIVEレビューのまとめに入ろうと思います。
- アンプ/スピーカーシュミレーターの再現度は今となっては低い
- 歪み系エフェクターは柔らかくキメが細かいサウンド
- 空間系エフェクトはデジタル系をモデリングしたものはセンド/リターンに接続するのがおすすめ
- POD XT LIVEはリハやライブではなくレコーディング向き
POD XT LIVEを使用してみた感想は以上の通りです。
古いエフェクターですので、今の感覚で使用すると物足りなさも感じると思います。
しかし、中古品でしか入手はできませんが、同じ価格帯の他の新品のエフェクターを購入するよりは中古でもPODの方が良いと思います。
特にこれからギターを始める方や、ギターを始めたばかりの初心者の方がマルチ・エフェクターというものを勉強するには非常におすすめです。
このレビューをPOD XT LIVEを使用する際の参考にしてみて下さい。