MrshallのDSL5CはDSL1Cの5Wバージョンと言われています。
しかし、基本仕様(EQやゲイン)は同じですが、搭載されているパワー管とワット数が異なりますので、全く違うサウンドが鳴ります。(個人的には、このワット数がこのアンプのサウンドを左右すると思っています)
今回はMarshall DSL5Cの仕様やサウンドを紹介しながら、レビューをしていこうと思います。
まずはDSL5Cの仕様から始めます。
ギターアンプ Marshall DSL5Cの仕様
- タイプ:コンボ
- 実効出力:5W/0.5W
- チャンネル数:2(クラシック・ゲイン/ウルトラ・ゲイン)
- コントロール:クラシック・ゲイン・チャンネル(ゲイン、ボリューム)、チャンネル・セレクト、ウルトラ・ゲイン・チャンネル(ゲイン、ボリューム)、トーン・シフト、3バンドEQ(トレブル、ミドル、ベース)、ディープ、リバーブ、ロー・パワー
- プリ管:2 x ECC83
- パワー管:1 x 12BH7
- スピーカー:1×10″ Celestion Ten-30 (30w) 16Ω
- フットスイッチ:付属
- サイズ(cm):45.5×42.0x24.0(W x H x D)
- 重量(kg):12.7
- 特徴:リアルなアンプサウンドを再現するエミュレート回路付きヘッドフォン出力と、0.5Wまで出力を下げるパワーリダクション機能を搭載。小音量での練習やレコーディングでも素晴らしいサウンドを実現。
DSL1Cとの大きな違いの1つはパワー管に「12BH7」を搭載している部分です。
もう1つは出力が5Wという部分で、この出力がサウンドの良し悪しを左右するカギになると思います。
では、DSL5Cのサウンドを聴きながら解説を進めていきます。
ギターアンプ MArshall DSL5Cのサウンド
※ハムバッカー・ピックアップをマウントしたマホガニー・ボディーのレスポールで演奏していますのでシングルコイルのギターよりも若干、太いサウンドになっています。
クラシック・ゲイン
クリーン・サウンド
ヴィンテージ・マーシャルをクリーンなセッティングで鳴らしたようなサウンドです。
しかし、チューブ管特有のウォームでマイルドな感じが全くありません。これはボリュームの設定に原因があると思います。全体のサウンドの線も細く感じます。
クランチ・サウンド
クランチもトーン自体は悪くないのですが、こちらも線の細いサウンドが気になります。
ウルトラ・ゲイン
クランチ・サウンド
JCM2000のサウンド(欠点の多いアンプ)を再現したと言われているチャンネルでのクランチ・サウンドですが、JCM2000の欠点が全く気になりません。(JCM2000のサウンドにも似ていないと思います)
線の細いハイ(高音)は少し気になりますが、特にパワー不足も感じませんので、アンプ直でも全然、問題無く使えるサウンドだと思います。
オーバードライブ・サウンド
こちらもJCM2000の欠点が全く感じず(JCM2000のサウンドにも似ていませんが)アンプ直で問題無く使えるサウンドです。
ハイゲイン・サウンド
ゲインを上げるとJCM2000特有のクセのあるハイと、抜けてこない低音が目立ってきます。
続いては実際にDSL5Cを演奏したレビューを書いていこうと思います。
ギターアンプ Marshall DSL5C徹底レビュー
レビューするにあたり使用したギターと機材は以下の通りです。
- フェンダー・ストラトキャスター(フロント、リアにバーチャル・ソロ搭載)
- Ibanez TS-9
※ハムキャンセル構造のピックアップなのでノイズはほぼゼロの状態です。
クラシック・ゲイン
クリーン・トーン
クリーンに関しては「現代風ヴィンテージ・マーシャル」といった感じのサウンドでした。やはりアンプの回路に使用しているパーツが現代のものですので、現代風のサウンドであることは仕方のないことだと思います。
しかし、音の線は細いもののヴィンテージ・マーシャル(プレキシ)をクリーンで鳴らした時のサウンドに、かなり近いサウンドだと思いました。
クランチ・サウンド
ディマジオのバーチャル・ソロはハムバッカー並みの出力ですが、それでもサウンドの線の細さが気になりました。
特にミッド~ハイにかけてですが、マーシャル特有の抜けはあるものの細さが気になります。これがDSL5Cの欠点だと思いますので、音作りでどうカバーするかがポイントです。
この欠点はトーンを絞ったTS-9(レベル:フル、ゲイン:ゼロ、トーン:3)をブースター的に使用して改善することができました。
このようなセッティングのTS-9をかけることで、線の細さは無くなり、太くて突き抜けるミッド~ハイが出るようになります。
他のメーカーのオーバードライブでもトーンを絞り気味にして代用可能です。
ウルトラ・ゲイン
クランチ・サウンド
ウルトラ・ゲイン・チャンネルでゲインを絞り気味にセッティングすると、ウォームなクランチ・サウンドを鳴らすことができます。(JCM2000特有のクセは全く気になりません)
Ibanez TS-9でブーストするとミッドからミッドハイのハリと抜けが良くなり、オールド・マーシャルをフルドライブさせたようなサウンドが鳴りました。
オーバードライブ・サウンド
アンプのゲインを6~7まで上げてドライブさせてもJCM2000特有のクセは全く気にならず、とても良いマーシャル・サウンドが鳴ります。
クランチと同様にTS-9でブーストすると80年代の王道ロックサウンドを鳴らすことができます。
ハイゲイン・サウンド
現代風なハイゲイン・サウンドを狙いゲインをさらに上げていくとJCM2000特有の抜けの悪さと、クセのあるハイが目立ってきます。JCM2000のサウンドが好みの方は、これでも良いと思いますが、個人的には違和感を感じました。
ブースターを使用しても、クセのあるハイは改善されませんでした。
まとめ
DSL5Cはやはり5Wの出力に問題があるように感じました。マーシャルはチューブ管をフルドライブさせて使用してこそアンプの良さを最大限に発揮できます。
しかし、5Wでフルドライブさせるとなると非常に大音量になりますので、自宅ではそれをすることができません。
このままの仕様で出力をDSL1Cのように1Wまで下げて製造した方がマーシャルらしいサウンドが鳴るのではないかと思いました。
では、DSL5Cのまとめに入ろうと思います。
- クラシック・ゲインのクリーンは現代風な整ったクリーン・サウンド
- クラシック・ゲインのクランチはブースターを併用するとヴィンテージ・マーシャルをチップ・クリップさせたようなサウンド
- ウルトラ・ゲインのクランチとオーバードライブ・サウンドはJCM2000のクセが全く感じられずおすすめ
- ウルトラ・ゲイン・チャンネルで現代風ハイゲイン・サウンドを作るとJCM2000特有のクセが出てくるのでおすすめできない
DSL5Cのサウンドの主な特徴は以上になります。
もしも、ハイゲイン・サウンドを作りたい場合はJCM2000のクセが出ない程度までゲインを上げ、不足分をEQを搭載したオーバードライブやディストーションで足す方法が良いと思います。元々の構造が現代風なハイゲインを鳴らすようなものではないので、アンプだけで音を作ろうとせず、他の機材を併用すると上手くいくと思います。
では、このレビューをDSL5Cを使用する際の参考にしてみて下さい。