LINE6 POD XTはPOD2の後継機種になります。発売は2004年頃だったと記憶していますが、発売した時はサウンドがハイファイ過ぎるといった意見も多く、敢えて初期型のPODやPOD2を使用するギタリストも沢山いました。
自分自身も、あまりにもハイファイ過ぎるサウンドが好みではなくPOD2を使用していた1人ですが今、改めてPOD XTを弾いてみると当時は全くサウンドに聴こえました。
今回は今の感覚でPOD XTのレビューをしていきたいと思います。
POD XT 徹底レビュー
POD XTはPOD2と外見もコントロール・ノブの配置も殆ど変りません。アンプモデルとストンプ(エフェクター)が少し追加されている程度で基本的な使用はPOD2と同じです。
アンプ・シミュレーターのサウンド
アンプ・シミュレーターにはLINE6オリジナルのアンプモデルと、有名アンプをモデリングしたものが内蔵されています。
LINE6のオリジナル・アンプは、当時も今も決して良いとは言えないサウンドといった印象です。
クリーン・サウンドは極端な音痩せをしていますし、クランチ・サウンドは音が潰れてしまっています。
ハイゲイン・アンプは度が過ぎるほどのハイゲインで、ゲインを絞ると抜けの悪い潰れたクランチになるので調整のしようがありません。
VOX、マーシャル、フェンダーのアンプモデルは「レコーディン後の音質処理でどこまで本物に近い音作りをするか」または「デジタル色を薄めてリアルな好みのサウンドを作れるか」がポイントです。
また、ギターの練習で使用する場合はメサブギーのアンプモデルが無難です。メサブギーのアンプモデルはサウンドにクセが無く音作りも簡単です。
- アンプモデルはレコーディング後にサウンドを整える
- 練習でも使用できるアンプモデルはメサブギーのみ
- ゲインのかかりが強いのでゲインの上げすぎに注意
歪み系エフェクターのサウンド
POD XTからはエフェクター(歪み系)の機能が追加されています。
人気のエフェクターをモデリングしたものが、いくつか搭載されていますが歪み系エフェクターのサウンドのクオリティーは高くはありません。使用するとサウンドが痩せて抜けも悪くなります。(これは近年のモデルで少しずつ改善されてきました)
折角、追加された新機能ですが正直に言ってしまうと、使用しない方が上手く音作りが出来ます。
アンプ・シュミレーターでしっかりと音作りをして、追加でストンプを使用する場合は補正程度にするのが良いと思います。
- モデリングしているエフェクターの再現度は低い
- 使用するならアンプシュミレーターで作ったサウンドの補正用
- ファズ系はコンパクト・エフェクターでかけるのがおすすめ
空間系エフェクトのサウンド
発売当時はデジタルで整いすぎたサウンドといった印象でしたが、今聴くと古き良きヴィンテージ・デジタル・サウンドに聴こえます。
このストンプは、どうしても音痩せと劣化が激しいので、レコーディン後にDAWソフトのプラグインで空間系エフェクトをかける方法が良いと思います。
しかし、ユニバイブなどの独特のエフェクトを使用する場合、レコーディン後にDAWでかけることが難しいので(DAWにプラグインが無い場合など)使用するほか方法はありません。その場合の音痩せや劣化というデメリットは妥協するしかないと思います。
当時はDAWソフトが今ほどに普及していませんでしたので、PODの空間系エフェクトを使用する機会も多かったのですが、DAWが進化した現在は使用しない方が上手く音作りをすることが可能です。
- 空間系エフェクトは基本的にレコーディング後にDAWソフトでかける
- ユニバイブなど独特の効果を出すエフェクトは音痩せと劣化が激しい
LINE6 POD XTの使い方のコツ
このエフェクターはレコーディング用で、練習やライブで使用するようには設計されていません。
PODは基本的にヘッドホンを着けて使用しますので、ヘッドホンの特性にサウンドが左右されることもよくあります。
そして、PODのサウンドは本体自体で100%作るものでは無く、レコーディングを行い、マスタリングとミックスをして完成します。
PODで音作りをする時は「マスタリングとミックスをすることを想定した音作り」をすることがポイントです。
最終的にどのようなサウンドに仕上げるかをイメージし、そこから逆算してPODで音作りをすると上手く音作りが可能です。
初心者ギタリストでも簡単に使うコツは以下の通りです。
- EQはフラットに設定(メモリを全て5)
- ゲインは下げ気味でセッティング
- コンプレッサーや空間系エフェクトは全てオフ
このようにセッティングするとレコーディング後に音質調整が簡単になります。
※特にEQで低音や高音を強調したりすると音質処理が非常に難しくなるので注意して下さい。
POD XTの音作りの裏ワザ
普通に使用するだけでもマルチ特有のクセのあるサウンドで、更にエフェクトを追加すればするほど音痩せや劣化するのがマルチ・エフェクターです。
PODシリーズも(特にX3あたりまで)豊富なアンプシュミレーター、ブースト用のストンプ、キャビネット・シュミレーターを同時に使用したいところですが、これをしてしまうと納得のいくサウンドが作れない場合が多いです。
そこで、個人的におすすめのPODのサウンドを良い方に激変させる裏ワザを紹介したいと思います。
※この裏ワザにはEQとゲイン搭載のオーバードライブが必要になります。(試したところTS-9でも可)
接続順は以下の通りです。
- ギター
- EQを搭載したオーバードライブなどのコンパクト・エフェクター
- POD XT
- オーディオ・インターフェース
- ヘッドホンまたはモニター・スピーカー
このように接続します。
各機材のセッティングは以下の通りです。
- コンパクト・エフェクターのEQとゲインでメインの音作りをする
- POD XTはキャビネット・シュミレーターのみ使用(他の機能は全てオフ)
- オーディオ・インターフェースのボリュームは全開
- 最終的な音量調整はPOD XTのアウトプットで行う
1つめのポイントは、POD XTのアンプ・シュミレーターを使用せず、代わりにコンパクト・エフェクターをプリアンプとして使用しているところです。(コンパクト・エフェクターはアンプヘッドの役割りです)
2つめのポイントは、POD XTはキャビネット・シミュレーターのみ使用し、不要な機能をオフにすることで、音痩せと劣化を防ぐところです。
ポイントの3つめは、オーディオ・インターフェースのボリュームを全開にすることでコンパクト・エフェクターとPOD XTのサウンドを最大限に引き出せます。
オーディオ・インターフェースのボリュームが全開ですが、POD XTのアウトプットで十分コントロールできますので音割れの心配は全くありません。(マスター・ボリュームのような役割りになります)
このようにセッティングをすると、まるで本物のアンプをスタジオで鳴らしたかのようなサウンドになります。
まとめ
POD XTのレビューをしてきましたが、まとめに入ろうと思います。
- オールマイティーに使用可能なアンプモデルはメサブギー
- ストンプは音質補正用に使用するのがおすすめ
- EQはフラットにするとマスタリングやミックスが簡単になる
- コンパクト・エフェクターを併用してサウンドのクオリティーを向上させることが可能
これらのポイントをPOD XTを使用する際の参考にしてみて下さい。