LINE6 POD X3 LIVEはPODシリーズ初のフロア型のマルチ・エフェクターです。これまでのPODはレコーディング専用のアンプ・シミュレーターでしたので、ライブやリハには向いていませんでした。
POD X3 LIVEはアンプ・シミュレーターも内蔵していますので、もちろんレコーディングにも使用可能ですし、普段の練習やスタジオでのリハ、ライブでも使用できます。
では、POD X3 LIVEのレビューとアンプモデルの解説をしていこうと思います。
LINE6 POD X3 LIVE レビュー
POD X3 LIVEは従来のPODとは全く形が異なります。サウンド・メイクの為の各コントロール・ノブ、プリセットしたサウンドを切り替えるスイッチ、エクスプレッション・ペダル(ワウ、ピッチ・シフター、ボリュームのコントロール)が搭載されています。
それではアンプのレビューをしていきます。
POD X3 LIVE アンプモデルレビュー
マーシャル、VOX、メサブギーなどの人気機種をモデリングしたアンプ・シミュレーターが内蔵されていますが、メサブギーのトリプル・レクティファイアーとエングルのパワーボール以外は正直に言ってしまうと使えないと思います。
例えばマーシャルのプレキシも、それっぽいサウンドはしますが、このサウンドを実際にライブやリハで使うなら他のエフェクターを使うか、もしくはPOD自体を機材から外した方が良いと思います。
レコーディングでの使用であれば録音後に手を加えることを見越して音作りを行い、音質処理でいくらでもサウンドの補正は可能です。しかし、ライブやリハは今、鳴っている音がとても重要になります。そういったことから2つのアンプ以外はレコーディング以外では使えないと思いました。
このように判断していくとメサブギーのレクティ・ファイアーとエングルのパワーボールがライブやリハで使用するには非常に無難なサウンドだと思います。この他のアンプモデルは相当手を加える必要があるレコーディング向きのサウンドです。
※メサブギーやエングルのモデリングしているアンプのサウンドを再現しているというわけではなく、それほど手を加えず簡単に使えるサウンドが鳴るのが、この2つのアンプモデルということです。
- ANGEL P-ball
- 2001 DIAMOND PLATE
この2つがおすすめのアンプモデルです。
POD X3 LIVE エフェクトレビュー
POD X3 LIVEのは98種類のエフェクトが内蔵されています。ここでは歪み系、空間系、フィルター系の3つに分けてレビューをしていきます。
このエフェクトもLINE6オリジナルのエフェクトではなく、人気のエフェクターをモデリングしたものです。
マルチ・エフェクターでモデリングしたものなので当然、実際のコンパクト・エフェクターと回路が異なります。そのため100%同じサウンドは鳴りません。
ポイントとなるのは「どこまで再現できているか?」と「そのサウンドのクオリティー」になります。
歪み系エフェクトのレビュー
マルチ・エフェクター特有のクセが少なくBOSSのGTシリーズに比べると柔らかいサウンドという印象です。
モデリングしているエフェクターの再現度は高くはありませんが、近いサウンドは出ていると思います。
アナログのコンパクト・エフェクターをハイファイにしたサウンドなので、2000年以降のサウンドが好みの方は気に入ると思います。
アンプ・シミュレーターをオフにして、ストンプのみを使用するとアンプとのバランスが取易くなりますので、リハやライブではこちらのストンプのみを使用すると良いです。
- 他のマルチ・エフェクターに比べると柔らかいサウンド
- アンプ/キャビネット・シュミレーターをオフにしてストンプを使用すると音作りが簡単
- 2000年以降の歪みサウンドが好きな方におすすめ
空間系エフェクトのレビュー
POD X3と同様にデジタルならではの非常に綺麗で整ったサウンドです。
ヴィンテージ・エフェクターの「ユニバイブ」や「テープエコー」をモデリングしたエフェクトも内蔵されていますが、雰囲気は似ています。これら2つのヴィンテージ・エフェクトを現代のレコーディング技術で録音した場合は、このようなサウンドになるのではないかと思います。
ディレイやリバーヴの広がり、トレモロの揺れは個人的には気に入っています。マルチ・エフェクターなのでデジタル特有の音痩せは気になりますが、POD X3 LIVEのエフェクトは空間系が1番使えると思います。
- デジタル・エフェクトとしてのクオリティーは高い
- アナログ・サウンドに拘る方には向かない
- このエフェクターの中で最も使えるのは空間系エフェクト
その他のエフェクトのレビュー
コンプレッサーやノイズ・ゲートですが、軽くかけてもサウンドに影響が出すぎる印象でした。
特にノイズ・ゲートは音の切れ際が不自然でサスティンが失われすぎると思います。
ハムキャンセル構造ではないシングルコイル・ピックアップをマウントしたギターで、ハイゲイン・サウンドを使用する場合にノイズ・ゲートは必需品ですが、サスティンに影響がでるので外してしまうギタリストは多いと思います。
しかし、これは弾き方でカバーできるようです。
余談ですが先日、イングヴェイ・マルムスティーンのエフェクターのセッティングを見る機会があったのですが、ノイズ・ゲートを通常では考えられないほどに深くかけるセッティングをしていました。(POD X3 LIVEは使用していません)
全く同じ機材(同じギター、エフェクター、アンプを使用)で同じセッティングをしたところ、ノイズは綺麗に消えますが、音の伸びが無くなってしまい(音を伸ばすことが不可能に近い)とても弾けるセッティングではありませんでした。
しかし、イングヴェイ自身はロング・サスティンで弾けています。これはノイズ・ゲートを深くかけてもサスティンを得る弾き方をしているからだそうです。
この弾き方の詳細は分かりませんが、エフェクターのデメリットは弾き方でカバーできるということですので、エフェクターの効果が気に入らない場合でも、すぐに外してしまわず弾き方を試行錯誤してみるのも大切だと思います。
- コンプレッサー、ノイズ・ゲートはかかりが強い
- エフェクターを鳴らしきる弾き方を身に付けることで、機材の欠点をカバー
まとめ
POD X3 LIVEのレビューをしてきましたが、まとめに入ろうと思います。
- アンプシミュレーターはレコーディング向きのサウンド(ライブやリハには向かない)
- 歪み系エフェクターは2000年以降のサウンド(ハイファイ・サウンド)
- 空間系エフェクターは綺麗で整ってたサウンドなのでおすすめ
- コンプの音痩せするので使い方に注意(深くかけないこと)
- ノイズ・ゲートはサスティンが極端に無くなる(音の切れ際が不自然)
レビューをまとめると以上のようになります。
POD X3 LIVEはライブやリハ向けにフロア型になっていますが、レコーディングでも使用可能ですのでオールマイティーに使えるマルチ・エフェクターだと思います。
※音作りが非常に難しくなりますので、くれぐれもアンプ・シュミレーターとキャビネット・シミュレーターをオンにして、アンプから出力しないようにして下さい。
サウンド自体はPOD X3と殆ど変わりませんので、レコーディング専門に使用する方はPOD X3を選ぶと良いと思います。
以上のレビューをPOD X3 LIVEを使用する際の参考にしてみて下さい。