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パイプオルガン

パイプオルガンの仕組みと構造!ふいごでの空気の送風で音が鳴る原理を詳しく


パイプオルガンは紀元前のギリシャ時代に作られた非常に古い楽器です。その頃、北アフリカで発明された水圧オルガン「ヒュドラウリス」が、パイプオルガンの原型だと考えられています。

水圧オルガンは楽器ではなく一定の圧力がかかっている空気を送り出すための装置として発明されたとう説もあります。その装置に本当に一定の圧力がかかっているかを示すために、パイプを付けて空気を送るデモンストレーションを行ったところ、楽器のように音が鳴ったそうです。

ここではパイプオルガンの仕組みと構造や、ふいごでの送風で音が鳴る原理を解説していきます。

まずはパイプオルガンの仕組みから解説していきます。

パイプオルガンの音が鳴る仕組み

コンサートホールにあるパイプオルガンは規模が大きく、金属のパイプが何本も立っています。表から見えているのは、ごくの一部で実際は裏に何千本もパイプが立っていています。

何千本も必要な理由は、パイプは1本で1つの音しか出せないからです。このパイプはフルートのような音色のド専用、このパイプはトランペット系の音色のレ専用、というような具合です。

ある音色を低い音から高い音まで56鍵分出したいのなら、56本のパイプが必要となります。さらに、トランペット系の音色、フルート系の音色と、音色を3つ揃える場合には、56×3で168本のパイプが必要になります。つまり、出せる音色を増やすほどパイプの本数が増えていきます。

パイプオルガンは風をパイプに送り、空気を振動させて音を出します。

風箱(かざばこ)という箱の上にパイプを立てて、鳴らしたいパイプに下から風を通します。

圧力をかけた空気がパイプを通って音を鳴らすというのは、リコーダーを吹くのと同じ原理です。

続いてはパイプオルガンの音階と音色の作り方を解説していきます。

パイプオルガンの音階と音色の作り方

パイプオルガンは、リコーダーのように指で孔(あな)を押さえて気柱の長さを変えることができません。そのためパイプの長さを階段状に変えて、音階を作ります。

パイプの素材や形を工夫して、音色の違いを出し、色々な楽器に近い音を出せるようにしています。

パイプオルガンでは、1つの音色のことをストップと呼びます。

例えば、音色が3つあるオルガンを3ストップのオルガンといいます。

続いてはパイプオルガンで鳴らすパイプの選び方を解説します。

パイプオルガンで鳴らすパイプの選び方

どのパイプを鳴らすかは、ストップレバーと鍵盤を用いて選びます。

ストップレバーの役割

ストップレバーは音色を切り替える装置のことで、鍵盤はドレミのどの音にするかというスイッチ役となるものです。配置は、風箱に対して縦の列が鍵盤、横の列がストップというマトリクス(方眼)の関係になっています。

例えば、縦と横の全ての交点にパイプがあるとします。まず、鳴らしたい音色のグループを選び、あるストップレバーを引くと、それに対応するスライダー(穴の開いた板)が動き、下にある穴と一致して希望の音色のパイプ群に風を通す準備ができます。

その状態でドの鍵盤を押すと、ドの風路へ空気が入り、選んだ音色のパイプを通って音が鳴ります。つまり、縦横両方で選んだパイプに風が通るわけです。この時に、風は下から来ます。

トランペットとフルートのストップレバーを引くと、1つの鍵盤を押すだけで、これら2つの音色を同時に出すことができます。また同じ方法で、すべての音色を同時に鳴らすこともできます。

閉管

パイプの中には、蓋をした木製パイプもあります。

これを閉管と呼びます。

同じ長さのパイプで開管の状態から閉管にすると、1オクターブ低い音になります。また、開管と比べると、倍音の少ない柔らかい音が出ます。

次はパイプオルガンのスラーダーと風箱について解説します。

パイプオルガンのスラーダーと風箱

スライダーとは穴のたくさん開いた板のことで、スライドさせることで風を通すか通さないかを選べます。

スライダーの使い方

演奏者がストップレバーを引くと下の板の穴と一致して風が通り、音が鳴ります。逆にストップレバーを押すと、穴がずれて風が通らなくなります。

3音色のパイプオルガンの場合、スライダーは3枚あります。風箱にも穴が3音色分開けてありますので、風箱の上に1音色分ずつ、3枚のスライダーが乗り、さらにその上にパイプを乗せるパイプボードが載ります。

風箱の役割

風箱の裏側には、縦長の溝が並んでいます。溝は、風箱の板の下は、縦に細く仕切られた部屋になっています。

これを「風が通る路」ということで「風路」と呼び、各鍵盤に対応しています。(風路は梯子(はしご)を縮めたような形です)

鍵盤を押すと、溝に蓋をしている弁が動いて風路に空気が入り、スライダーの穴が一致していれば穴を通り抜けて、その上のパイプを風が通り音が鳴ります。

続いては小型のパイプオルガンの仕組みについて解説していきます。

小型のパイプオルガンの仕組み

小型のパイプオルガンは、箱の中に送風システムもパイプもアクションも収まっています。コンパクトながら伝統に根ざした音が響くのが特徴です。

小型のパイプオルガンは木製のパイプと錫製のパイプで作られています。

木製のパイプは振動しやすい「スプルース」という木材を使った板を4枚貼り合わせ作られています。

また、小型のパイプオルガンは錫の比率で音色が変わります。錫52:鉛48や、錫70:鉛30というように、目指す音色によって比率を変えています。

前者はフルート系(やわらかい音)、後者はプリンシパル系の音(よく響く、パイプオルガンらしい音)が鳴ります。錫が増えると素材として硬くなり、音が明るくなります。

プリンシパル系の音は、よく響くオルガンの中で中心となる、響きの基本的な音です。コンサートホールや教会で表に見えているパイプはプリンシパル系のパイプで、音のコーラスを作るのもこの音です。

フルー管の役割り

パイプオルガンのパイプは、材質も大切ですが、同様に吹き口の形状も大切です。吹き口の形状には、大きくフルー管とリード管の2種類があります。

フルー管はリコーダーと同じ構造です。下から入った空気は、スリットを通過して板状の流れとなり、唄口の上部に当たってパイプの内側と外側に交互に流れ出ます。

この周期的な運動とパイプ全体の空気が共鳴して音が鳴ります。パイプを太くするとフルートの音色に、細くすると弦楽器の音色に近付きます。

リード管の役割

吹き口のもう1種類の形状となるのが、リード管です。リード管は、空気の流れでリードを振動させ、パイプ全体を共鳴させて音を出す仕組みです。

金管楽器のような華やかな音からファゴットのようにこもった柔らかい音まで、リードの形や厚さ、パイプの形状で音色が変えられます。

リードには少し反りがついています。そのため、リードとリード受けの間には隙間があって、そこから空気が通ります。空気が通るとき、にリードは風に巻き込まれて閉じようとします。閉じたリードは、リード自体の反りによってふたたび隙間ができます。このように開けたり閉じたりの振動を繰り返し音を鳴らします。

風が当たったリードの振動は、シンセサイザーでいうパルス波の状態になり、豊かな倍音が生まれます。リードの先に付いている共鳴管が自然な円すい管なら、豊かな倍音が生かされます。このように、リード管によって多彩な音色が出せるようになっています。

まとめ

パイプオルガンの構造について解説をしてきましたが、パイプオルガンは鍵盤楽器ですが音の鳴る仕組みは管楽器と同じになります。

最近は良い状態のパイプオルガンが無くなってしまい、外見はパイプオルガンで中身はシンセという場合も多いですが、もし機会がありましたら1度、本物のパイプオルガンの音を聴いてみるのも良いと思います。