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トロンボーン

トロンボーン運指表のポジション位置・スライド番号覚え方を分かりやすく!音階表とF管,ドイツ音名,ト音記号の演奏方法も


トロンボーンを始める人にとって最初の壁となるのは、独特のポジションかもしれません。

トランペットのようにピストンがあるわけでもなく、クラリネットのように穴をふさぐわけでもなく、なんの引っ掛かりもないスライドに驚く人も多いのではないでしょうか。

手さぐりで始める練習に、不安を感じる人も多いでしょう。

でもそれはトロンボーン奏者がみんな通る道

少しずつコツをつかみ、正しいポジションで演奏できるようになりますよ。

今回はトロンボーンの運指表といえる

  • ポジションの位置やスライド番号の覚え方や分かりやすい図
  • 音階表
  • 音名との対応表

等をご紹介します。

トロンボーンはドイツ音名でin B♭だがin Cの楽譜を読む

トロンボーンを初めて持ったときに誰かに教わったことがある人や、ピアノなどですでに楽譜が読める状態からトロンボーンをはじめた人は、最初に違和感を持った人も少なくないと思います。

それは、

  • トロンボーンの「ド」の価値観

に違いがあることが多いからです。

この現象は、同じくB♭管でヘ音記号の楽譜を読むユーフォニアムやテューバでも同様におこっているのですが、そもそも「ドレミ」という読み方をどうとらえるかで、人によっては違和感を感じることがあるのです。

ここでは、その違和感の正体とトロンボーンの楽譜について説明していきます!

トロンボーンはB♭管だけど実音表記(inC)の楽譜を読む

まず最初に、ドイツ音名でいうとトロンボーンはB♭管という種類になります。
これは簡単に言うと「ドを吹けばB♭の音が鳴る」管のことで、トランペットやクラリネットも同じB♭管です。

ただ、トランペットやクラリネットでは先ほど言ったような「違和感」を感じる現象が起こっていません。これはなぜかというと、トランペットなどは楽譜通りに自分の楽器のドレミを見たまま演奏すればいいように楽譜がすでに移調されているからなのです。

それに対して、トロンボーンの楽譜はすべて実音(inC)で書かれています

中には極稀に「トロンボーンinB♭」という楽譜もあるようですが、ほとんどの楽譜はinCで書かれていますので、楽譜のドを演奏する際には楽器のレを吹かなければいけません。

正しい音が出せれば読み方に正解はない

そしてここからが問題なのですが、学校で先輩などに楽器を教わった人などでは「シ♭がドになるんだよ」と教わっていたり、ドレミでは教えず「ベー、ツェー、デー・・・」と実音の読み方でのみポジションを教えていたりと、学校などによって価値観がまちまちなのです。

結論としては、こう考えないとダメだとか、こうでないといけないという正解はありません。

最終的に楽譜に書かれている音が正しく吹ければ問題ないのです。

そのためには、正しく楽譜と楽器の違いを理解した上で、ポジションと紐づけていくのがよいでしょう!

では次に、トロンボーンを吹くのに重要なポジションの位置について図を使って分かりやすくご説明していきます。

トロンボーンのポジションの位置を分かりやすく!


トロンボーンのポジションは全部で1~7までの7ポジションですべての音をカバーしますが、トロンボーンのスライドには、ギターのフレットのように目印などはありません。

なので、「だいたいこの位置」や「こことここの間」のように感覚で覚えるほかありません。

そんなざっくりではわかりにくいので、図解を交えて説明してみましょう。

第一ポジションのとり方

第一ポジションは最もスライドを縮めた、管がほぼ全部入っている状態です。

人によっては完全にくっつけるわけではないようですが、基本はスライドを動かしていない状態で大丈夫です。
あまり力を入れて手前に引きすぎる必要もなく、いつでもスライドを伸ばせるように力を抜いた状態で構えましょう。

第二ポジションのとり方

第二ポジションは、第一ポジションと第三ポジションの中間になります。
第三ポジションがどこかというと、ベル(朝顔のような部分)の出っ張っているあたりになりますので、ちょうどその中間ということになります。

少しわかりにくいところですが、比較的近いポジションになりますので、慣れて覚えましょう!

第三ポジションのとり方

第三ポジションは、先ほど第二ポジションのところで少し触れましたが、ベルの端の辺りになります。

ただし、メーカーによってベルの位置やサイズが若干違ったり、ピッチがずれることもあるため、きっちりベルの端と揃えられない場合もあります。

第四ポジションのとり方

第四ポジションは、第三ポジションと第六ポジションの長さの3分の1を抜いた辺りになります。

といっても、少しわかりにくいと思いますので、第二ポジションと第三ポジションの間の距離と同じくらいの距離を、第三ポジションから離すようなイメージです。

第五ポジションのとり方

第五ポジションは、第三ポジションと第六ポジションの長さの3分の2を抜いた辺りです。

7つあるポジションのうち、1番取りにくいのがこの第五ポジションになると思いますが、ここも第一ポジションから第三ポジションの間の距離と同じくらいの距離を、第三ポジションから離すようなイメージのほうがわかりやすいかもしれません。

第六ポジションのとり方

第六ポジションは、内管の“でっぱり”の所に合わせます。

これはスライドの内管のところをよくみると、印のようにすこし“でっぱり”があるので、その部分をめがけて伸ばしましょう。

小柄な女性だとこのあたりから少し腕が届きにくくなるかもしれません。

第七ポジションのとり方

第七ポジションは、腕を伸ばしきったあたりになります。

小柄な人や女性で届かない場合は、スライドの持ち手の部分に紐をつけておいて、ひもを持った状態でスライドを離すとよいでしょう。

<トロンボーンのポジション位置>

第一ポジション

第二ポジション

第三ポジション

第四ポジション

第五ポジション

第六ポジション

第七ポジション

各ポジションで出る音を覚えよう


トロンボーンは、同じポジションでも吹き方次第でたくさんの倍音が鳴ります。

その中で自分が出したい音を狙って吹くのですが、出したい音がどのポジションで鳴るのかがわかっていれば、いざというときに困らないでしょう。

では、各ポジションごとに出る音をin Cの楽譜でご紹介していきましょう!

第一ポジションで出る音

第一ポジションでは、下記の音を出すことができます。

【実音(inC)】

B♭(A♯) ー F ー B♭(A♯) ー D ー F ー A♭(G♯) ー B♭(A♯)

第二ポジションで出る音

第二ポジションでは、下記の音を出すことができます。

【実音(inC)】

A ー E ー A ー C♯(D♭) ー E ー G ー A

 

第三ポジションで出る音

第三ポジションでは、下記の音を出すことができます。

【実音(inC)】

A♭(G♯) ー E♭(D♯) ー A♭(G♯) ー C ー E♭(D♯) ー G♭(F♯) ー A♭(G♯)

 

第四ポジションで出る音

第四ポジションでは、下記の音を出すことができます。

【実音(inC)】

G ー D ー G ー H ー D ー F ー G

 

第五ポジションで出る音

第五ポジションでは、下記の音を出すことができます。

【実音(inC)】

G♭(F♯) ー D♭(C♯) ー G♭(F♯) ー B♭ ー D♭(C♯) ー E(F♭) ー G♭(F♯)

 

第六ポジションで出る音

第六ポジションでは、下記の音を出すことができます。

【実音(inC)】

F ー C ー C ー A ー C ー E♭(D♯) ー F

 

第七ポジションで出る音

第七ポジションでは、下記の音を出すことができます。

【実音(inC)】

E ー H ー E ー G♯(A♭) ー H ー D ー E

各ポジションで出る音

第一ポジション B♭(A♯) ー F ー B♭(A♯) ー D ー F ー A♭(G♯) ー B♭(A♯)
第二ポジション A ー E ー A ー C♯(D♭) ー E ー G ー A
第三ポジション A♭(G♯) ー E♭(D♯) ー A♭(G♯) ー C ー E♭(D♯) ー G♭(F♯) ー A♭(G♯)
第四ポジション G ー D ー G ー H ー D ー F ー G
第五ポジション G♭(F♯) ー D♭(C♯) ー G♭(F♯) ー B♭ ー D♭(C♯) ー E(F♭) ー G♭(F♯)
第六ポジション F ー C ー C ー A ー C ー E♭(D♯) ー F
第七ポジション E ー H ー E ー G♯(A♭) ー H ー D ー E

 

ポジションの注意点

ポジションの位置について説明してきましたが、あくまで「目安」であって、どんな時でもこの場所でないといけない!ということはありません。

というのも、トロンボーンはスライド楽器であり、その管の長さを変えることで音の高さを調節しているので、気温差などで管が温まって音が高くなってきたら低め(長め)にポジションを取ったり、口がバテてきてピッチが低くなってきたら少し高め(短め)にポジションを取ったりと微調整が必要になります。

ですので、その時の状態やピッチによって多少前後することを頭に入れておいて、臨機応変にポジションを取りましょう!

 

トロンボーンその他の運指や替えポジション

トロンボーンのその他の運指や替えポジションについても順番にご説明していきます。

F管編

トロンボーンは一般的にB(ベー)管です。

ですが、“テナーバストロンボーン”または“バストロンボーン”と呼ばれるトロンボーンにはロータリーバルブが付いていて、このバルブを使用することでF管にも変化します。

また、テナーバストロンボーンにはF管しか付いていないモデルもありますので、この楽器を演奏するにはF管でのポジション表が必要になります。

B管、スライドバルブでF管に変化可能な場合

引用先:http://36h.net/cgi-bin/finger/finger.cgi?v5+k12

B管のトロンボーンですがスライドバルブを使ってF管に変化可能な場合、基本的に使用するのはB管です。

曲の中でポジションの変化が大きく演奏しにくい場合や、音域によってF管を使用した方がいい音が出る場合に、スライドバルブを使用してください。

こちらの表は、ポジションが1つしか表示されていない音に関してはB管でのポジションとなり、基本的にB管を使用して音を出します。

音によってポジションが2つ表示されますので、その場合は上段がB管でのポジション、下段がF管でのポジションとなります。吹きやすい方を使用してください。

F管スライドバルブなし

引用先:http://36h.net/cgi-bin/finger/finger.cgi?v4+k19+c0

そもそも楽器のつくりがF管でスライドバルブもない場合は、こちらの運指表を使用してください。

音域はB管スライドバルブありのものと大きく変わりませんが、低い音はF管の方がよく鳴りますよ。

また、”そもそもポジションが分からない”という場合は、楽器メーカーであるYAMAHAが公開しているこちらの動画を参考にしてください。

楽器本体と比べてどの辺りで止めているか、腕の伸び具合がどれくらいか、を見てくださいね。

 

YouTube【トロンボーン】ポジションとタンギング

  • 自分の楽器で演奏できる調を知る
  • それぞれの音に対するポジションを知る
  • 正しいポジショニングを習得する

ト音記号編

一般的な吹奏楽のトロンボーン譜でト音記号を目にすることはまずありません

ですが、他の楽器を吹き替えたい場合や、ピアノ譜のメロディーをトロンボーンで演奏したい場合には、ト音記号を読む必要がありますよね。

トロンボーンはB管ですが、トロンボーン譜は実音であるinCで書かれていますので、ト音記号の読み方さえ分かれば、あとは普段と同じポジションで演奏できます

トロンボーンの音域は通常ヘ音記号で表現できる範囲ですから、ト音記号の楽譜を演奏すると、楽譜より1オクターブ下を演奏することになりますので注意してください。

また、このときに大切なのは、ト音記号で書かれた楽譜が実音(inC)で書かれていることです。

トランペットやクラリネットなど、楽譜の調性が異なる場合はさらに手を加える必要がありますので、詳しい人に相談してくださいね。

以下で、ト音記号の読み方を紹介しますので参考にしてください。

「ぷりんと楽譜」楽譜の基礎知識

参考例①

ト音記号

参考例②

ヘ音記号

参考例①の引用先:https://www.print-gakufu.com/common/guide/images/Gclef.jpg

参考例②の引用先:https://www.print-gakufu.com/common/guide/images/Fclef.jpg

高音編

トロンボーンの高音域では、替えポジションがとてもたくさん登場します。

例えば、こんな具合です。

引用先:https://www.yamaha.com/ja/musical_instrument_guide/trombone/play/play003.html

教則本や練習曲にどういった替えポジションが登場しているのか、また自分はどの替えポジションが吹きやすいのかを分析してみるといいですね。

最低音編

演奏全体の響きに奥行きをあたえたり、優しさを感じさせたりできるトロンボーンの低音。

では、どのくらい低い音まで出すことができるのでしょうか。

テナーバストロンボーンの場合

頭でっかちに理屈で捉えると、「ペダルトーン(=基音)であるB♭の短7度下までできる」と考えられています。

つまり、中央Cから3オクターブ下に位置するC(­=ド)までを演奏できるのです。

バストロンボーン(ダブルロータリーバルブ付&F管とG♭管付き)の場合

こちらも頭でっかちに理屈で捉えると、「ペダルトーンであるB♭の1オクターブ下まで演奏できる」と考えられています。

つまり、テナーバストロンボーンの最低音からさらに長2度下のB♭まで演奏できるのです。

ペダルトーン編

トロンボーン初心者だけでなく、中級者も演奏できたらなぁと憧れるペダルトーンを解説します。

ここで改めてペダルトーンをおさらいすると、

トロンボーンの基音、チューニングの時に出すB♭から2オクターブ下のB♭まで

を指しますよ。

テナーバストロンボーンのポジション

テナーバストロンボーンはF管のみで音色を奏でるため、参考となるポジション表ではB♭とFがそのまま使えます。

引用先https://www.yamaha.com/ja/musical_instrument_guide/trombone/play/play003.html

F管でもB♭管でもポジションに変わりがないとなれば、音に集中して練習すればいいので嬉しいですね。

トロンボーンの吹き方のコツはこちら↓↓
⇒トロンボーン初心者の吹き方のコツ・口の形は?高音を吹くときとタンギングが上手くなる方法も

まとめ

以上、トロンボーンの運指表や音名との対応表、ト音記号の楽譜の演奏方法についてご紹介しました。

トロンボーンのようにスライドバルブを用いて異なる音階を演奏できる楽器は多くありません。

この機能によって運指表は複雑になりますが、音域や音色の幅は大きく広がります。

ぜひ運指をマスターして、たくさんの曲を演奏してくださいね。