楽器を演奏しない方がDTMで作曲をする場合、ギターを打ち込みにすることもあると思います。最近はリアルなサウンドのソフトがリリースされ、一昔前とは違い迫力のあるサウンドと繊細なニュアンスの再現も可能になりました。
今回は、おすすめのソフトを紹介しながら、midiキーボードを使った打ち込み方を初心者の方にも分かり易く解説していきます。
まずはギターを打ち込むための基礎知識から始めます。
midiキーボードでギターを打ち込むための基礎知識
ギターを打ち込みにする場合「ギターは弾けなくても、ギターという楽器の特徴を知っておく」必要があります。特にリアルなギターを打ち込みたい場合は、絶対に必要な知識になります。
これを知らずに打ち込みをするとギターの音色を使っただけのメロディーになってしまい、ギターらしいメロディーにはなりません。
midiキーボードで打ち込む場合は当然、鍵盤で打ち込むことになりますので、ピアノやキーボード的なメロディーになりがちです。(ギターは鍵盤とは音の配列が違います)
しかし、これが絶対にいけないわけではありません。例えばロック・バンドでもギタリストではないメンバーが、キーボードでギター・パートを作曲しているケースも稀にあります。
例えばAcid Black Cherryというバンドがこの作曲方法です。そのため、このバンドのギター・リフは、ギタリストには思い付かないような独特なものも多いです。
また、アコースティック・ギターやクリーン・トーンのアルペジオを打ち込む時には、特に注意が必要です。鍵盤の音の配列の関係から、アルペジオを鍵盤で作ってしまうと、ギターらしくないアルペジオになってしまうことが多いです。
このようなことから、ギターらしいメロディーを打ち込むにはギターという楽器を知ることが基本になります。
続いては、ギターを打ち込むための、おすすめソフトを紹介していきます。
おすすめソフト
ここでは初心者でも簡単に扱えるギターの打ち込みソフトを紹介していきます。
Junk Guitar (Fujiya Instruments)
ハムバッカー・ピックアップをマウントしたギターのサウンドを、サンプリングした音源です。簡単な操作と見やすいGUIで、初心者でもリアルなギターを、簡単に打ち込むことが出来ます。
サウンドはロック系で、ディストーションを効かせると本格的なロック・サウンドになります。とても操作しやすいので初心者におすすめです。
ELECTRI6ITY (VIR2)
ストラト、レスポール、テレキャスターなど8種類のギターのサウンドが収録されている音源です。このソフト1つで、あらゆるギターの音が出すことが出来ます。
エフェクターとアンプシミュレーターも付属しており、奏法機能も充実しているので、初心者から上級者までおすすめのソフトです。
Ample Soundシリーズ
数多くのギター音源を出しているメーカーです。収録されているサウンドが非常に多いのが特徴です。
クリアなサウンドで、現代的なハイファイサウンドのギターを求めている人におすすめです。様々な種類のエフェクターも内蔵しています。
Tux Guitar
こちらは無料でダウンロードできるソフトです。ギター以外にもベース、ドラム、ピアノ、ストリングスなども打ち込み可能です。
音質が良くはありませんが、非常に使いやすいので、これからギターの打ち込みを始める初心者の方におすすめです。このソフトで打ち込みの基礎を学び、それから本格的なソフトを購入するのも良いと思います。
続いては打ち込み方法について解説していきます。
打ち込み方法
使用するソフトにより画面は異なりますが、共通しているのは写真のようなピアノロールと呼ばれる画面です。
左側が鍵盤、青色の横線が音符で、横線の長さは音符の長さになります。
縦線は拍で、1小節4拍を何分割するかにより、その細かさが変わります。写真は16分割したものです。
そして、midiキーボードの鍵盤を押すと画面に音符が青色の横線で打ち込まれていきます。また、写真の左側にある鍵盤をマウスでクリックしても打ち込みが可能です。
PCにより振り分けは異なりますが、PCのキーボードでも音符の打ち込みが出来ます。
続いてはコードの打ち込み方について解説していきます
コードの打ち込み方
一昔前のソフトではコードを1音ずつ入力していました。しかし、現在のソフトは(フリーソフトも含め)コード入力の画面を立ち上げ、コードネームを選択するだけで打ち込むことが出来るようになりました。
ギターのコードは1つのコードでも色々なポジションと音域がありますが、それも選択可能です。コード進行の知識さえあれば、ギターが弾けない初心者でも簡単にコードの入力が出来ます。
アルペジオを打ち込む場合は、単音で打ち込む必要があります。この場合はギターの音列や特徴を勉強する必要があります。
奏法機能の使い方
奏法機能はスライドやベンドなどのギター奏法を再現するための機能です。
これは奏法機能の入力画面で、使用したい奏法を選択するのみですので、操作方法はとても簡単です。しかし、奏法自体を知らなければ使用する場所が分かりません。
奏法名 | 効果 |
チョーキング | 半音、1音、1音半、2音 音程を上げる |
グリス | 音程のランダムな効果音 |
ヴィブラート | 音程を揺らす |
タッピング | 指板を叩いて連続して音を出す奏法 |
ハンマリング/プリング | 弦を叩く、または引っ掻いて発音 |
トリル | 連続して細かくピッキング |
スライド | 押さえた音から指を滑らせ次の音を発音 |
ミュート | 音の余韻を消す |
アームアップ/アームダウン | アームで音程を上下させる |
ピッキング・ハーモニクス | 発音と同時にハーモニクス音を出す |
基本的な奏法の詳細は表の通りですので、参考にしてみて下さい。これらを覚えることで、よりリアルなギターを打ち込むことが出来ます。
打ち込みのコツ
ギターに限らず、どの楽器でもリアルな打ち込みをする場合は、楽器の特徴を知る必要があります。例え弾けなくても、色々な楽器の演奏を聴き、楽器特有のメロディーを作れるようになって下さい。
特に楽器の音列、音域は必ず覚えるようにしましょう。midiキーボードで打ち込みをする場合によくあるのが、鍵盤の音列でメロディーを作ってしまうことです。これですと、ギターの音色を使った鍵盤のメロディーになってしまいます。
ギターらしいメロディーを作り打ち込むのに最適な勉強方法は、好きなアーティストのバンドスコアを打ち込んでみることです。これをすると自然にギターらしいメロディーを作って打ち込めるようになります。
まとめ
ギターのドライブ・サウンドの場合は、上手く打ち込んだとしても、やはり本物のギターには劣る部分が多いです。
しかし、アコースティック・ギターやクリーン・サウンドのアルペジオに関しては、本物のギターを使用するよりも打ち込みの方が綺麗になりますので、敢えて打ち込みにするアーティストもいます。
そして、リアルに打ち込みをするためにもギターのメロディーや楽器の特徴を音源を聴いたり、楽譜を見て勉強するようにして下さい。
- ギターの特徴やギターらしいメロディーを勉強する
- 鍵盤で打ち込む際には鍵盤のメロディーにならないように気を付ける
- これから始める初心者にはTux Guitar(ソフト)がおすすめ
- 好きなアーティストのバンドスコアを打ち込んむのがおすすめ勉強法
これらのポイントを打ち込みの際の参考にしてみて下さい。