Protools HeatはPro Tools HDシステム用の新しいアドオン・ソフトウエアです。アナログの暖かみと、サウンド特性をPro Tools HDセッションに追加することができ、ビンテージのアナログ・コンソールやアウトボードのサウンドを再現することが可能です。
※レコーディング用のソフトではありませんので、注意して下さい。
Protoolsは素晴らしいDAWソフトですが、アナログ・サウンドを作り上げることが非常に難しい(不可能に近い)ソフトなので、否定的な意見も少なくありませんでした。アナログ・サウンドを好むアーティストは多少、妥協していたのも事実です。
このProtools Heatは、アナログ・サウンドを好むアーティスト向けに開発されたアドオン・ソフトウェアです。
Protools Heatをサウンドを聴きながら、使い方を初心者にも分かり易く解説していきます。
まずは基本的な機能についてから始めます。
Protools Heatの基本機能
Protools Heatの特長
- Protools HDミックスに 簡単に、アナログ・サウンドのウォームスと特徴を追加可能。
- HEATはProtools Mixの画面に表示されるので、プラグイン・アクセスを立ち上げる必要なし
- 複数のインターフェースを操作しなくても、HEATでミックスのすべてのチャネルを管理可能
- アナログ装置のビンテージ・サウンドをリアルに再現
システム要件(WindowsおよびMac)
- プラットフォーム: Windows XP(HomeまたはProfessional、32-bit)またはMac OS X 10.5/10.6
- フォーマット: ボックス版/ダウンロード版
ハードウェア/ソフトウェア要件: Pro Tools 8.1以降のソフトウェアを実行するPro Tools|HD DVD-ROMドライブ(ボックス版のみインストール時に必要になります) - iLok USBスマート・キー(承認にはインターネット接続とiLok.comアカウント(無償)も必要になります)
- HD Nativenには非対応
※購入とインストールの際は、こちらのシステム要件に注意して下さい。
続いてはProtools Heatのサウンドについて、実際に音を聴きながら解説していきます。
Protools Heatのサウンド
ここでは3つのデモのサウンドを聴きながら解説を進めたいと思います。まずは、グランド・ピアノのサウンドから聴いてみましょう。
どのような環境でレコーディングされたものかは不明ですが、ウォームなアナログ・サウンドに仕上がっています。従来のProtoolsでは中々、鳴らすことの出来なかったサウンドです。
続いてはジャズのビッグ・バンドのサウンドです。こちらも今まで鳴らすことが不可能だったローファイ・サウンドです。全体の空気感もソフト・ウェアでリアルに再現されています。
こちらはジャズ/フュージョンとクラシック・ギターのサウンドです。サウンドです。先程のジャズ・ビッグ・バンド同様にローファイでマイルドなサウンドが再現されています。クラシック・ギターもアナログ独特の空気感がリアルに再現されています。
続いてはProtools Heatの使い方について解説していきます。
Protools Heatの使い方
使い方は先程の映像でも流れていましたが、非常に簡単です。
インストールしたProtools Heatのプラグインを、ミキシング・ボードで追加して画面上のツマミを調整するだけで使用できます。
細かい設定は目的とするサウンドにより異なりますが、操作はこれだけになります。
このソフトは操作方法よりも、アナログ・サウンドを理解していなければ上手く使うことができません。
そのためには、デジタル・レコーディングが主流になる2000年以前、できれば50年~80年代の、あらゆるジャンルの音楽を聴いて勉強する必要があります。
続いてはアナログ・サウンドについて解説していきたいと思います。
アナログ・サウンドについて
Protools Heatはアナログ・サウンドを鳴らす目的のソフトですので、アナログ・サウンドはどういったものなのかを知る必要があります。
大まかに分けると、CD(LPも含め)のサウンドは50~60年代、70~80年代、90年代、2000年以降と分けることが出来ます。(50年代~80年代はCDとLPの両方があります)
では、各時代のサウンドを聴き比べながら解説していこうと思います。
50~60年代
現在のハイファイなサウンドとは全く違うサウンドです。この頃は、レコーディング機材もエフェクトも最小限のものしかなく、4トラック・レコーディングの時代です。これが最も古いアナログ・サウンドです。
70~80年代
70年代のサウンドです。70年代に入るとレコーディング機器やエフェクトの進化でサウンドが若干、ハイファイになります。立体感や奥行きのあるサウンドに変化しました。
こちらは80年代のサウンドです。音質が更にハイファイになり、音圧も進化しました。マルチトラック・レコーディングが主流になった時代です。
90年代
90年代になるとデジタル・レコーディングが主流になります。音質、音圧、奥行きと広がりが80年代までとは比べ物にならないほど向上しています。
2000年代
2000年になるとProtoolsでのレコーディングが主流になります。Prtoolsと高性能のアンプシュミレーターの普及により、PCでのレコーディングと、アンプを使用しないギタリストやベーシストも増えました。余りにも整ったサウンドに否定的な意見も多数ありましたが、このサウンドが主流になります。
こちらは最近の音源です。DAWソフトによるハイファイなサウンドはここまで進化しました。余りにも整ったサウンドなので、特にドラムに関しては打ち込みなのか実際に演奏したのか区別がつきにくくなっています。
DAWソフトのサウンド
DAWソフトの進化でサウンドは90年代とは比べ物にならないほど進化しました。レコーディング方法もDAWの進化によりグリッドに合わせ、パンチインとパンチアウトを駆使するようになったため、誰でも(歌や楽器の演奏技術が低い人でも)簡単にレコーディングが可能になりました。
しかし、そのサウンドにはアナログな温かみが無く、非常に機械的です。誰が演奏しても同じ音になります。このようなことからアナログ・サウンドの需要が高くなりました。
アナログ・サウンドは現在のDAWソフトで鳴らすことは不可能でしたが、Protools Heatがリリースされることで可能になりました。
このように各時代のサウンドを聴き、理解することでProtools Heatは初めて使いこなすことが出来ます。
ソフトの使い方よりも、各時代のサウンドを把握することが使いこなすコツです。現在はネットで各時代の音源を聴くことが可能な時代ですので、聴き比べて勉強することをおすすめします。
まとめ
Protools Heatはアナログ・サウンドを100%とまではいかないものの、かなり高いレベルで再現できるソフトです。このようなサウンドを求める方はインストールしておくべきプラグインだと思います。
操作方法は非常に簡単ですが、アナログ・サウンドを理解していてこそ上手く使いこなせるものなので、音源を沢山聴いて勉強し実際にソフトを操作して実践練習を積み重ねるようにして下さい。
- Protools Heatはミキシング・ボードに追加するプラグイン
- 操作方法は非常に簡単
- Protools Heatを使いこなすにはアナログ・サウンドを勉強する
これらのポイントを参考にしてみて下さい。