ギターで曲を演奏する時には、楽譜を使って演奏する他に、音源を聴いて音を拾う耳コピの2種類があります。
耳コピは、慣れるまでは大変ですが、慣れてしまえば楽譜を使うよりも楽です。 耳コピが出来るようになれば、楽譜を購入する必要がなくなりますし、楽譜が無い曲も演奏することが可能になります。
今回はコピのやり方とコツを、初心者の方にも分かり易く詳しく解説していきます。
まずは、耳コピの基礎知識から始めます。
耳コピのメリット
耳コピは訓練をすれば、誰にでも出来るようになります。絶対音感や相対音感は耳コピに必要ありません。音感が無くても訓練をすると音が分かるようになります。
現在は色々なアーティストのバンドスコアが沢山、発売されていますが実はバンドスコアは意外に適当な物が多いです。
ミストーンを書いているものもありますし、1番多いのは音程は合っていても、ポジションが全く違うものです。
ギターは1つのフレーズを、いくつかのポジションで演奏することが可能な楽器です。 それを理解していないか、ギタリストではない採譜者(大体が楽器の弾けない音大生がバイトでやっています)が音だけを拾って採譜すると、音程は合っていても有り得ないポジションで採譜してしまうわけです。
個人的な経験談になりますが、あるテクニカルなロックバンドのバンドスコアを見た際に、ただでさえ超人レベルのギターソロが、信じられないようなポジションで採譜されていたことがありました。音程は合っていますが、とても人間の手の造りでは演奏不可能なものでした。勿論、そのバンドのギタリストも、バンドスコアとは違うポジションで弾いています。
普段から耳コピをしていたので、すぐに採譜ミスと気付きましたが、耳コピの習慣がなければバンドスコアを見て弾くことを諦めていたと思います。
世に出回っているバンドスコアは、このようなものが非常に多いので覚えておくようにして下さい。
初心者のギタリストの皆さんも、今まで弾けなかった原因が技術的な問題ではなく、バンドスコアに問題があった可能性もありますので是非、耳コピを身に付け再確認してみることをおすすめします。
- 耳コピは誰にでもできる簡単なもの
- バンドスコアを購入する必要がなくなる
- バンドスコアが無い曲でも演奏できる
- 今まで弾けなかった曲が弾けるようになる可能性がある
耳コピが出来るようになると、このようなメリットがあります。 続いては耳コピのやり方とコツを解説していきます。
ギターコードの耳コピのやり方とコツ
既に解説しましたが、ギターは1つのフレーズをいくつかのポジションで演奏することが可能な楽器です。
これが耳コピをする時の基本ですし、簡単なことですが、これは今後のギター人生で必ず役に立つ知識ですので初心者の方は必ず覚えておいて下さい。
また、この基本を覚えておくと先程のバンドスコアの話のように弾きにくい、または絶対に弾けないポジションで音を拾ってしまった時に、他のポジションで試すことも出来ます。
では、実際に音源を聴きながら、このポジションについての解説をしてみようと思います。
Smoke on the Water:Deep Purple
この曲のイントロはギター初心者向けの教則本でも、お馴染みの曲ですね。たった2本の弦を押さえるコードで弾けます。 この曲は昔から、このポジションで弾くのが定番とされており、どのバンドスコアもこのポジションで採譜されています。
多くのギタリスト(ギター講師も)がSmoke on the Waterといえば、このポジションでピックを使用して演奏します。
しかし、これ実は間違いです。
原曲をよく聴いてみると3弦(プレーン弦)の音は、入っていないことが分かります。そして、コードの発音を聴くと2本の弦が全く同じタイミングで鳴っています。2本以上のコードをピックで弾けば、必ず弾いた弦側から音が鳴ります。
更に、ピックが弦に当たるアタック音も聴こえません。リズムもピックで弾いたのでは出せないノリです。 実際はこちらのポジションで指弾きで弾いていることが分かります。このようなことがギターではよくあります。
耳コピをして音が拾えたら、今度は他のポジションも試してみて、原曲に近い音質が出るポジションを探してみるようにして下さい。
耳コピのやり方は、根気よく音が分かるまで聴いて、ギターを鳴らすことの繰り返しです。音自体はコードであろうと、速いギターソロであろうと慣れれば聴き取れるようになります。
耳コピの際の注意点
基本的なことですが、チューニングにも気を付けるようにして下さい。
ギターには様々なチューニングが存在します。バンドスコアを見ないで耳コピをするので、当然チューニングが分かりません。
慣れてくれば鳴っている音の周波数でチューニングが判断できますが、初めのうちは異常に弾きにくいポジションだった場合や、低音が足りない場合はチューニングがノーマルではない可能性があります。
耳コピのコツ
ひたすら訓練を積み重ねる方法の他に、ギタリストの作曲のクセを掴む方法もあります。
どのギタリストも必ず作曲やギタープレイのクセというものがあります。それこそ個性なのですが、それが分かると全ての音を拾わなくても、大体のフレーズを予測することが可能です。
コードの使い方、ソロの音列など意外とワンパターンだったりしますので、その辺も意識して聴いてみるようにしてみて下さい。
続いては耳コピの練習方法
耳コピは、いくつもの音が重なっているコードよりも、単音のメロディーの方が聴き取り易いです。
コードの耳コピから始めてものの、全く聴き取れず飽きてやめてしまう初心者ギタリストは非常に多いです。やはり聴き取れて、音が合っていてこそ楽しめます。
コードの音を拾うのも大切ですが、まずは単音のメロディーを拾う練習をすることをおすすめします。
曲はギターソロや、ギターパートの単音のメロディーである必要はありません。好きな曲の歌メロでもクラシックでも、何でも良いと思います。
弾いてみたい曲のメイン・メロディーの音を拾いながら練習してみて下さい。
まとめ
耳コピは音感が鍛えられることの他に、作曲や編曲をする際にも非常に役に立ちます。身に付けてしまえば楽譜の無い曲も演奏できるので、ギターの演奏が楽しくなります。
更に、耳コピを続けていくとアーティストの作曲や演奏のクセが把握でき、ここから良い部分を自分のものにすることも出来ます。これをすることで、自分のオリジナリティーは出来上がっていきます。
またプロのギタリストとして活動していく場合は、耳コピが出来ることにより曲を覚える時間を節約することが非常に大切になります。1週間後まで15曲を覚えるなどということも、よくあり、このような場合は楽譜を見ていては時間が足りなくなります。
個人的には、耳コピの方がバンドスコアを見るよりも楽だと思います。耳コピならイヤフォンをして寝ながらでも覚えることが出来ますので、ギターを構えて楽譜と向き合うよりずっと楽です。そして、1曲を覚えるスピードも耳コピの方が早いです。
- 耳コピは訓練することで必ず身に付く
- ポジションとチューニングに注意する
- 耳コピの練習はコードではなく単音を拾うことから始める
- 好きな曲の歌メロやメイン・メロディーを楽しみながら拾う
- アーティストの作曲や演奏のクセを掴む
これらのポイントを意識しながら、耳コピの練習をしてみて下さい。