元々、ブラストビートは北欧のデスメタルやブラックメタルと呼ばれる過激な音楽で多用されていたビートです。ドラミングで爆風やマシンガンやブリザードを表現しているとも言われています。
マイナーな音楽ジャンルで生まれたドラミングですが、最近はデスメタルやブラックメタルが認知されてきたことや、日本のメジャーなロックバンドやアイドルが曲に導入したことから現在、ブラストビートが注目されています。
しかし、ブラストビートに関する教材や情報はあまりにも少なく、どのように叩くのか分からないドラマーも少なくありません。
今回はブラストビートの種類や、叩くための基礎知識やコツなどを詳しく解説していきます。
まずは、ブラストビートの基礎知識から始めたいと思います。
ブラストビートの種類と基礎知識
ブラストビートには様々な種類があります。一通りのブラストビートを演奏している動画がありますので、そちらを見ながら解説をしていこうと思います。
ブラストビートの種類
色々な種類がありますが、基本的には高速2ビートであり、表打ちか裏打ちか、3拍子か3連符かの違いでしかありません。
テンポが速いので難しそうに聴こえますが、演奏自体はシンプルです。(中には変拍子やタムを絡ませて複雑にするドラマーもいます)
ブラストビートの基礎知識
所謂、メタルと呼ばれる激しい音楽に使われるブラストビートですが、実はその叩き方のルーツはジャズやフュージョンといった音楽にあります。
またグラヴィティーブラストのスネアの叩き方は吹奏楽などでも演奏されるドラムロールを使用しています。
メタルとは真逆のジャンルに、ルーツと叩き方があるのがブラストビートです。
「メタルのドラミングは大きな音でパワフルに叩く」という考えのままブラストに挑戦すると失敗するのは、このルーツを理解していないからです。
ブラストビートは小さな音で、小さなモーションで軽く叩くのが基本です。
CDやライブで聴くと物凄い音量と音圧ですが、あれはマイクで拾った音をP.A.で増幅させて、スピーカーから出しているためです。ブラストビートの生音は非常に小さいです。
- ブラストビートのルーツはジャズやフュージョン
- 叩いている内容は意外とシンプル
- 小さなモーションで軽く叩く
これがブラストビートを叩くための基礎知識です。
続いてはブラストビートの練習方法について解説していきたいと思います。
練習方法
こちらの動画を見ながら練習方法を解説していこうと思います。
動画では2ビートをスローテンポで叩き始め、徐々にスピードを上げていきブラストビートに変化させています。
スローに叩く時と、スピードを上げた時の腕の振りを見てみましょう。スピードを上げるにつれて、腕の振りが小さくなっています。
これが先程、解説した小さなモーションで叩くというものです。スピードを上げた時には、腕どころか手首も殆ど動いていません。
2:30~からはバスドラムの映像もあります。映像では速くて分かりにくいですが、バスドラは爪先で踏んで鳴らした直後、滑らせるようにして足の裏でもう1度踏んで鳴らします。
つまり、1回のバスドラを踏む動きで2音を鳴らしています。これがブラストビートを叩く時の、バスドラの基本です。
叩き方のコツ
まずは、ゆっくり叩き始め徐々にテンポを上げていく練習をします。
最初のうちはテンポが上がるにつれて力んでしまいますが、それでは絶対にブラストビートは叩けませんので、力を抜くように意識して下さい。
スティックさばきはスネアの反動を利用します。腕や手首ではなく、指で叩く「フィンガーストローク」を使います。
そして、1回のストロークで振り下ろした時に1音、反動を利用して振り上げる瞬間に1音という練習を繰り返して下さい。慣れてくると1ストロークで3音~4音、鳴らせるようになります。
ハイハットやライドシンバルは、スネアに比べると反動がありませんが、シンバルも基本的には1ストロークで2音を鳴らす叩き方です。
グラヴィティーブラスト
続いてはグラヴィティーブラストです。
ノーマルのブラストビートとの違いはスネアの叩き方にあります。
簡単に説明するとグラヴィティーブラストのスネアの叩き方は、マーチなどで演奏されるドラムロールを使っています。
こちらの動画を見てみると、グラヴィティーブラストの動きが分かると思います。
リムと呼ばれるスネアの縁にスティックを固定するようなフォームで、スネアの反動を利用しながら、ノーマルのブラストビート同様に1ストロークで2音鳴らします。
そして、グラヴィティーブラストもスピードを上げるにつれ、モーションが小さくなっています。
クリックを使用した練習
ブラストビートの練習をすると、どうしてもスティックさばきやスピードを出すことに意識がいってしまい、リズムのことを忘れがちです。
いくらテクニックが身に付いてもリズムが不安定では意味がありませんので、必ずクリックを聴きリズムキープをしながら練習するようにしてください。
続いては、おすすめブラストビートを紹介してみようと思います。
おすすめブラストビート5選
Cold Hate Warm Blood/Cryptopsy
記事の1番最初の動画のドラマーの所属するバンドです。高難易度のブラストビートをプレイする世界最高峰のドラマーですので勉強になると思います。
The Violation/Fleshgod Apocalypse
このバンドのドラマーのブラストビートは非常に綺麗で繊細です。両手の動きも綺麗ですが、バスドラの安定感も素晴らしいので参考にしてみて下さい。
Rapture/Morbid Angel
3連のシャッフルでのブラストビートです。ドラマーはブラストビートの名手であり、機械より正確なドラミングをすると言われています。叩きにくいとされる3連ブラストを、ここまでリズムキープできるドラマーは少ないので参考にしてみて下さい。
Inno a Satana/Emperor
ブラストビートを力技で叩く数少ないドラマーです。シンバルワークやタムの使い方も素晴らしいセンスですので、非常に勉強になります。
激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇/DIR EN GREY
日本でブラストビートをいち早く導入したメジャーなロックバンドです。ブラストビートブラストビートの精度も高いですが、全体的なドラミングの安定感やタムを巧みに絡ませたドラムプレイは参考になると思います。是非、参考にしてみて下さい。
まとめ
ブラストビートというドラム奏法の中でも高難易度のものを解説してきましたが、力を抜き軽く叩くということが分かっただけでも、叩き易くなると思います。
また、力を抜くということは、ブラストビート以外のドラミングにも応用できますので是非、他のドラミングをする際にも試してみて下さい。
速いドラミングをするには軽いスティックを使うのも1つの方法です。実際に高速ドラミングをするドラマーの多くが、軽いスティックを使用しています。
それからブラストビートを使うバンドの殆どが、重低音を鳴らすダウンチューニングをします。バンド全体のサウンドが低いので、ドラムも低いチューニングをしてしまうと聴き取りずらくなります。
音をハッキリと聴かせるためにもドラムは高めのチューニングをするようにして下さい。低いチューニングで速いフレーズを叩くと、音がぼやけて不明瞭になってしまいます。
今回の記事を、ブラストビートを叩く際の参考にしてみて下さいね。