篠笛には大きく分けて、お囃子用の古典調と唄用の調律笛の2種類の笛があり、これらを演奏したいスタイルに合わせて選びます。
お囃子用は古典音楽むきの構造と音色、唄用は長唄、民謡、洋楽器と合わせるなど、あらゆるジャンルに対応しているドレミ調に調律された笛です。
更に篠笛は沢山の調子にも分かれていますので、これから篠笛を始める方は、どれを選んで良いか分からないこともよくあります。
今回は篠笛の種類ごとの調子や長さなどを分かりやすく紹介していきます。
まずは篠笛の種類ごとの長さや見分け方から始めます。
目次
篠笛の種類ごとの長さや見分け方
ここでは、お囃子用の古典調と唄用の特徴と長さについてを解説していきます。
お囃子用(古典調)
穴の大きさと間隔がほぼ一定で、音程に独特な味のある篠笛です。
天地巻・総巻・朱総巻・煤竹といった作り方の違いがあり、それぞれ違う音がします。
「天地巻」は一般的に柔らかい音。「総巻」は少し固めの音。「朱総巻」は総巻に色付けを施したもの。「煤竹」は煤竹で作られており、枯れた音がします。
唄用
唄や三味線、洋楽器に合わせやすいようにドレミに近い音程に調律した篠笛です。
篠笛は、長さでの分け方の他に、管の巻き方によっても区分されます。
唄用にも天地巻、総巻、朱総巻の種類がありますが、各巻の音はお囃子用と同じです。
長さ
唄や他の楽器と合奏するために、長くて低い音の「一本調子(F管)」から短くて高い音の「十二本調子(E管)」等、さまざまな音の高さの笛があります。
各地の民俗芸能や様々なジャンル、流派の笛を吹く場合は、それぞれに最適な笛を選んでください。
長さの短い順番に、十二本調子(E)、十一本調子(E♭)、十本調子(D)、九本調子(C♯)、八本調子(C)、七本調子(B)、六本調子(B♭)、五本調子(A)、四本調子(A♭)、三本調子(G)、二本調子(F♯)、一本調子(F)となっています。
このように長さは調に関係しています。
その他の種類
能管
能楽に使う横笛で、歌舞伎や長唄等にも登場します。ノドと呼ばれる短い筒が管内にはめ込んであり、ドレミとは全く異なる変幻自在な音律と硬い音色で、強烈な表現力を持っています。
龍笛
雅楽に用いられている横笛。柔らかい高音で、独特の表現力を持っています。長さは40cmくらいで外観は能管に似ています。
篠笛には、このような種類のものも存在しています。
穴の数の種類と違い
篠笛には指穴の数が6孔のものと7孔のものがありますが、一般的に唄用、ドレミ調として流通している篠笛は7孔が主流です。
篠笛譜では、シ♭の運指に7番目の指穴が必要な「0」ポジションを使っていることや大甲音(3オクターブ目)の運指を考えると、7孔の唄用を選ぶことが多いです。
しかし、ドレミ音階を演奏するという観点だけでいえば6孔あれば足りることから、世界の竹製フルート(インドのバンスリや南米のフラウタ等)は6孔が主流です。
続いては初心者が最初に選ぶべき調と、選び方についてです。
初心者が最初に選ぶべき調子の選び方
唄用篠笛は、もともとは長唄の伴奏において、唄い手のピッチに合わせて四本調子~七本調子程度の音域を中心に使われてきました。
しかし、現在のドレミ調篠笛では西洋音階の12平均律に則った半音区切りで、最も低音で長い一本調子(Fキー)から、最も高音で短い十二本調子(Eキー)まで揃っています。
そして、調子の数字が一つ小さくなるに従い半音ずつキーが低くなり、長さは長くなります。
初心者は、七本調子と呼ばれるものから始め、慣れてきたら六本調子も使ってみると良いです。(一般的な篠笛は七本調子です)
何故、初心者には七本調子が良いかは3つの理由があります。
「高い音(甲音)」と「呂音(呂音)」がバランス良く出ること。
会話する程度の息の量でしっかりと音が響くこと。
七本調子は、六本調子と比較して指孔の間隔が広くないので、初心者や子供、女性でも指が押さえやすいことが挙げられます。
篠笛は吹く息の量も非常に重要ですので、調子だけではなく吹き易いものを選ぶことをおすすめします。
- 初心者には七本調子がオススメ。
- 吹き易く音程バランスの良いものを選ぶ。
- 指孔の間隔が広くないものが演奏しやすい。
続いては初心者におすすめの調子を紹介していきます。
初心者が最初に選ぶべき調子
まず、お囃子の調子は各地域ごとに異なる決まりがありますので、選ぶ際には篠笛の先生や先輩に相談しアドバイスしてもらうようにして下さい。
ここでは唄用の調子について解説していきたいと思います。
唄用は、音階が「ドレミファソラシド」になっている篠笛です。「唄用」「ドレミ調」とも言います。
唄用で、最も多く使用されるのは六本調子、七本調子、八本調子で、これらは初心者でも音が出し易いです。(洋楽器とも合わせやすいのは八本調子です)
そして「ドレミファソラシド」になっている笛が、練習にも適していますので初心者には7穴のものがおすすめです。
また篠笛は唄用か古典調(お囃子用)の他にプラスチックか竹製など素材、指穴の数、巻きの種類、竹の種類、塗りを選ぶことができますが、初心者の方には天地巻をおすすめします。
~調子(~穴)で吹ける曲
つづいては各調子ごとに演奏できる曲をいくつか紹介したいと思います。
指穴は一般的な7穴ものを選びました。
コンドルは飛んでいく
まずは6本調子で吹ける練習に最適な曲です。短くて音数も少なく運指も楽なので初心者にも簡単に演奏することが出来ます。この曲は篠笛で演奏したほうが雰囲気が出て良いですね。
今井美樹:プライド
こちらも6本調子で演奏できる簡単な曲です。全音符にヴィブラートをかけ、休符ではしっかり休むのが演奏のポイントです。
もののけ姫
続いては7本調子で吹ける曲です。映画「もののけ姫」の主題歌ですが、篠笛で演奏すると感動的です。この曲は奏法を駆使した表現力が必要になりますが、非常に素晴らしい曲なので是非、練習してみて下さい。
高橋洋子:残酷な天使のテーゼ
7本調子で吹ける曲です。高音を出す部分が少しばかり難しいですが、それ以外は非常に簡単なメロディーですので、高音を出す練習曲にしてみると良いと思います。
葉加瀬太郎:情熱大陸
続いて8本調子で吹ける曲です。元々はバイオリンで演奏する曲ですが、篠笛で演奏しても感動的になります。この曲はハネたリズム感を出せるようにすると、上手く聴かせることが出来ます。
中島美嘉:雪の華
こちらも8本調子で吹ける曲です。ポップスの名曲の「雪の華」も篠笛で演奏すると和のテイストが加わり良い雰囲気になります。高音が多いので少し難しいですが素晴らしい曲なので是非、演奏してみて下さい。
まとめ
篠笛にはたくさんの調や種類があり、それぞれに個性があることが、お分かりいただけたかと思います。
初心者の方は一般的な7穴の6調子~8調子のものを選び、演奏に慣れてきたら他の調子を選ぶようにしてみると良いと思います。
お囃子用を選ぶ際には、篠笛教室の先生にアドバイスをもらい購入するようにして下さい。
楽器の構造上、弾きたい曲に合わせて調子を選ばなければいけませんが、1つの調子でも演奏できる楽曲は沢山あります。また篠笛は吹き易さも非常に大切なので、吹き易い種類の篠笛を選ぶようにして下さい。
個人的には調の関係からオールマイティーに使える6調子か7調子が良いと思います
この記事を篠笛の演奏や購入の参考にしてみて下さい。