ピッキングには様々な弾き方やフォームがあり、やり方はプレイヤーにより異なります。
初心者向けの教則本などでは「手首のスナップ」を使ったピッキングが正しいとフォーム」と紹介されています。
これは間違いではありませんが、この方法では弾けないフレーズも沢山あり、表現力にも限界があります。
今回は、意外と知られていないピッキングのやり方を紹介しながら、上達方法を解説していきます。
まずはピッキング上達のための基礎知識から始めます。
ギターピッキング上達のための基礎知識
ピックの持ち方ですが、親指と人差し指で持つのが、基本であり正しいフォームとされています。
しかしピックは、どのようなフォームで持っても構いません。
例えば、世界的に有名なギタリストであるヴァン・ヘイレンは、ピックを「親指と中指」で持ちます。これは人差し指でタッピングをするためです。
ピックは弾きやすさを優先し、更に角度調節ができる持ち方がおすすめです。
そして「どんな音が鳴らしたいか?どうすれば欲しい音が鳴るか?」を考えながら練習することも大切です。
フレーズを「どんな音でどう弾くか」を考えることが、上手く聴かせるための基本でもあります。
続いては、上達する方法について解説していきます。
上達する方法
ピッキングを上達させるためには、まず「ピッキングで、どんな音を出したいか?」を明確にする必要があります。
そして「その音を出すためには、どうピッキングをしたら良いか?」を考えることです。
では、ピッキングで色々な音を出す方法を解説していきます。
太くてヘヴィーな重低音
このような音を低音弦で鳴らそうとする際に、ありがちなのは「強く、力んだピッキング」をしてしまうことです。
これは全くの逆効果なんです。
例えば、ドアやテーブルを叩いて「太くてヘヴィーな重低音」を鳴らすとします。
力を入れて強く叩くと「バチ」という高音が効いた音になります。
逆にスナップを使って軽く叩くと「ドス」という低音が効いた音になります。
これは弦を弾く時も同じで、ギターで「太くてヘヴィーな重低音」を鳴らす時は「スナップを使い軽く」弾きます。
因みに「軽く弾く」のと「弱く弾く」のは似ているようで、違いますので注意してください。
強弱を付ける
この場合にスナップで強弱を付けると、音量にバラつきが出てしまいます。
強弱というと「強い音=強くピッキング」「弱い音=弱くピッキング」になりがちです。
強弱は「強い音、弱い音」ではなく「大きい音と小さい音」と考えるようにして下さい。
強弱は「ピッキングのスナップは一定のまま、弦に対してピックの当てる面積をコントロール」して付けます。
「強」の時はピックの当たる面積を大きくし、「弱」の時はピックの当たる面積を小さくします。
しっかりピッキングしながら、小さい音を出すと矛盾しているように思うはずですが、楽器の鳴りを最大限に活かすためにも、この方法をおすすめします。
滑らかな音
このような音も多くの場合、音を丸くするために弱く弾きがちですが、一定のスナップ力をキープしたまま小さな音を出すピッキングが必要になります。
強弱と同様に「勢いのあるピッキングで、しっかり音を鳴らしつつ、ピックの当たる面積を小さく」することがポイントです。
多彩な音を出す方法
弦をピックで弾くだけではなく、ピックを当てるのと同時に、爪や指も当てて多彩な音を出すことが可能です。
爪を当てる
クリーンやクランチサウンドのコード弾きの際にピックと一緒に人差し指の爪も当てると、パーカッシヴな音が鳴ります。
親指を当てる
ダウンピッキングの時に、ピックと一緒に親指も当てると、ピックでは出せない太い音が鳴ります。
※ピッキングハーモニクスが鳴らないように注意して下さい。
人差し指を当てる
アップピッキングでピックと一緒に人差し指の指先を弦に当てると、アップピッキングでもピッキングハーモニクスが出せます。
またアップピッキングで、ピックと一緒に人差し指と中指の腹を当てながら連続でアップピッキングをすると、ワウペダルをかけたような音が鳴ります。
このように工夫することで、エフェクターでは出せない多彩な音を、ピッキングで出すことが可能です。
常日頃から出したい音を明確にし、試行錯誤しながら演奏するようにしてみて下さい。
続いては上手く聴かせる弾き方を解説していきます。
上手く聴かせる弾き方
上手く聴かせるためには「どのように聴かせたいか?」を考えることが大切です。
多くのギタリストは「どうやって弾くか?」は考えますが「どのように聴かせるか?」を考えていない場合が殆どです。
たった1小節の簡単なフレーズでも「どんなピッキングで、どんな音で聴かせるか?」を細かく考えて、その通りの音が出せるようにして下さい。
また自分が、どのような音を出してるのかを把握することも大切です。
楽器の演奏は、意外と自分が思った通りの音を出せていないことが殆どです。
携帯のボイスメモなどでも構いませんので、演奏を録音し「理想の音を出すには、どうすれば良いか?」を研究しながらギターを弾くようにしましょう。
また上手く聴かせるためにはギターの調整、音作り、機材のセッティングも大切です。
これらのセッティングが上手くいっていないと、仮にピッキングとフィンガリングが上手くいっていたとしても、その効果を100%発揮できません。
ネックや弦高の調整、アンプやエフェクターのセッティングにも気を使うようにしてみて下さい。
個人的な意見ですが、イメージした音を忠実に再現するならば、デジタルアンプやアクティブピックアップは避けた方が良いかと思います。
弾いたままの音を素直に出力してくれるパッシブピックアップとアンプがおすすめです。
続いては、おすすめの練習法の解説をしていきます。
おすすめ練習方法
続いては上手く聴かせる弾き方の練習方法を、譜面を使いながら解説していきます。
こちらはペンタトニックスケールを使った、とても簡単なフレーズです。
この簡単なフレーズを、表情豊かに上手く聴かせるには、どう弾いたら良いのかを考えてみましょう。
先程のフレーズに、ミュートした弦の音「×」を追加し、ヴィブラートを入れてみました。
パーカッシヴなミュート音がアクセントになり、更に音に厚みを加えてくれます。
また各拍の頭にミュート音を入れることで、リズムにタメが効き、グルーヴ感を出すことができます。
このようにミュート音とヴィラートを追加するだけで、簡単なフレーズを表情豊かに、上手く聴かせることができます。
普段の練習から「どのように聴かせたいか?」を考えながら演奏するようにしてみて下さい。
難しいテクニックは反復練習で身に付きますが、上手く聴かせるテクニックは考えることで身に付きます。
まとめ
今回はピッキングに関する、少し深いお話をしてみました。
ピッキングを少し工夫するだけで、多彩な音を出すことができますので記事を参考にして是非、試してみてください。
それから、上手く聴かせる弾き方は、「どう聴かせるか?」を考えるところから始まります。
これを考えるだけでも演奏はかなり変わります。
そこから試行錯誤を繰り返し、練習を積み重ねることで、自分の理想とする音とフィーリングで弾けるようになります。
ギターの技術をステップアップさせるためにも、音やニュアンスを意識しながら練習するようにしてみて下さい。