スウィープピッキングを駆使した高速アルペジオは、ロックギタリストなら誰もが1度は憧れるテクニックです。
この奏法は、ピッキングテクニックの中でも非常にハイレベルなもので、右手と左手の連携や正確なリズム感も必要です。
今回はコードの構成音を解説しながら、スウィープピッキングのコツや練習方法を、ご紹介していきます。
まずはスウィープピッキングという奏法についての解説から始めます。
ギタースウィープ奏法とは
スウィープピッキングは、主にギターソロなどで、アルペジオを高速で弾くために生み出された奏法です。
例えば5本弦を使ったテンポが速く、音数の多いアルペジオを弾く際に、上昇する時は連続ダウンピッキング、下降する時は連続アップピッキングで弾きます。
このようなピッキングをすることで、通常のピッキングでは不可能な音数とスピードのアルペジオを弾くことができます。
スウィープピッキングを使用したアルペジオには2本弦〜6本弦まで、様々なバリエーションが存在します。
コード構成音
スィープ奏法は既に解説しました通り、アルペジオを弾くためのピッキング方法です。
非常に難しい奏法ですが、実際に弾いている音自体は、シンプルなアルペジオ(主に3和音)になります。
それではスウィープ奏法で使用される基本的なコードを解説していきます。
使用されるコード
スウィープ奏法で使用される基本的なコードには「メジャー」と「マイナー」があります。
ここではAとAmのコードで解説します。
Aの構成音
メジャーコードとマイナーコードは「ルート、3度、5度」の3和音(3つの音)で構成されています。
こちらの表は「A」の構成音ですが、ルートはコードネームの音になります。この場合はコードが「A」なのでルートは「ラ」になります。
3度とは「ラ」から数えて(ラを1とし)3番目の音、5度はラから数えて5番目の音になります。
メジャーコードは3度の音を#させるのが特徴です。
Amの構成音
こちらは「Am」の構成音です。
マイナーコードの特徴は、3度の音を#(半音上げない)させないところです。
メジャーとマイナーの違い
メジャーコードとマイナーコードは、こちらの表を見比べると分かりやすいと思います。
3度の音を#するか、しないかの違いと覚えるようにしてください。
スウィープ奏法のコツ
スウィープピッキングをする際に、よくありがちなのは、その速さゆえに弦をしっかり弾けていないこととリズムが乱れることです。
リズムをよく聴き、全ての弦を確実に弾くことが大切です。
ピッキングのコツ
弦を撫でるように弾いてしまう人が多いですが、そうすると音が不明瞭になってしまいます。
ピックを持つ親指と小指の屈伸を使い、ピックの角度を弦に対して常に平行になるように調整すると、しっかりと弦を弾くことができます。
運指のコツ
またハンマリングやプリングで、その部分だけ音が小さくならないようにするのもポイントです。
特に小指を使ってハンマリングとプリングをする時には、しっかり音を出すように意識してください。
レガートプレイのコツ
スウィープピッキングには2種類の弾き方があります。
1つは既に解説してきた通り、ピッキングで確実に音を鳴らす方法です。
もう1つはレガートなニュアンスを出すために、ほぼ左手のハンマリングで音を鳴らす方法です。
これは弦を叩くように押さえて、発音するテクニックです。
この場合はハンマリングで、そこそこの音量を出す練習も必要ですが、同時にギターのセッティングも調整する必要があります。
弦高を可能な限り低くして、ネックを真っ直ぐに調整するのがポイントです。
出力が大きいハムバッカーを搭載すると、更にやりやすくなります。
ノイズ対策
スウィープピッキングは指板上を指が駆け回り、ピッキングも忙しいので弦のノイズが出てしまいます。
弾かない弦をしっかりミュートして、不要なノイズを出さないように注意して下さい。
右手のブリッジミュートや、左手の掌などを使いミュートする練習もするようにしましょう。
練習方法
スウィープ奏法では2本弦、3本弦、5本弦、6本弦のアルペジオを弾くことが多く、4本弦を弾くことは、あまりありません。
では練習フレーズをいくつか用意しましたので、譜面を見ながら解説していきます。
2本弦スウィープ
こちらは「Am、F、E7、Am」コード進行の3連符アルペジオです。
これをスウィープピッキングを駆使して弾く場合は「各拍の出だしの2弦→1弦を連続でダウンピッキングし、最後にハンマリング」を入れます。
このパターンのスウィープピッキングは、意外と弾きやすいのですが、それ故にリズムが乱れてしまうことがよくあります。
3連符の真ん中の音を、しっかりと弾けず、その部分だけ音量が小さくなり3連符に聴こえないことも多いですので、全ての音を均一に鳴らすようにして下さい。
頭の音と最後の音を、しっかり鳴らすようにアクセントを付けると弾きやすくなります。
3本弦スウィープ
こちらは3本弦を使用した3連符のアルペジオです。
各小節の1拍目と3拍目の3連符は「アップピッキング→プリング→アップピッキング」の順に弾きます。
各小節の2拍目と4拍目の3連符は「全てダウンピッキング」します。
上昇は全てダウン、下降は全てアップの動きになります。
このフレーズも、各拍の頭の音にアクセントを付けて弾くのがコツです。
5本弦スウィープ
各小節の1、2拍目は全てダウン、3、4拍目は全てアップで弾きます。
左手の動きが忙しくなりますが、つられて右手のピッキングも速くならないようにして下さい。
上昇しプリングを連続して下降に移りますが、プリングでリズムが乱れないように注意することも大切です。
6本弦スウィープ
5本弦の場合と同様、左手の動きの速さに右手がつられてしまわないように注意してください。
またハンマリングの箇所はリズムが乱れないように、気を付けて下さい。
各小節の2音目と3音目は、左手を大きく開き小指でのハンマリングですので、音が小さくならないように、しっかり発音しましょう。
まとめ
スウィープピッキングはテンポが速く、音数が多いアルペジオを弾くテクニックです。
そこため、どうしても両手の動きに意識がいってしまいリズムや発音、ノイズを意識する余裕がなくなりがちです。
スウィープピッキングで大切なことはリズム、発音、ノイズ対策です。
この3つを普段の練習から意識するようにして下さい。
1つアドバイスをさせていただくと「本当に大切なことはスウィープピッキングを使いテクニックを披露するのではなく、どのようなフィーリングでメロディーを聴かせるか?」です。
最近は、難解で速いフレーズを、どれだけ弾けるかを競い合う風潮があります。
しかし、ギタリストならばどのようなフレーズでも弾けて当たり前です。
そのワンステップ上の「どんなフィーリングで聴かせるか?」を意識して練習をしてみてください。
- 発音、リズム、ノイズを注意する。
- 細かいニュアンスを意識する。
- フィーリングを大切にしながら弾く。
最後にスウィープピッキングの参考になるプレイヤーを2人ほど、ご紹介します。
イツァーク・パールマン
ナタン・ミルシテイン
こちらの2人はギタリストではなくバイオリニストですが、非常に参考になりますよ。