吹奏楽やジャズなど、金管楽器と木管楽器が一緒に演奏する機会は多いと思いますが、それぞれの楽器の音域はご存知でしょうか?
特にトランペットとサックスが同じフレーズを演奏したりすることもありますが、実際音域はどれくらいの違いがあるのでしょうか。
ここではトランペットとテナーサックス、アルトサックス、トロンボーンに焦点をあててそれぞれ比較してみましょう!
トランペットとテナーサックスの音域は1オクターブ近く違う
トランペットやテナーサックスを演奏されている人だと、「音域ぜんぜん違うじゃん!」と思われることだと思いますが、実際にどれくらいの音域に違いがあるかすぐに答えられる人は少ないと思います。
主にトランペットは高音域の旋律やハーモニーが多く、テナーサックスは中音域の裏メロや伴奏を受け持つことが多い楽器です。
どちらも同じB♭管ですが、楽譜に書いてある同じ高さの「ド」を吹いても、実際に鳴っている音は1オクターブ違います。
それぞれの楽器が出せる音域(ハイトーン、フラジオは除く)を下に表しました。
- トランペットは、ピアノの中央C音の短6度下のE音から2オクターヴ半上のB♭音まで
- テナーサックスは、中央C音の1オクターヴと長3度下のA♭音から2オクターヴ半上のE音まで
ご覧のとおり、スタートの音は1オクターブ違いますが、基本の運指で考えると高い音はトランペットとテナーサックスにはそんなに差がありませんね。
しかしながら、トランペットの低音(ペダルトーン)は使われることは少ないですし、音の高さ的にもあまり通る音域でもありませんので、出しやすい高音域をよく使われることから高音楽器だということになり、
テナーサックスも高音域になるとアルトサックスと音域がかぶるうえに、同じ音域だとアルトサックスのほうが構造上音も通りやすいため、あまり目立ちません。
では、トランペットとアルトサックスで比較したらどれくらい違うのでしょうか?
トランペットとアルトサックスの音域は大差がない
トランペットとアルトサックスでは、同じフレーズを一緒に演奏していたりすることも多いので、「音域はあんまり変わらないのでは?」と思われる人も多いと思います。
それでもテナーサックスとトランペットを比べた時にあまり音域に差がなかったことを考えると、どうなのでしょう?
トランペットはB♭管、アルトサックスはE♭管ですので、同じ「ド」という時点でスタートが変わってしまいますが、わかりやすく図解で見てみましょう。
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- トランペットは、ピアノの中央C音の短6度下のE音から2オクターヴ半上のB♭音まで
- アルトサックスは、中央C音の長7度下のD♭音から2オクターヴ半上のA音まで
こうして見てみると、トランペットとアルトサックスにはほとんど音域に差はありません。
テナーサックスのときと同じく、トランペットのハイトーン、アルトサックスのフラジオまで考慮するともう少し音域が変わってきますが、それでもほぼ違いはありませんね。
一緒に同じメロディーを演奏しても同じ音域で吹けるため、吹奏楽の編曲などではよくペアになっていることが多いと思います。
このことから、トランペットとアルトサックスの間ではメロディーの書き換えなども容易に行えることがわかると思います。
ここまで、トランペットとサックス類の音域を比較してみました。
では、同じ金管楽器であるトロンボーンとはどれくらい音域が違うのでしょうか?
トランペットとトロンボーンの音域は1オクターブ程度の差
同じ金管楽器として一緒に演奏する際、トランペットは高音域、トロンボーンは中音域を担当という、テナーサックスと同じような役割として認識されている方も多いのではないでしょうか。
どちらもハイトーンという高等技術が存在しますので、どこまで高い音が出せるか、という部分については人によって広がりがありますが、基本音域として比較してみました。
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- トランペットは、ピアノの中央C音の短6度下のE音から2オクターヴ半上のB♭音まで
- トロンボーンは、中央C音の1オクターヴと短6度下のE音から2オクターヴ半上のB♭音まで
※トロンボーンの譜読みは「ド」をC読みする方とB♭読みする方がいらっしゃるので、あえて「ド」という比較はしていません。
こうしてみると、意外とトランペットとの音域の差はありませんが、だいたい高い方も低い方も1オクターブ分くらいの差があります。
ファンファーレなど、同属楽器のハーモニーとして広がりを持たせるにはとても使い勝手のよい組み合わせではないでしょうか。
また、トロンボーンと一緒に中音域を担当しているテナーサックスとトロンボーンを比べてみても、トロンボーンのほうが少し低い音まで出せるというくらいで、あまり差はないようです。
まとめ
- トランペットとアルトサックスはほぼ同じ音域
- テナーサックスとトロンボーンはほぼ同じ音域
- 出せる音域はそれぞれ上下に5~6音の差
いかがでしたでしょうか。
高音楽器であるトランペットとテナーサックス、トロンボーンはもっと音域に差があると思っていた人が多かったんではないでしょうか?
ただ、どの楽器もその管の太さや長さによって音の高低が決まり、なかでも各楽器の中音域あたりが1番演奏しやすい仕組みになっていますので
トランペット・アルトサックスの出しやすい音域は、トロンボーン・テナーサックスでは演奏できるけど吹きにくいということになります。
それぞれの楽器の音域を知り、その特性を活かした演奏につながってくれることをお祈りします!