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津軽三味線

津軽三味線のチューニングのやり方!本調子・二上がり・三下がりの調整方法も


三味線奏者がステージに上がると、まず最初に行うのがチューニングです。

このチューニングを行うことから、既に演奏は始まっていると言われています。

三味線のチューニングには、いくつかの種類がありますが、今回は基本的なチューニングである「本調子」「二上り」「三下がり」と呼ばれている変則チューニングについて解説していきます。

まずは三味線のチューニングに必要な物から始めます。

三味線のチューニングに必要な物

  •  三味線専用チューナー
  •  調子笛
  •  音叉
  •  三味線用チューナーアプリ

昔から三味線のチューニングには調子笛(ピッチパイプ)や音叉が使われてきました。

しかし、調子笛や音叉を使用してのチューニングには音感が必要ですので、初心者の方は三味線専用チューナーを使用することをおすすめします。

調子笛はチューナーを使用したチューニングに慣れて、ある程度の音感が身に付いてから使用するようにして下さい。

また最近は三味線専用の無料チューナーアプリがリリースされていますので、そちらを使用してみても良いでしょう。

チューナーはインジケーターの針が振れるタイプよりも、LEDが点滅するタイプのデジタルチューナーをおすすめします。

中でもKORGから発売されている「WT-305」という三味線専用のチューナーがおすすめです。

ギター用チューナーでもピッチ設定を行えば代用することが可能です。

続いては津軽三味線のチューニングのやり方を解説していきます。

津軽三味線のチューニングのやり方

三味線には、基本的なチューニングである「本調子」の他に「二上り」「三下がり」と呼ばれるチューニング方法が存在します。

ここでは基本的なチューニングである、本調子について解説していきますが、まずは調子と呼ばれる音程の解説から始めます。

調子とは

三味線ではドレミの音程を「1本」「2本」と呼びます。この呼び名を「調子」と言います。

以下の表は調子の一覧です。

調子 音程
 1本
2本 ラ#
3本
4本
5本            ド#
6本
7本 レ#
8本
9本 ファ
10本
11本 ソ#
12本

このように三味線では、ラから1オクターブ上のラまで半音刻みで1本、2本と数えていきます。

チューニング方法

チューニングは1糸からド・ファ・ドの音程に糸巻きを回しながら合わせていきます。

三味線の糸は、糸巻きを回して弦を張ると音程は高く、緩めれば音程は低くなります。

三味線専用のチューナーを使用する場合

1糸から順に音を鳴らし、糸巻きを回しながら音程を合わせていきます。

チューニングの際は、チューナーのインジケーターが中央に位置するように調整して下さい。

チューニングをしていてインジケーターが中央より右側(#)に寄ってしまった場合は、糸巻きを緩め1度、中央よりも左側(♭)まで音程を戻してから再度合わせるようにして下さい。

インジケーターを右側(#)から中央へ調整すると正確な音程に合わせることが難しくなります。

調子笛や音叉を使用する場合

調子笛のド・ファ・ドの音を吹き、音程を合わせていきます。

まずは1糸のドの音を合わせ、その音を基準に2糸(ファ)、3糸(1オクターブ上のド)の順に合わせます。

調子笛を使用したチューニングは非常に難しいので、音感が身に付くまではチューナーを使用することをおすすめします。

音叉は本体を鳴らし440hzの(ラ)の音を聴きながらチューニングします。そこから更に1糸のドの音を合わせ、それを基準に2糸、3糸と合わせていきます。

しかし、三味線の基本的なチューニングにはラの音がありませんので、音叉で合わせた正確なラの音を基準にして、1糸のドの音を聴き分け正確な音程で合わせなければいけません。

これは調子笛を使用する以上に高度な技です。音叉で合わせるのは調子笛以上に難しいので、おすすめはしません。

ギター用チューナーを代用する場合

ギター用チューナーを代用する場合は、手動で三味線の音域である「C:4 – G:11 – C:4」にチューナーの設定をする必要があります。

この設定をせずにチューニングしてしまうと、音程は合っていても音域がズレてしまうので注意して下さい。

歌い手の声に合わせる場合

民謡の伴奏をする場合、三味線の調子は「歌い手の声の高さ」に合わせてチューニングします。

この時に歌い手の音域に合わせ三味線の調子を調整し、1番良い声で歌える高さになるように調子を合わせます。

三味線で民謡の伴奏をする場合は、このようなチューニングの合わせ方をすることもあります。

続いては各調子の調整方法について解説していきます。

各調子の調整方法

三味線には本調子の他に「二上り」や「三下がり」といったチューニング方法があります。

本調子 ド・ファ・ド
二上り ド・ソ・ド
三下がり ド・ファ・ラ#

表のように本調子に対して、2糸が高いチューニングが二上り、本調子に対して3糸のチューニングが低いのが三下りです。

三味線にはこのような変則チューニングがありますので、曲に合わせてチューニングを変えることが必要です。

二上りや三下がりのチューニング方法も、本調子のチューニング方法と同様です。

チューニングが合わない時の原因と対策

三味線は構造上どうしても音程が狂いやすい楽器です。

部分的に金属パーツを使っているギターやベースとは違い、三味線は全て木で作られています。更に弦は糸やナイロンなのですぐに伸びてしまい演奏中も音程が狂ってしまいます。

そして新しい糸は、張力強いせいで糸巻きが勝手に回ってしまい、チューニングが狂う原因にもなります。

また劣化して伸びた糸も音程が不安定になりますので、定期的に交換して下さい。

チューニングを安定させるコツ

三味線奏者が演奏の合間に、三味線の糸を引っ張る仕草を見たことがあると思います。

これは糸を適度に伸ばすことにより音程を安定させています。

チューニングを合わせた状態で、糸を引っ張ることで音程やテンションに対し、丁度良い張り具合いになります。

これは新しい糸を張り、チューニングを合わせた後にも必ず行うようにして下さい。

弦楽器は弦や糸を適度に引っ張ることで、楽器のチューニングとテンションに馴染み、音程が安定します。

まとめ

三味線のチューニングには様々なバリエーションがあり、更に他の弦楽器よりも音程が狂いやすいのでベストなコンディションを保つには、ある程度の知識と経験が必要になります。

チューニングは、最初から調子笛や耳で合わせようとはせず、まずは三味線専用チューナーで正確な音感を身に付けるようにしましょう。

地道に訓練を積み重ねることで音感が養われ、調子笛や耳でもチューニングができるようになります。

音感は「じょんがら節」などの節を演奏する際にも必要になります。また口伝で奏法を習う際も音感があった方が有利です

そしてチューニングはステージで演奏する際のパフォーマンスの1つでもありますので、普段の練習にチューニングを取り入れて、音感を鍛えるのも良いと思います。

それから既に解説しましたが、三味線は構造上どうしても音程が狂いやすい楽器です。

少しでも音程を安定させるために新しい糸に張り替えた時や、チューニングの後には、軽く糸を引っ張り馴染ませることを忘れずに行って下さい。

押さえる力が強すぎたり、弾く力が強すぎるのも音程が狂う原因なりますので、糸のテンションや糸の材質なども考慮した演奏法を身に付けることも大切です。

この記事を三味線を演奏する際の参考にしてみて下さい。