大正琴を購入したものの、中にはチューニング方法が分からない初心者の方もいらっしゃるかと思います。
一般的な大正琴には5弦仕様と6弦仕様のモデルがあります。
今回は5弦仕様の大正琴の各弦を、どの音に合わせ何ヘルツでチューニングすれば良いか?またチューニングの際のポイントや注意点などを解説していきます。
正確なチューニングは音感を身に付けるためにはもちろんのこと、更に複数で演奏するアンサンブルでは非常に重要になってきます。
そして、どんなに高価な大正琴でも正確にチューニングされていなければ、楽器の良さを発揮することができません。
では大正琴のチューニングに必要なものから解説を始めたいと思います。
チューニングに必要なもの
大正琴をチューニングする際には、専用のチューナーを用いるか、調子笛(ピッチパイプ)またはピアノなどの他の楽器の音に合わせて音程を合わせます。
調子笛やピアノを用いる場合には、正確な音程を判断する耳(音感)が必要になります。
耳で正確な音程を判断することは意外と難しい上に、ピアノを使用する場合にはピアノそのもののチューニングが正確ではない場合も多々あります。
このようなことからチューニングには、大正琴専用のチューナーを用いることをおすすめします。
大正琴専用のチューナーは高性能で低価格のものが各メーカーから多数、発売されていますので予算に合わせて購入すると良いでしょう。
またPC版の大正琴専用チューナーも無料でダウンロード可能ですので、こちらもおすすめです。
続いては大正琴の5弦はチューナーで何ヘルツに合わせるかを解説します。
大正琴の5弦はチューナーで何ヘルツに合わせる?
大正琴をチューニングする際の基本ピッチは440hzになります。
440hzはチューニングの世界基準にもなっています。因みにヘルツとは音の周波数のことです。
例えば「ドレミファソラシド」は半音階も含め1オクターブ内に12音が存在します。
この12音は均等な周波数比で分割した音律で作られており、これを平均律といいます。
そして各音は異なる周波数を持っており、440hzはラの音になります。このラの周波数を基準にしてチューニングします。
アンサンブルの時にメロディーパート(リードパート)だけ441hzや442hzに合わせてしまうと他の楽器と音程が合わなくなってしまいます。
リードパートのみ異なる周波数に合わせる場合も稀にありますが、基本は440hzでチューニングして下さい。
続いては大正琴の5弦のチューニングの仕方を解説していきます。
大正琴のチューニングの仕方!
5弦大正琴の各弦の音程
5弦仕様の大正琴のチューニングは周波数を440hzに合わせた上で、1番線〜4番線の開放弦をソの音に、5番線は基本的にはソ(曲によりドまたはレ)の音に合わせます。
- 1番線〜3番線は同じオクターブのソ
- 4番線は1番線〜3番線より1オクターブ低いソ
- 5番線は4番線より1オクターブ下のソ(曲によりドまたはレ)
6弦大正琴の各弦の音程
6弦仕様の大正琴の6番線は5番線より更に1オクターブ低いソに合わせます。
- 1番線〜3番線は同じオクターブのソ
- 4番線は1番線〜3番線より1オクターブ下のソ
- 5番線は4番線より1オクターブ下のソ
- 6番線は5番線よりも1オクターブ下のソ(曲によりドまたはレ)
このように大正琴は基本的に全ての音をソにチューニングします。
チューニングの手順とやり方
チューニングは音の低い5番線側から順に合わせていきます。全ての弦のチューニングを合わせたら再度、5番線からチェックをしてチューニングにずれがないか確認するようにして下さい。
チューニングにチューナーを用いる場合は、チューナーのインジケーターの針が中央に位置すれば良いので、初心者の方でも正確な音程に合わせることが可能です。
調子笛や他の楽器でチューニングを合わせる場合は、音の余韻を注意深く聴きながら合わせる必要があります。
この場合は、まず正確な音程を身に付けることが必要なので非常に難しく、耳を鍛える時間も必要になります。
耳でチューニングを合わせる練習をする場合は、キーボードを使って正確な音程を覚えることを個人的にはおすすめします。
調子笛やピアノといったアナログ楽器はチューニングが正確とは限らず、ずれていることもよくあります。(特にピアノはチューニングが正確ではないものが多いです)
それに対し、キーボードのようなデジタル楽器は音程がずれることは、あり得ませんのでキーボードを使い正しい音程を身に付けると良いでしょう。
練習を積み重ねることで、必ず正確な音程は身に付きますし、中には音を聴かず弦をピッキングした時の張り具合(弦の抵抗)で正確な音程が分かるような人もいます。
音感は楽器を演奏する上で非常に大切ですので、練習の一環として耳でチューニングしてみるのも良いと思います。
続いては弦の数が違う大正琴のチューニングについて解説していきます。
チューニングが合わない時の原因と対策
大正琴のチューニングが狂う場合のよくある原因は弦の劣化です。
大正琴の弦の寿命は3ヵ月〜6ヵ月ですので、仕様頻度に合わせて弦の交換が必要です。
弦の劣化でチューニングが安定しない場合は、新しい弦に交換することで解決します。
それでもチューニングが安定しない場合は、大正琴本体のペグ側の溝かブリッジの消耗が原因の可能性が高いです。
この場合は自分で交換するには専門的な技術が必要ですので、大正琴専門店のリペアマンにお願いするようにしましょう。
チューニングは室温の変化でも、弦が伸び縮みして狂います。
例えばエアコンやヒーターの温度調節をしただけでも、チューニングは微妙に(時には大幅に)ずれてしまいますので、演奏する環境の室温にも気を付けるようにしてみて下さい。
チューニングは演奏中、特にヴィブラートやトレモロ奏法を連続して行った後にも狂ってしまいます。
少しばかり高度な技になりますが、演奏中や演奏の合間にペグを回し、チューニングを合わせることができるようになると良いと思います。
これをするには音感が必要になりますので、調子笛などを使って耳でチューニングをする練習を普段から積み重ねるようにするようにしてみて下さい。
耳を使ったチューニングは練習を積み重ねれば必ずできるようになります。
まとめ
大正琴に限らず弦楽器を演奏する際の基本は正確なチューニングです。
意外とチューニングを意識せず演奏してしまう初心者の方も中にはいます。
しかし僅かにでもずれたチューニングで演奏を続けると正確な音感が身に付かず、特に複数で演奏するアンサンブルの際には演奏が成り立たなくなります。
確かに弦楽器のチューニングは頻繁に狂いますので、その都度チューニングを合わせるのは面倒でもありますが、常に正しいチューニングを心掛るようにして下さい。
440hzがチューニングの基本周波数ですが、楽器に慣れて音感も養われてきたら別の周波数で合わせてみるのも良いと思います。
例えばアンサンブルでメロディーパート(リードパート)を担当する際に敢えて441hzや442hzにチューニングすることで、リズムパートと僅かな周波数のずれを出し絶妙なハーモニーを奏でることができます。
またチューナーのインジケーターの針は中央で合わせるのが基本ですが、それを僅かに右寄り、または左寄りに合わせることでもアンサンブルの際に独特のハーモニーを奏でることができます。
これは大正琴の解放弦のチューニングはソの音に合わせますが、ごく僅かにファ#寄りのソ、またはソ#寄りのソにチューニングということになります。
このようなチューニングをデフォルトチューニングにしている方もいますので、一度試してみることをおすすめします。
この記事を、大正琴をチューニングする際の参考にしていただければと思います。