日本で大正時代に発明された大正琴ですが、元々は二弦琴をベースに制作された楽器なので、当時の大正琴の弦の本数は2本だけでした。
その後、3〜9本弦の大正琴が制作されるようになり、演奏することが非常に難しく、使用されることは殆どありませんでしたが、12弦や15弦の大正琴が制作されたこともあります。
その後に様々な試行錯誤を繰り返した結果、現在の5本弦または6本弦の大正琴が一般的になりました。
大正琴に限らず弦楽器は弦のゲージ(太さ)やスケール(長さ)により音質が変わります。
今回は弦の種類や特徴を解説しながら、おすすめの弦や選び方を、ご紹介していきます。
まずは大正琴の弦の種類から始めたいと思います。
大正琴の弦の種類
まずは大正琴の弦の基本的な配列から解説していきます。
大正琴に向かって奥の細い弦から1番線、2番線、3番線、4番線、5番線と張られています。
1番線、2番線、3番線はスチール製の鉄線、4番線は、1番線よりやや太い細巻線、5番線には、更に太い太巻線(ベース弦)となります。
4番線、5番線に使用されている細巻線・太巻線には、まろやかな伸びのある音色を奏でるために銀メッキ線が使用されています。
弦楽器は弦のゲージとスケールにより音質が変わります。
ゲージが太く、スケールが長い弦ほど音に張りと太さが出るようになります。
普通に演奏する場合はレギュラーと呼ばれるもので構いませんが、低音が欲しい場合は太めの弦を張ると良いでしょう。
また、大正琴の弦にはスケールと呼ばれる長さが異なるものがあります。
スケールは使用している大正琴のタイプに合ったスケールの弦を選ぶようにして下さい。
また弦の張り具合でも音質は変わります。張りが強ければ高音が、緩ければ低音が強調されます。
そして弦のゲージが太く、スケールの長い弦を張る場合に注意しなければならないことは演奏する際のピッキングの強さです。
太いゲージでスケールが長い弦は、弦のゲージが細く、スケールが短いものに比べて強めに弦をピッキングしないと、綺麗に鳴りませんので、演奏方法そのものを変える必要があります。これは太い弦を張ると、弦自体の張りが強くなる分、弦の抵抗が大きくなってしまうためです。
このように弦のゲージやスケールは音質だけではなく、演奏方法にも影響しますので、この辺りも考慮して弦を選ぶようにして下さい。
それから大正琴の弦は各メーカーから様々な種類のものが発売されていますので、どれを選んで良い悩んでしまうこともあると思います。
続いてはいい弦の選び方を解説していきます。
いい弦の選び方
いい弦についてですが、結論から言ってしまうと価格が高ければ高いほど劣化しにくく、音に張りも伸びもあり、チューニングも安定します。
つまり弦は価格により耐久性が違います。やはり低価格のものは音に張りが無くて劣化が早く、新品であってもチューニングが不安定なものが多いのが現実です。
現在の大正琴の弦の相場は1セット1500円位ですので、そのランクのものを購入すれば問題は無いかと思います。
続いてはおすすめの弦を、ご紹介していきます。
おすすめの弦
大正琴を演奏する方にも人気が高い、おすすめの弦は以下の4つのメーカーのものになります。
- ヤマハ製
- スズキ製
- ナルダン製
- ゼンオン製
この4つのメーカーの弦が音質も良く、耐久性があります。
中でもナルダンとゼンオンは大正琴専門のメーカーです。
ナルダンとゼンオンは発売しているモデルに合わせた弦を開発していることから、ナルダンの大正琴を使用している場合はナルダン製の弦を、ゼンオンの大正琴を使用している場合はゼンオン製の弦を使用する人が多いようです。
そして、使用している大正琴のスケールに合わせた弦の購入をするように注意して下さい。
長いスケールの大正琴に短いスケールの弦を張ろうとしても、弦の長さが足りなくなり張ることができない場合があります。
このようなこともありますので、弦を選ぶ際には、必ず使用している大正琴のスケールをチェックするようにして下さい。
続いては大正琴のチューニングが狂う原因について解説していきます。
チューニングが狂う原因
大正琴に限らず弦楽器のチューニングが狂う原因は以下のようなものがあります。
- 弦の劣化
- 気温や室温の変化
- 楽器本体の不具合
- 強過ぎるピッキング
この4つがチューニングが狂ってしまう主な原因です。
まず、弦は楽器に張った瞬間から劣化が始まり、更に弦をピッキングすることで負荷がかかり、これが原因で弦が伸びてしまいチューニングが狂います。
また保管環境が湿気の多い場所であれば弦は腐食してしまいますし、夏や冬は気温や室温で弦が伸び縮みしてチューニングが狂います。
これらが原因でチューニングが狂ってしまう場合は、その都度チューニングするか、弦が劣化しているのであれば、弦を新しいものに交換することで対処できます。
常に良い音質と安定したチューニングで演奏する為にも、大正琴の弦は3ヵ月〜6ヵ月に1度交換するようにして下さい。
それから強過ぎるピッキングもチューニングが狂う原因です。
チューニングをする際は弦をピッキングしてチューナーで音を合わせますが、ピッキングが強過ぎると弦楽器はピッチが安定しません。
これは強くピッキングすることで、弦が激しく揺れてしまい、伸び縮みしてしまうためです。
この強過ぎるピッキングもチューニングが狂う原因ですので、新品の弦を何セット使ってもチューニングが安定しないという方は、ピッキングが強過ぎないかを確認してみて下さい。
大正琴のパーツの消耗もチューニングが狂う原因になります。パーツが消耗していると、どんなに良い弦を張ってもチューニングは安定しませんし、演奏性も悪くなります。
メンテナンスは使用頻度により異なりますが、できることなら年に1回は専門店のリペアマンにメンテナンスをお願いすると良いでしょう。
まとめ
弦楽器は使用する弦のゲージやスケールにより音質が変わる楽器です。
大正琴の弦には正確なゲージの表記がありませんが、各メーカーごとに微妙にゲージが違うそうですので、色々と試してみるのも良いと思います。
例えば弦のゲージが0.04mm〜0.06mm違うだけで音は激変します。
ゲージが太くなればなるほど、確実に弦をヒットさせるピッキングをしなければなりませんが、マイルドで抜けが良く、更に張りのある音になります。 このようなことから太い弦を好む方が多いです。
また弦を選ぶ際には、使用している大正琴と同じメーカーものを購入することを個人的にはおすすめします。
大正琴のスケールはどのメーカーも大体は同じではありますが、各メーカーにより微妙に異なる場合も少なからずあります。
この微妙なスケールの違いが、多少なりとも音や演奏に影響してします。
ストレス無く、いつも同じ音を鳴らす為にも、使用している大正琴のメーカーから発売されているものを購入すると良いと思います。
そして弦は消耗品ですので、定期的な交換をするように心掛けて下さい。
常に良い音を鳴らす為には定期的な消耗品(ピックなども)の交換やメンテナンスが非常に大切です。
どんなに高級な楽器でも消耗品の交換やメンテナンスをしなければ、演奏性が悪くなり良い音も鳴らなくなります。
演奏性が良く、良い音が鳴るように管理することも練習と同様に大切なことですので適切な管理をするようにして下さい。
今回の記事を是非、参考にし大正琴を楽しんでいただければと思います。