大正琴のピックには形状や材質、厚みの異なるものがあります。
大正琴に限らず、ピックを使用して演奏する弦楽器の弾き心地と音質の90%はピックに左右されます。
ピックの形状は演奏性に影響しますし、ピックの厚さで音は激変しますので自分にとって演奏がしやすいフォームを見付け、好みの音が鳴るピックを選ぶことが非常に大切です。
今回は大正琴だけではなく、ピックを使用する弦楽器を演奏する方にも必見のピックの持ち方や選び方を、詳しく解説していきたいと思います。
まずは大正琴のピックの持ち方から始めたいと思います。
大正琴のピックの持ち方
大正琴のピックは親指と人差し指と中指の3本で握り、残りの薬指と小指は軽く握るように丸めるのが基本的なフォームになります。
この時にピックを握る3本の指に力を入れ過ぎないように注意して下さい。
ピックを持つ指に力が入ってしまうと肩、腕、手首が固まりスムーズなスナップができなくなります。
その結果、速いフレーズが弾きにくくなったり、手首を小刻みに振るトレモロ奏法がしにくくなります。また音にも影響してしまい、綺麗に響かせることもできなくなります。
ピックの持ち方はピックがずれない程度の力加減がポイントです。
おすすめのピックを持ち方
ピックを持つコツは写真のように親指と人差し指にピックを挟み、中指を人差し指の上に乗せるように持ちます。
角度を変えて上から見ると、このようになります。
人差し指に中指を乗せるようにすることで力を入れず、しっかりとグリップできますのでピックがずれることもありません。
このように持つことで手首、腕、肩の力が抜けるので演奏していても疲れませんし、音数が多いフレーズを演奏やトレモロ奏法を行う際に強弱やリズムも安定します。
更に無駄な力が抜けるということは、楽器本体が鳴るということですので音も綺麗に響きます。
おすすめしない持ち方
こちらの写真はおすすめしない持ち方です。
上から見ると、このようになります。
意外とこのような持ち方をする人が多いかと思いますが、このようなフォームでピックを握ってしまうと、どうしても指先に力が必要になります。
指先に力を入れてしまうと、自然と肩や腕にも力が入り手首が固くなり演奏に影響してしまいます。
この2つの持ち方を比べるてみると明らかに中指を人差し指に乗せる持ち方のほうが、力が要らず手首が振りやすいことが、お分かりいただけるかと思います。
ピックは持ちやすい方法で持って構いませんが個人的には今、ご紹介した持ち方をおすすめします。
続いてはピックがずれる原因について解説します。
ずれる原因
ピックがずれる原因は意外と簡単で、グリップ力が足りないからです。
先程も解説した親指と人差し指でピックを挟み、人差し指に中指を添える持ち方をすることで、ずれは無くなります。
またグリップする力が強過ぎるのも、ピックがずれる原因の1つです。
これは演奏中に力を入れ過ぎて手や腕が疲れてしまい、グリップ力が無くなってしまう為です。
ピックには正しい持ち方は存在しないので、持ちやすい方法で構いませんが、演奏していて手や腕が疲れてしまい、ピックがずれる場合はピックの持ち方を見直してみると良いです。
続いてはピックずれる場合の対策を解説していきます。
対策
ピックがずれる場合の対策でおすすめの方法は、ピックの表面にカッターで何本かの切れ目を入れることです。
写真のようにピックの両方の面にカッターで切れ目を入れると、これが滑り止めの効果になりピックのずれを防止することができます。
ピックのずれてしまうと、ピックが弦に当たる面積や角度が変わってしまいます。それにより演奏がしにくくなる上に、音の粒にムラができてしまいます。
先程、解説したピックの持ち方をすることでピックのずれは防止できますが、どうしてもずれる場合は、このように滑り止めをしてみるのも良いと思います。
それから演奏中に手に汗をかいてしまい、汗でピックがずれこともよくあります。
この場合の対策で個人的におすすめの方法は、制汗剤を手に塗ることです。
これは本当におすすめの方法ですので是非、試してみて下さい。
滑り止め加工がされたピックも発売されていますので、そちらを試してみるのも良いと思います。
しかし滑り止め加工はピックに滑り止め用の塗料が塗ってありますので、弾き心地や音に少なからず影響してしまいます。
滑り止め加工されたピックを使用する場合には、弾き心地や音質面で多少の妥協をしなければいけません。
他には手を氷で手を冷やし、エアコンや扇風機の風で乾燥させる方法も、ステージで演奏する前にはよく用いられる方法です。
個人的にはカッターで切れ目を入れ、制汗剤を使うのが1番おすすめの対策方法です。
続いては初心者が上達しやすいピックの選び方を解説します。
初心者が上達しやすいピックの選び方
既に解説しました通り、ピックは演奏性や音質に大きく影響しますので、弾きやすく手に合ったピックを選ぶことは、とても大切なことです。
形状に関しては何種類も試し、その時に弾きやすいと思ったものを選ぶようにして下さい。
弾きやすいと思うピックは、その時々で変わります。最初は小さなピックが弾きやすく感じていたのに、演奏に慣れていくにつれ大きいものの方が弾きやすく感じることも(勿論、その逆もあります)よくあります。
使っているピックに違和感を覚えたら、別の形状のものを試してみると良いと思います。
因みに小さなピックは小回りが利きますが、面積が少ないので、大きなピックに比べて若干スピードをつけて振る必要があります。
逆に大きなピックは小さなピックよりも面積があるので、弦に当たるまでのタイミングが僅かに速いです。
これら2つを前提にしつつ、その時に弾きやすいと思った形状のピックを使うようにして下さい。
そしてピック選びで非常に大切なことは、ピックの厚さです。
薄いピック
0.7mm〜0.9mmの薄いピックは明るく大きな音が出ます。
薄ければ薄い程に音は明るく大きくなり、手首のスナップやピックの角度で強弱や音質のコントロールもしやすくなります。
しかし、弦に当たってから弾き切るまでに、その柔らかさが影響でピックが若干しなる為、リズムに対してジャストタイミングで弾いても発音までに僅かなタイムラグが発生します。
薄いピックを使用する場合は、このタイムラグを見越した演奏をすることが必要です。
厚いピック
1mm〜1.5mmの厚いピックはマイルドかつ太い音が特徴です。
ピックがしなることもない為、リズムに合わせて弾くのも容易で、滑らかなフィーリングの演奏をしたい方におすすめです。
しかし、音質のコントロールが薄いピックに比べると難しく、弦や楽器を鳴らし切るのは非常に難しいです。
ピックは使いやすいものを選ぶのが一番ですが、最初のうちは薄いピックで演奏し、慣れてきたら厚いピックを試してみると良いと思います。
まとめ
大正琴のピックについて解説してきましたが、ピック1枚で演奏性や音質が変わりますので、様々なピックを試して自分に合ったものを選ぶことが大切です。
音や演奏性に違和感を覚えた場合はピックを替えることで解決することも、よくあります。
また使いにくいピックやフォームで演奏を続けても中々、上達しません。
楽器は何度も練習して慣れることも必要ですが、使うピックやピックの握り方、演奏時のフォーム等を常に試行錯誤し、自分の弾きやすいスタイルを見付けるようにしてみて下さい。