マンドリンはギターによく似たイタリアの弦楽器です。8弦のモデルがスタンダードですが、南米のペルーには10弦、ボリビアには12弦のモデルも存在します。
マンドリンは2本1セットで弦が張られている為、1本でもチューニングが狂うとサウンドがガラっと変わってしまいます。曲の途中でチューニングが大幅にズレてしまうことも、よくあります。
今回はマンドリン初心者でも分かりやすいチューニングの方法を解説していきます。
まずは、マンドリンのチューニングに必要な物から始めたいと思います。
マンドリンのチューニングに必要な物
マンドリンのチューニングにはギターやベースと同じチューナーを使用して、低音弦からG.D.A.Eにチューニングします。
チューナーはLEDが点滅する現在、主流の物かスマホのアプリのチューナーがおすすめです。音叉や一昔前の針が振れるタイプのものはピッチが正確ではないので注意して下さい。
続いてマンドリンのチューニング方法とコツを解説していきます。
マンドリンのチューニング方法とコツ
マンドリンのチューニング方法とコツをいくつか紹介したいと思います。
チューナーを使用する場合
太い弦から順にG.D.A.Eの音に合わせます。チューナーにはメーター式のモデルやLEDが点滅するタイプのものがありますが、それぞれのモデルのマニュアルに従って下さい。
ピアノなど他の楽器で合わせる場合
チューナー同様に太い弦から順にG.D.A.Eの音に合わせます。チューニングの手順は開放弦で合わせてからハーモニクスで微調整すると良いです。
ハーモニクスでチューニングする場合
12フレットの弦に軽く指先で触れ、ピッキングすると同時に指を離すことでチャイムのような音が鳴ります。
まずG弦だけハーモニクスを鳴らし他の楽器のGの音と合わせます。この時に2つの音の残響に揺れが無くなるように調整します。
次に2本のG弦のハーモニクスを同時に鳴らし、同じように揺れが無くなるようにチューニングします。
今度はG弦の7フレットとD弦の12フレットのハーモニクスが同じ音ですので、同様に揺れを無くします。
因みにG弦の7フレットとD弦の5フレットは1オクターブ違いのハーモニクスが鳴ります。これでチューニングするとほぼ完璧になりますが、5フレットのハーモニクスが少し鳴らしづらいのと音が小さいので少し慣れが必要です。
D弦の2本をハーモニクスで合わせたら、後は全く同じ要領でA弦、E弦を合わせます。
最後にすべてのハーモニクスを同時に鳴らし、大きな揺れがないようでしたらOKです。
個人的には正確かつスピーディーにチューニングできるチューナーを使用することをおすすめします。
そしてチューニングのコツですが張った弦を軽く引っ張り、しっかり伸ばしてあげることです。
しかし、正確にチューニングしても音程がずれてしまうのが弦楽器です。これに頭を悩ませる方も多いかと思います。
続いては音程がずれる原因と対策を解説していきます。
音程がずれる原因と対策
弦楽器は必ず音程がずれる楽器です。しかし、なかなか安定しない音程では演奏を楽しめなくなってしまいます。この音程が狂う原因と対策をいくつか解説していきます。
複弦が狂う
曲を弾いている間にマンドリン系楽器の復弦が狂ってしまうという現象がありますが、これは半ば当たり前なのですが、この現象の解決策は狂った弦を再び正しく合わせれば良いです。
しかし、これとは違って音を合わせたのにすぐに低くなったり高くなってしまい、何回合わせても狂うことはないでしょうか?そういった場合の対処をいくつか書いていきます。
弦を張り替えてみる
弦が古いことによってチューニングが狂いやすい場合があります。弦を交換する時期は人それぞれですが、スチール弦は2週間に1度交換することをおすすめします。劣化した弦はピッチが不安定になるだけでなく、響きが失われてしまいます。
弦の張り方を確認する
弦の張り方は音程だけではなく、弾き心地やネックのコンディションにも影響します。ペグに弦を巻き過ぎれば張りが強くなり指が痛くなってしまうこともありますし、ネックが反る原因にもなってしまいます。勿論、ネックが反れば音程も不安定になってしまいます。音程が不安定な場合は正しく弦が張れているか再度確認してみましょう。
ナットとブリッジの溝を確認する
これを接点の確認といいますが、ここの滑りが悪いと音が狂うだけではなく、こもった音にもなります。
滑りを良くする為の裏技ですが、鉛筆の芯を粉末にしてナットとブリッジに塗ると非常に効果的です。是非、試してみて下さい。
ピッチが狂う
開放弦で完璧にチューニングをしたのに,フレットを押さえると音が低かったり高かったりすることがありす。これはブリッジの位置がおかしくて起こる現象です。
マンドリンの場合、ブリッジは楽器の表面板に置いてあるだけですので動かすことができるのです。(くれぐれも接着剤などで貼ってしまわないようにして下さい) 従って特に動かした覚えが無くてもブリッジは動いてしまうことがあります。この場合はブリッジを正しい位置に動かして音程を合わせます。
正しいブリッジの合わせ方
- 各弦の12フレット上のハーモニクスと実音を正確に出す
- ハーモニクスより実音のほうが音程が高い場合は、ブリッジを後ろに下げる
- ハーモニクスより実音のほうが音程が低い場合は、ブリッジを前に上げる
この手順で調整し、ハーモニクスと実音の合う場所が正確なブリッジの位置と言うことになります。
そして、楽器の表を上にして両足でしっかり挟むように固定し、ブリッジの両端を前後に動かすと解決するはずですので試してみて下さい。
これら2つ方法を試してみても音程が合わないという場合は、ネックの反りやフレットの消耗など楽器そのものに問題がある場合があります。これらを解決するには修理が必要になります。
ネックが反っていたりすると、いくらナットやブリッジを調整しても解決されません。ネックが反っている場合には、微妙な反りはわかりにくいのですが、ハイポジションに行くに従って、弦高がどんどん高くなり押さえにくくなります。これはネックが弓状になっているからです。
また場合によってはフレットの打ち込み位置がずれていることもあるのです。 この手の問題はリペアマンに見てもらうことをおすすめします。
もし可能であれば、1年に1回はメンテナンスに出してオーバーホールしてもらうと良いと思います。
まとめ
マンドリンは木で作られていますので、楽器がよく乾いていると振動しやすくなり、音が響きやすくなります。
逆に湿気をふくんだ楽器は響かなくなってしまいます。湿気を含んだままの楽器が極度に乾燥すると、木が縮もうとし割れや反りの原因となります。
楽器は生きていますので、普段の小さな心掛けで状態が良くも悪くもなるものです。
- 楽器を弾いた後は必ずクロスで本体の汗を拭き取る
- 弦を替える時に、指板の汚れを拭き取る(フレットのサビ、ネック反りを予防)
- 楽器をケースにしまう時ネックにクロスを巻いて固定する
- 長期間弾かない時は弦を緩めておく
楽器を良いコンディションに保つ為に、この4つを心掛けてみて下さい。
メンテナンスをして楽器を良い状態に保てば、その結果として当然良い音の出る楽器になっていきます。
この記事を楽器を良いコンディションに保つ為の参考にしてみて下さいね。