弦交換と弦高はサウンドや演奏に大きく影響します。これらが正しくできていない場合、本来のウクレレのサウンドが鳴らない上に、いくらチューニングしても音程がズレてしまいます。
今回はウクレレの弦の特徴を紹介しながら弦の交換方法と、弦高の調整方法を詳しく解説していこうと思います。
まずはウクレレの弦交換に必要なものから始めましょう。
ウクレレ弦交換に必要な物
まずはウクレレの弦交換に必要なものから解説していきます。
- 新品の弦の
- ハサミまたはニッパー
- クロス
以上の3点を用意しますが、ニッパーとハサミは無くても問題ありません。
弦の素材は3種類あり、素材によりサウンドが変わります。各弦の特徴は以下の通りです。
ナイロン弦
一般的によく使われている素材です。押さえやすいのが特徴で柔らかいサウンドです。ナイロン弦には、さらにクリアタイプとブラックタイプがあり、一般的にクリアタイプは素直な柔らかめなサウンド、ブラックはクリアタイプの弦より低音が出やすくメリハリのあるサウンドです。ブラックの弦を張ると、見た目の印象も変わります。
フロロカーボン弦
フロロカーボン弦とは、釣り糸と同じ素材でできた弦でプロもよく使っています。ナイロン弦より硬く伸びにくいのが特徴です。細めなので押さえやすく音量もよく出ます。艶やかな高音を出したい方におすすめの弦です。フロロカーボン弦も、クリアタイプと黒色や褐色の色がついたタイプがあり、クリアタイプはクリーンなヌケのあるサウンド、色がついたタイプは少し太めのサウンドが出ます。
ナイルガット弦
人工的にガット弦に近いサウンドが出るように作られた弦です。ガット弦とは、羊など動物の腸から作られた弦です。ガット弦は耐性があまりなく温度変化に弱いことが難点です。その点ナイルガット弦は強度があり、温度変化にも強いという利点があります。ガット弦はサウンドの不安定さもなく、音質も良いと評判の弦です。
この3つから、好みのサウンドが鳴るものを選択して下さい。
それから、弦によって太さ(ゲージ)が異なります。細い弦は押さえやすく、高音が響き弾きやすいのが特徴です。太い弦は少し押さえにくい場合がありますが、音量も大きくなり迫力も増します。
次は弦交換の弦の張り方と順番を解説していきます。
弦交換の弦の張り方と順番
弦交換の時期ですが、目安としては弦が毛羽立ってきたら交換しましょう。ウクレレは弦が劣化するとサウンドが激変してしまいますし、チューニングが合わない原因にもなります。
では弦交換の手順です。
弦を外す
弦が緩む方向へペグを回し、ペグから全ての弦を外します。そうすると、自然とブリッジに引っ掛かっている部分も外れると思います。この時にウクレレによっては、サドル、ナットが外れる場合もあります。
クロスで指板を拭く
この作業は、やらなくても良い作業ですが、弦を外した時にしかできませんので、指板の汚れを取り綺麗にしておくことをおすすめします。
弦を張る
弦のパッケージに1弦、2弦、3弦、4弦と表示がしてあると思いますので、間違わないように気を付けて弦を張っていきます。
まずはブリッジ側から張ります。弦の片方の先に結び目(まる止め)を作ります。特に細い1弦は2つ結び目を作ると良いです。その結び目をブリッジの溝に引っ掛けます。
次に結び目と反対側を、ペグの芯に巻き付けます。この時、ペグの芯に穴が開いていますので、その穴に通してから巻き付けます。 1、2弦は時計回り3、4弦は反時計回りになるように巻き付けます。
ペグに弦を何周巻き付けるかで弦のテンション(張りの強さ)が変わります。巻き付ける回数が多ければテンションは強く、逆に少なければテンションは弱くなります。弦のテンションは演奏やチューニングにも影響しますので、巻き付け過ぎには気を付けましょう。
交換したばかりの新しい弦は安定していないので、どんどんチューニングが狂います。一度音程が合っても、すぐに合わなくなるので、一度に音程を合わせようとせず、何度もチューニングをして合わせていきます。弦を急激に伸ばすより、少しずつゆっくりと伸ばしていった方が、楽器にも負担が掛かりません。
次は弦交換をして音が合わない原因と対策について解説していきます。
弦交換をして音が合わない原因と対策
ウクレレは正しくチューニングしてもすぐに音程が合わなくなってしまうという問題が発生することがあります。しかし、それは決して故障してしまっている訳ではありません。持っているウクレレのモデルや仕様によって考えられる原因と対処法があります。1つ1つ解説しますので自分のウクレレと照らし合わせてみましょう。
ペグの種類を確認
ウクレレにはギアペグとストレートペグの2種類があります。ストレートペグはギアペグのようにギアで固定されていない分、弦の張力で巻き戻され易いです。チューニングを合わせても音程が合わない原因は、ストレートペグ仕様の場合が多いです。
ペグのネジを調整
ストレートペグの場合の対処法ですが、ドライバーを使ってネジを回してみて緩んでいるようであれば、スムーズに回って尚且つ巻き戻らない丁度いい具合にネジを締めましょう。ネジを締める時にはペグを手で押さえながら回さないと故障の原因となりますので要注意です。また、ウクレレのペグはネジをしっかり締めていても少しずつ弦の張力で巻き戻ってしまうものですので定期的にチェックして下さい。また、ネジを締めすぎてチューニングできなくなってしまわないようにも注意しましょう。
弦の劣化
ナイロン弦はチューニングをした状態の弦の張りに馴染むまでに比較的時間がかかります。購入・弦交換してから1、2週間の間は、チューニングをしても弦の張力ですぐに巻き戻ってしまう状態が続くかもしれません。何度もチューニングすることで、チューニング音の音感もつかめるかと思いますので、それも練習の一環と捉えて時間の経過とともに解消されるのを待ちましょう。
続いては弾きやすい弦高調整やり方を解説していきます。
弾きやすい弦高調整やり方
まず弦高(弦の高さ)についてですが、弦高とはウクレレの指板のフレットから弦の位置までの長さ(距離)のことです。
弦高はナットとサドルの高さのバランスで決まります。弦高は弾きやすさに直結しており弦高が低い方が弾きやすいと言われていますが、これは弦が低いと弦と指板の距離が短いので、左手で弦を押さえる時に力をあまり必要としない為です。逆に距離が長いと押さえる力が必要です。通常、弦の高さを測るときは12フレットを基準にします。12フレットの弦と指板の間に1円玉2枚 もしくは10円玉2枚を挟めるくらい、2.5ミリ〜2.8ミリ位が基準です。
日本製のウクレレは弾きやすい高さに調整してあることが多いですが、海外製のウクレレだと、未調整のものもあります。
弦高調整の方法
弦高を0.5mm下げたい場合はブリッジサドルを倍の1mm削る必要があります。1mm下げたい場合は2mm、2mm下げたい場合は4mmとこれはいつも倍々の関係です。
ブリッジサドルが殆ど飛び出していない場合は下げることができません。それでもどうしてもという場合はブリッジの木部そのものを削ってサドルを飛び出させる場合もあります。
また、ウクレレはよくトップ落ちを起こします。弦のテンションに負けてブリッジ前部が凹んできてしまい、その分ブリッジが沈んで弦高が下がってしまいます。トップ落ちを直すのはなかなか困難なので、背の高いブリッジサドルを作り変えて弦高を上げることもあります。この場合も0.5mm弦高を上げたいのなら倍の1mmサドルを高くする必要があります。
このように弦高調整はブリッジサドルを削る等の専門的な技術と知識が必要になり、失敗すれば修理が必要になりますので、楽器店のリペアマンにお願いしましょう。
まとめ
弦の素材やゲージを含め、弦交換や弦高調整はサウンドと演奏性に大きく影響します。弦高調整を自分ですることはおすすめしませんが、弦交換は練習の一環だと思いますので回数を重ね、自分にとってベストな張り方を見付けるようにして下さい。
それから様々な弦の素材やゲージを試し、サウンドの違いを体感するのも非常に楽しいと思いますので、是非こちらも試してみて下さいね。