4本の脚・角ばった本体・伸びた2本のアンテナ・不思議な音、と特徴的な本体から摩訶不思議な音が出る電子楽器のテルミンは、20世紀初頭にロシア(当時はソビエト社会主義共和国連邦)で物理学者のレフ・テルミン博士(1896-1993)によって開発されました。
世界最古の電子楽器として有名なテルミンですが、その形状から興味を持っても使い方・演奏方法がわからない方もいるのではないでしょうか?
今回はテルミンの仕組みや使い方などを紹介していきます。
テルミン【電子楽器】の種類
楽器は開発された当初から現代へ至る長い時間の中で、奏者の要望やテクノロジの発達などによって改良が施されることにより、開発された当初の形を保持したまま現代に伝わっている物は少ないと言えます。(開発された当時の姿を保つ古楽器・古楽・古典のジャンルはあります)
先述しましたが、テルミンの開発は20世紀初頭の1920年となっており、時間の経過は少なく、開発当初の形・仕組みがそのまま用いられている楽器となります。
そのため、ケースやサイズの違いはありますが、演奏にかかわる根本的な仕組みは変わっておらず、テルミンの種類は1つと表現することができるのではないでしょうか。
時代や構造で選ぶ場合は以下のように分かれます
- アンティーク(スピーカー内蔵の昔製造されていたモデル、数百万)
- 小型(持ち運べるサイズだが音の発生にはアンプ・スピーカーが必要、5~10万円ほど)
- 自作(ムック本のコンテンツから自分でパーツを揃える物まで様々、比較的安価)
アンティークのテルミンは皆が想像する、冒頭で説明したような形のものになります。
小型のテルミンはスタンドやアンテナが外せる物が多く、単体での持ち運びは便利ですが、練習場所以外で演奏する場合は本体だけではなくスピーカー・アンプを持ち歩く必要があります。
テルミンの自作に関してですが、雑誌の付録として設計図とパーツがセットになって販売されているものから、電気街でコンデンサやスイッチを自力で集めるものまで様々です。
設計や組み立てには電子工作の知識が必要となるので、難しいと感じた場合は完成品を買うかムック本の購入をお勧めします。
テルミンの仕組み
テルミンの最大の特徴として挙げられるのは、テルミン本体に手を接触させず、空間中の手の位置によって音の高さと音量を調節することです。
本体から垂直・水平方向に伸びた2つのアンテナには高周波発振器が接続されており、この発振器の周波数を操作することによって音を発生させ、音の高さや音量を変化させるのです。
テルミンに備わる周波数は固定と可変2つの要素があり、この2つの周波数の差から音となる可聴周波数を抽出して、アンプとスピーカーを介して発音させています。
テルミンの使い方
テルミンの簡単な歴史と仕組みを理解したところで、次は実際の使い方を見ていきましょう。
テルミンは電子楽器ですので電源のある場所で演奏することが前提となります。
電源を確保し、スピーカーがついていないタイプのものはアンプをケーブルでつなぎ、イヤホンジャックがついているタイプのものはイヤホンを繋ぐなどして音を発音できる状態し、テルミン本体から手のひら1つ分くらい後ろに立って演奏します。
本体から水平に伸びているアンテナは音量、垂直に伸びているアンテナは音程を操作するアンテナとなっており、左手で音量を、右手で音程を操作していきます。
左手は上下に動かし、アンテナに触れる(近づける)ことで小さく、離すことで大きく音量を変化させることができます。
右手はアンテナに近づけることで高い音、離すことで低い音をそれぞれ出すことができます。
この右手の使い方・動かし方は奥が深く機種によっては5オクターブほどの音階を奏でることが可能となりますが、微妙な手の開閉によっても音程の変化が発生します。
以上が使い方となります。
ここで、ポイントとなる腕の動きを意識しながら、以下の動画をご視聴ください。
テルミン博士ご自身の演奏をご覧いただきましたが、演奏のイメージはつかんでいただけたでしょうか。
次は練習方法を考えていきましょう!
テルミンの練習方法
どのような楽器にも共通して必要になる練習は、正しい音程で音を発生させることになります。
正しい音程での音を基本としてその上に音のつながりやリズムパターン、早いパッセージの練習が積み重なり、豊かな演奏を行う準備が整うのです。
テルミンにおいては、音階の取り方が独特で一番難しい部分でもありますので、一番練習時間を使うことになります。
わずかな静電気量の違いを演奏に使うため、いつも同じコンディションで演奏できることはありません。
テルミンは音程の変化が起こりやすい、音程の変化が容易な楽器となっているので、いつもの練習環境でなるべく正しい音程での演奏を身に着けることで、違う場所での演奏の際の音程の狂いは是正しやすくなります。
ロングトーンで音階の練習を行う際は、チューナーを見ながら、正しい音程で音を出した際の腕のポジショニングや手の開きを意識して行ってください。
また、ポルタメントのような繋がった音の演奏は得意ですが、細かく刻んだ音を出すには、左手でアンテナに触れなければなりません。
もとの音量の位置から左手を下げ、また上げなければならないので、一定の音量を保つことは難しいと思いますが、最初はゆっくりのテンポ…BPM60ぐらいで4分音符や8分音符の刻みの練習から行ってみてください。
そして、可能であればアマチュアの練習会やプロのレッスンに足を運んで、正しい練習の仕方や演奏・合奏など指導や助言を受けてください。
一人で練習し続けるより何倍も楽しいですしね!
次はテルミンの選び方に関して考えていきます。
テルミンの選び方
「テルミンの種類」でも触れましたが、テルミンは内部の基盤とアンテナ、音の外部出力が揃っていれば極論音は出ますので、様々な種類のものが存在します。
そのため、選ぶ際は自身のやる気と予算が大きく関係してきます。
一先ずテルミンに触れてみたいと考えている場合は、雑誌の付録・ムック本のコンテンツとして発売されているテルミンをお勧めします。
また、電子工作の知識と道具が揃っている場合は自作してみるのもよいでしょう。
触れてみないことにはテルミンがどのようなものかは判断ができないと思いますので、なるべく安価な、お財布に優しい相場で入手するにはこれがベストと判断します。
一度触れてみて続けたいと思っている場合は、持ち運びのできる小型の物を購入しましょう。
アンプやスピーカーなど別途で必要になりますが、他の楽器でも使用することはできるので、無駄にもなりません。
カルチャースクールや練習会、レッスンで購入する楽器を相談してみるのもよいでしょう。
アンティークのテルミンはオークションなどで入手するのが一般的なようです。
ちなみに、日本でも4本脚タイプのテルミンを製造している方はいらっしゃいますが、プロの奏者の方ですので製造は中々追い付いていないようです。
変わり種として、ロシアの民族工芸品であるマトリョーシカの中にテルミンの機構を組み込んだマトリョミンという日本発の小型テルミンも存在します。
演奏してよし、飾ってよしと話題には事欠かないと思われますので、そちらを購入してみてもよいかもしれません。
テルミンのおすすめは
テルミン購入の際、予算が潤沢にあるならば4本脚のテルミンがおすすめです。
スピーカーからの出力だけではなく、4本の脚が床と共鳴してとても綺麗な音色がするそうです。
小型の分類としてはマトリョミンがユニークさを兼ね備えているのでおすすめとなります。
座りながらマトリョーシカを演奏する姿はなんとも心を落ち着かせてくれます!
予算に合わせて自分の心にビビットきたテルミンを購入してくださいね!
まとめ
奥深いテルミンの世界はいかがでしたか?
開発当時は東西冷戦のため演奏者が少なかったテルミンですが、テルミン博士の尽力やそのお弟子さんたちの活躍によってその名前は誰もが一度は聞いたことのあるものとなっているのではないでしょうか。
音程や音量のバランスや速いパッセージなど、苦手としていることは多いテルミンですが、それが苦にならないぐらい素敵な音色のなる楽器となっていますので、ぜひチャレンジしてみてください!