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ファゴット

ファゴットのリードの作り方と調整方法!必要な材料・道具もまとめたよ


ファゴットのリードは何本お持ちですか?1本をダメになるまで使って、ダメになってから新しいものに変えたりしていませんか?

リードを何本も持つには財布が心もとない、沢山あっても使わないなど事情はあるかもしれません。

しかし、ファゴットのリードは材料・道具があれば自分で作れる、ということをご存知でしたか?

自作なら、自分に合ったものを安く作れるかもしれませんし、作り方を学ぶことで、ダメになったリードや市販のリードを自分好みに変えられるかもしれません。

今回は、ファゴットのリードの作り方や必要な材料・道具、覚えておきたい調整方法を見ていきたいと思います。

ファゴットのリードを作るのに必要な材料・道具


ファゴットのリードが植物で出来ているのは見てわかるとおりです。

この植物は何なのか、加工に必要となる道具は何なのか、あわせて見ていきましょう。

ファゴットのリードを作るのに必要な材料

ファゴットのリードの振動部はケーンという蘆(あし)の一種から作られています
この心臓部であるケーンを含めて、必要となる材料は、

プロファイルド舟形ケーン(後述)
リード糸(ナイロン・コットンなど素材は様々)
ワイヤー(太さが0.6 ~0.7 mmの柔らかいもの)
接着剤・トップコート(糸のほつれ防止・息漏れ防止)

以上の4種類となます。

この中でも注目すべきはプロファイルド舟形ケーンです。

これは筒型をした未加工のケーンを、
縦に4等分する
長さをそろえ、裏側を削り薄く奇麗なカマボコ型に整える
左右の無駄な部分を削り、舟型に整える
振動部にあたる部分の表皮を削る

と加工することによって、リード制作の手間を少なくしたケーンになります。

高価な機材を揃えることで、綺麗に加工できるようになる部分を、あらかじめ加工し販売することで、だれでも気軽にチャレンジできるようになっているのは嬉しいですね!

ファゴットのリードを作るのに必要な道具

次はこの加工済みのケーンを使用する場合に必要となる道具を見ていきます。

  • マンドレル(リードの根元に入れて円形にする)
  • リードカッター(リードの先端を切る)
  • プラーク(リードを削る際に挟んで使用する)
  • リードナイフ(リード表面/ブレードを削る)
  • ヤスリ・サンドペーパー(リード表面を削る)
  • 定規(長さを測る)
  • カッター(ケーンの加工に必要)
  • ラジオペンチ(ワイヤーの加工に必要)

以上の8つになります。

身近にある道具から、名前を聞いたことが無いようなものまで様々ですが、用途が似ているものを代用(リードカッターを爪きりで代用)したり、同じ用途のものはどちらかにする(ヤスリ・サンドペーパー)など予算に合わせて選んでみてください!

また、ファゴットやオーボエなどのダブルリードを専門に扱っている楽器店では、リード作成の材料・道具を集めた入門セットを取り扱っている場合があるので、とにかく作ってみたい!と考える方はそちらの購入を考えてみてはいかがでしょうか?

ファゴットのリードの作り方

材料と道具の紹介が終わったところで、次は作り方を見て行きましょう!

  1. ケーンは水に漬け柔らかくしてから加工する
  2. ブレード部分の境目を基準に、表皮の上から下へ寸法を鉛筆で書いていく(一例として上から2mm・7mm・11mm・7mm)
  3. 表皮が残っている根元の部分(厚みのある部分)に縦の切れ込みを6~8本入れる(両側)
  4. ケーン中央に折り目となるよう切れ目を入れ、表皮が表になるよう2つに折る
  5. 折ったケーンの根元にマンドレルを入れ芯にして丸く形成する
  6.  ②で書いた寸法を目安にワイヤーを下から上へ巻いていき、ブレード部分がピタリと合うようにする。
  7. 上から3本目のワイヤー周辺に糸を巻き、接着剤やトップコートで固める
  8. リードの先端をカットし、プラークを挟んで表面を整える

以上、全8工程です!

特に注意すべき箇所は④・⑤のチューブの形成で、②の縦に切れ込みを入れる部分からゆっくりと丁寧に行うことで、失敗を避けることが出来るようです。
心配な方は、③で2つに折った際にブレード部をタコ糸で固定した後、チューブ部分の形成を行ってください!

また、⑧でリードの表面を整える際は、以下の手順で行ってください。
Ⅰ先端のサイドを大雑把に、センターを残すように凸のイメージで両面削る
Ⅱ先端のサイドの角を薄くなるように両面削る
Ⅲ先ほど削った角以外の部分を、センターが山の峰になるよう(いちばん高くなるように)左右片側ずつ20回ヤスリを両面にかける(左右20回ずつ両面で計80回)
ブレード部のサイドの辺を両面20回削る(ブレードの付け根には手を加えない)

その後、試奏を行い

  • 発音が悪い→先端を削る(Ⅱで手を加えた部分)
  • 発音が重い→センターを削る(Ⅲで作った峰は残しながら)
  • 音がかたい→サイド部分を削る(Ⅳで手を加えた部分)
  • リードの振動が足りない→ブレードの付け根のサイドを削る(Ⅳで手を加えていない部分)

と状況に応じて調整を行います。

そして、行うときは必ず楽器に付けて吹きながらバランスを確認して削ってください。

せっかく作ったリードでも、バランスが取れていないと練習でも使えないので、ゆっくり・焦らず・丁寧に行うことを心がけましょう!

ファゴットのリードの調整方法


ここからは、市販の完成品リードや、演奏を繰り返して劣化したリードの調整方法をご紹介します。

上記のようなリードを調整する際は

  1. 先端の開きが大きすぎて息が入らない
  2. 先端の開きが狭すぎて息が入らない
  3. ビリビリと鳴りすぎて響きが強い・軽すぎる
  4. こもりすぎて音が飛ばない・重すぎる

この4つの内、どれに当てはまっているかを確認してください。

①と②の場合はペンチを使います。
①の先端が開きすぎている場合は、先端を狭めるために一番上のワイヤーを挟み、少しずつ力を加えていきます。

②の先端が狭すぎている場合は、先端を少し広げるために一番上のワイヤーを、リードとペンチが垂直になるよう挟み、少しずつ力を加えてください。

③の場合は紙やすりを使います。
紙やすりは300番くらいの粗めの物を用意してください。
紙やすりに対してリードを垂直に立て、左右に10往復し先端を削った後に寝かせて表面を整えます。

④の場合は紙やすりとナイフを使います。
ナイフをブレード部の根元から5mmくらいのところに当て、左右まんべんなく優しく削ります。
反対側も終わったら、最後に紙やすりで削った部分を整えてください。

これらの調整も、吹きながら逐次確認して行いましょう。

まとめ


ファゴット演奏に欠かせないリードの作り方と調整方法をご説明していきました。

ファゴット奏者の目標とされるリード作りですが、市販の完成品やアマチュア・プロの方の手作りのリードも売っているので、自分で作れなくとも演奏活動に支障はありません
そのため、リードは演奏頻度に応じて複数本用意しておけば問題はないともいえます。

しかし、調整方法の説明で少し述べたように、リードは演奏を続けると必ず劣化します

もし劣化してリードがダメになった時が本番直前だったら、何も手を加えていないリードで挑むのと自分が吹きやすいように調整を施してあるリードで挑むのとでは完成度が違ってくるとは思いませんか?

リードの自作・調整は覚えておいて損にはならないスキルですので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。