エレキギターのピック、なんとなく選んでいませんか?ギターピックは種類が豊富で、ギター関連のパーツの中でも特に選び方が難しいですよね。
ついついデザインで選んでしまいがちのピックですが、ピックはギタリストのタッチがそのまま弦に伝わる繊細なアクセサリーでもあります。
本記事では、ピックの種類を通じて、正しいピックの選び方、そしておすすめのピックを紹介します。ぜひ、あなたのプレイスタイルに合ったピックを見つけましょう!
エレキギターのピックの種類は?
エレキギターピックの種類は大きく分けて3つの分類があります。それは
- 形状による分類
- ピックの厚さ
- 材質による分類
です。どちらも音に直結する要素です。下記で詳しく見ていきましょう。
形状による分類
形状とは、形や厚さのことです。ご存知の通りギターピックは形・カラー等のデザインが豊富です。アーティストのオリジナルピックなどがたくさん市販されていますよね。
ピックにはどんな形・厚さがあるのか解説します。
ティアドロップ型
速弾き系エレキギタリスト向き。コンパクトなデザインで、細かい動きが得意なため、速弾きのようなプレイスタイルに最適。
おにぎり型
アコギ系ギタリスト向き。サイズが大きく握りやすいため、力強くストロークしてもピックを落としにくく、ストローク主体のアコギギタリストに選ばれています。
ホームベース型
ハードロックギタリスト向き。70年代のクラシカルなロック~ハーロックギタリストに人気のピック。先端が鋭利な角度なため、ピッキングニュアンスを大切にする繊細なプレイ向きです。
正三角形型
ベーシスト向き。ベースは弦が太いため、正三角形型の大きなピックで、ピッキングを安定させたいと考えるベーシストが多いようです。
サムピック型
指弾きギタリスト向き。サムピックは親指にはめて弾くタイプのピックです。特にアコギギタリストに使用者が多いピックですが、指弾きとピック弾きが両立できるため、エレキギタリストにも愛用者は居ます。
ピックの厚さ
次にピックの厚さです。
厚さは「弾き心地」の他に「ギターの音」に影響が出ます。音に関しては厚さ別に以下のような違いがあります。
Extra Heavy
最も厚いタイプのピックです。メーカーにより数値にバラつきはありますが、おおむね1.2mm以上のものを言います。ここまで厚さがあるとピック自体の”しなり”がほとんど無いため、弦を弾いたときの反応が早く、音量も大きくなります。音の印象は「太い」や「甘い」と表現されることが多い厚さです。
この厚さのピックはジャズギタリストや、速弾きをメインとするギタリストに好んで使われています。
Heavy
1.0mm付近の厚さのピックです。この厚さのピックも速弾き系ギタリスト~タッチのニュアンスを大切にするブルースギタリスト等に選ばれています。ピック自体の”しなり”はそれほど感じられませんが、適度な音量と、ダイナミクス(音の繊細さ)を表現しやすいことから、Mediumとならびユーザーの多いタイプです。音はこちらも丸い印象です。
Medium
0.7mm付近の厚さのピックです。この厚さになってくると、ある程度”しなる”ので、ピッキングの力が分散され、弦が切れにくくなると同時に音もシャープになってきます。ただ、ピックが”しなる”ということは、弦を弾いたときの反応に直結します。しなった分だけ、音の反応は遅くなるため、速弾きよりもニュアンスを大切にするギタリストに好まれる傾向があります。
Thin
0.5mm付近の厚さのピックです。ここまで厚さが薄くなると、ピック自体が十分に”しなり”ます。厚さが薄いと音量はあまり出ませんが、音が軽くなります。”しなり”すぎて弾きにくさを感じるギタリストも多いようですが、この厚さでしか出せない音があります。
コードストローク主体のギタリストなどで、しっかりコードを鳴らしたいギタリストはおにぎり型のThinピックを使う方が多いですね。
材質による分類
続いて、ピックの材質の選び方について解説します。上記で紹介した樹脂ピックに金属ピックの情報も合わせて紹介します。
チタン(金属)
チタンは、金属の中では比較的「軽い」金属です。金属というと硬いイメージがありますが、チタンはそこまで硬度の高い金属ではなく、弾いている際にも削れてきます。ただ、樹脂ピックのように”しなり”は無いため、アタック感は強いものの、硬度が低い為「比較的柔らかい音がする」ピックです。
アルミ(金属)
金属ピックと言うと、メタリックな音がする印象ですが、このアルミピックも金属の中では柔らかい素材です。音も「丸く柔らかい音」と称され、メタルギタリスト以外にも使用者が多いピックです。思いの外削れるのが早い為、コスパはそれほど高くないピックですね。
ステンレス(金属)
ステンレスは硬度が高く加工しにくい金属の為、ピックも高価です。弦に負けない硬度を有しているため、音も無機質で非常に硬い音で音量も出ます。金属系ピック全般に言えることですが、やはりピック自体の”しなり”が無いと、弦を切ってしまう頻度は高くなります。
ナイロン(プラスチック)
出音が丸く、甘い音がするため、アコギギタリストに好まれる傾向があります。素材が柔らかく、Heavyなどの厚いナイロンピックを使用しても太くコシのある音が出ますので、愛用者が非常に多く、ロングセラーのピックとなっています。
INFINIX(プラスチック)
INFINIXは比較的新しいプラスチック素材です。耐摩耗性・柔軟性に優れている為、力強いピッキングで”ピックが変形したまま戻らない”という状態になりにくい特性があります。音は「軽やかな音色」とされています。手に吸い付く感触があり、長時間の演奏でもピックを落としにくいと評判の素材です。
ポリアセタール(プラスチック)
ポリアセタールは耐熱性に優れているため、ピッキングによる摩擦熱でピックが削れたり変形することが比較的少ないピックです。音にも強い癖は無く、比較的軽いサウンドですので扱いやすいピックの筆頭です。また、素材の特徴として指に吸い付く感触があり、手汗の多いギタリストにも愛用されています。
セルロイド(樹脂)
樹脂製ピックの元祖と言われ、100年以上前から使われています。音にクセが無い為、ジャンルを問わず長い間ギタリストに選ばれてきましたが、原料価格の高騰や代替素材の登場で、現在では「この素材で無きゃ!」というギタリストは減ってきています。
ウルテム(樹脂)
「爪の感触に近い素材」とされ、指弾きとピック弾きを行き来するようなギタリストに好まれる素材です。アタック感の強い感触で、たしかに爪弾いたときの音に近いものがあります。「このピックでしか出せない音がある」というファンの多いピックのひとつです。
初心者のピックの選び方
これだけ形状も材質も多種多様だと、いったいどんなピックを選んだらよいか迷ってしまいますよね。
そこで本項では、ピック選びのコツを紹介します。
ピックを選ぶ時に考慮したい点は以下の4つです。
- 摩耗しにくい
- 滑りにくい
- 持ちやすい
- 狙った音が出る
あまり意識されにくい点ですが、「摩耗しにくい・滑りにくい」という観点は重要です。ピックの摩耗は想像以上に早く、摩耗により形状が変化すると、弾き心地も変わってきます。常に安定したピッキングをするには、同じ形状(摩耗が少ない)・同じ状態(変形が少ない)であることが大前提です。
初心者でピックのイロハがわからない状態だからこそ、摩耗・変形の少ないピックを使ってほしいと思います。
また、ピック自体が滑りにくい、という要素はとても大切です。手汗の多くないギタリストでも、指にフィットするという感覚は、当然ギタープレイに影響します。ピックは指の延長ですからね。
というように「プレイスタイルと狙った音」から最適なピックを導き出すことができます。上記で解説した、ピックの形状と材質による音の違いをよく理解してからピック選びに入りましょう。
ピックは指に握って扱うアクセサリーです。ネットや雑誌でどんなにオススメされていても、実物を握ってみないことには、フィット感や弾き心地はわかりません。お伝えしたピックの選び方を参考に、実際に楽器屋さんで好みのピックを探してみましょう。
次に、初心者におすすめのピックを紹介します。
いいサウンドが出る初心者おすすめピック
ピックは「音」だけで選ぶのが難しいアクセサリーです。その種類の多さから、初心者の方は迷いがちでしょう。
そこで、上記で解説したピックの選び方から、これからギターに本格的に取り組むあなたに手に取って欲しいおすすめピックを2つ紹介します。
下記2つをベースに、サウンドやデザインの好みからあなたのプレイスタイルに合ったピックを探してみましょう。
初心者おすすめピック
上記で紹介したピック選びのコツ4項目(摩耗しにくい、滑りにくい、持ちやすい、狙った音が出る)満たす、おすすめピックを紹介します。
※「狙った音が出る」に関しては好みによります。
その1:INFINIXピック
INFINIXピックはピックメーカーMASTER 8 JAPANの新素材ピックです。滑りにくいうえに、耐摩耗性が特に優れ、発売当初からギター界隈では話題となりました。
形状は、おにぎり型・ティアドロップ型・ジャズ型・サムピック型と4種類ラインナップされ、厚さも0.6mm~1.2mmまで用意されています。
ピックに滑り止めの付いた「HARD GRIP」シリーズもあり、手汗の気になるギタリストにも選びやすいピックとなっています。最初の1枚としておすすめできる品質とポテンシャルを持っています。
その2:ポリアセタールピック
ポリアセタールピックは各メーカーから様々なタイプが発売されています。おすすめメーカーは「Terry Gould」です。
Terry Gouldのポリアセタールピックも、摩耗しにくく滑りにくい特徴があり、サイズ・厚さともにランナップが豊富です。
Terry Gouldにも「サンドグリップ」というシリーズがあり、滑り止めのザラザラした素材がピック表面に処理されたモデルがあります。手汗を気にするギタリストには特におすすめです。
ポリアセタールは、材質的に素直な音が特徴ですので、ピックによる音のクセを気にせず使えます。
まとめ
ギターピックの種類と選び方、そしておすすめピックの紹介をしてきましたが、いかがだったでしょうか?
気になるピックはありましたか?
ピックは消耗品ですので、できるだけ安いプラスチック製のピックを選んでしまいがちです。しかし、あなたのプレイスタイルにその素材や形状が合っているかは、弾いてみないとわからないんですね。
上記でお伝えしてきた「ピックの選び方」を参考に、あなたの相棒となるべきピックを探してみましょう。
正しいピック選びができれば、上達も早く、毎日の練習も楽しくなりますよ!