一定のテンポを刻み続けてくれて、練習に役立つメトロノーム。
しかし、ピアノを始めたばかりの人の中には「メトロノームに合わせて練習するといいと聞いたものの、使い方がわからない…」という方もいるのではないでしょうか。
今回はメトロノームの使い方がわからない方に向けて、使用方法をわかりやすく解説します。
メトロノームには機械式のものと振り子式のものがあります。
それぞれの特徴についても説明しますので、購入の際はぜひ参考にしてみてください。
メトロノームの使い方が分からない!機械式の使い方は?
メトロノームとは、指定したテンポの通りに一定の間隔で音を出す機器のことです。
このメトロノームが刻む拍に合わせることで、テンポをキープしたまま曲を演奏することができます。
まずは機械式メトロノームの使い方について見ていきましょう。
機械式メトロノームの使い方
機械式メトロノームのほとんどのものには、表面に小さな画面が付いています。
この画面の中にテンポを表す数字が表示されるので、ボタンを操作して好きなテンポに設定しましょう。
テンポが設定できたら、あとはスタートボタンを押すだけです。指定したテンポの通りに、「ピッピッ」と一定の間隔で電子音が鳴ってくれるでしょう。
メトロノームの使い方がわからないという方も、「簡単に操作できそう!」と思うのではないでしょうか。
4拍子や3拍子など、拍子を設定すると、小節の頭の音を変えてわかりやすくしてくれます。
テンポを表す数字とは?
ここで、数字によるテンポの表し方について解説しておきます。
例えば、機械式メトロノームの画面の中に120という数字が表示されているとしましょう。
これは「1分間に拍を120回刻めるテンポ」を意味しています。
つまり、120に設定してメトロノームを起動すると、「ピッ」という音が1分間に等間隔で120回鳴ることになります。1回あたりの間隔は0.5秒ですね。
楽譜では、以下のような書かれ方をします。
このように書かれていると、メトロノームを120のテンポに設定したときの1拍が四分音符の長さに相当することを表します。
では続いて、機械式メトロノームのメリットやデメリットをご説明しましょう。
機械式メトロノームのメリット
機械式メトロノームのメリットのひとつは、手軽に持ち運びできることです。
手のひらに収まるくらいのコンパクトなものが多く、とても軽いのが特徴です。
その他にも、テンポの細かな設定が可能であることや、5拍子など様々なパターンの拍子に対応できることもメリットです。
この後にご説明する振り子式メトロノームでは、機械式ほど複雑な設定をすることができません。
機械式メトロノームのデメリット
機械式メトロノームのデメリットは、豊富な機能を使いこなすのが難しい点でしょう。
テンポを設定して音を出すだけの最もスタンダードな使い方だけなら簡単なのですが、使いこなそうと思うと、メトロノームの使い方がわからない方にはハードルが高く感じてしまうかもしれません。
また、機械式メトロノームはあまり音が大きくないものが多く、自分の演奏する音でメトロノームの刻む音が聞こえなくなってしまうことがあります。
メリット | ・手軽に持ち運びできる ・テンポを細かく設定できる ・様々なパターンの拍子も設定できる |
デメリット | ・豊富な機能を使いこなすのが難しい ・音が小さめのものが多い |
振り子式の使い方は?
続いて、振り子式メトロノームの使い方についてご紹介します。
おもりの付いた針が左右に振れて拍を刻む、昔ながらのメトロノーム。
メトロノームの使い方がわからない方でも、音楽室で見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。
「カチッカチッ」という音が鳴り、機械式メトロノームの電子音よりもこちらの音のほうが好きという人も多いです。
振り子式メトロノームの使い方
振り子式メトロノームでは、針についているおもりを上下に動かして目盛りに合わせ、テンポを設定します。目盛りに書かれている数値が1分間に刻む拍数を表します。
振り子式メトロノームは機械式のようにスタートボタンを押して起動するのではなく、ネジを巻いて動かすのが特徴と言えるでしょう。
また、拍子を切り替えるためのつまみがついており、2拍子や3拍子、4拍子などの頭の音を強調することもできます。
振り子式メトロノームのメリット
メリットは、振り子の動きが大きく、視覚的にわかりやすいという点が挙げられます。
自分が演奏するピアノの音でメトロノームの音がかき消されてしまうようなときも、振り子の振れを目で確認することでテンポがわかります。
最近では機械式メトロノームでも画面の中に振り子の映像が表示されるものもあります。
ただ、画面が小さく演奏中には見づらいので、この点に関してはやはり振り子式メトロノームほど便利というわけではないようです。
また、振り子式メトロノームの目盛り部分には「Andante」「Largo」などの速度標語が記載されています。
これによって速度標語と具体的なテンポの対応関係がわかるのも便利です。
振り子式メトロノームのデメリット
一方で、デメリットは壊れやすいことが挙げられます。
床に落とすなどして部品がずれてしまうとテンポが狂ってしまうことがあります。その際は修理か買い替えが必要です。
また、振り子の揺れには重力が関係するため、水平なところに置いて使わなくては正しいテンポを刻めません。
さらに、振り子式メトロノームのテンポの目盛りは1刻みではないので、機械式と比べてテンポの微調整がしづらいです。
メリット | ・振り子の動きが大きく、視覚的にわかりやすい ・速度標語とテンポの対応関係がわかる |
デメリット | ・壊れやすい ・水平なところに置かないと使えない ・テンポの微調整がしづらい |
練習に効果的な使い方は?
最後に、メトロノームの使い方がわからない方に向けて、ピアノの練習に効果的な使い方をご紹介します。
正しく譜読みをするために使う
まずは、譜面のリズムを正しく理解するためにメトロノームを活用しましょう。
基本はメトロノームの1拍を四分音符1つ分として、それに合わせて右手・左手の譜面をそれぞれ読んでいきます。
三連符など、1拍の中にたくさんの音符が入る場合も、メトロノームの1拍から音符がはみ出さないようにしてください。
付点音符のリズムを確認する際や、16分音符など細かいリズムが並んでいる際などは、メトロノームの1拍を八分音符ととらえるほうが、裏拍を意識できるのでわかりやすいかもしれません。
状況に合わせて使い分けましょう。
テンポをキープして演奏するために使う
譜読みが終わり、曲を弾くことに慣れてきたら、次はテンポをキープして演奏するためにメトロノームを活用しましょう。
初めはゆっくりなテンポからで構いません。
また、演奏はメトロノームの音が聞こえるくらいの音量でOKです。
自分ではテンポをキープしていたつもりでも、メトロノームに合わせて弾くと、弾くのが難しいところは無意識にゆっくり弾いていたとわかることもあります。
徐々にテンポを上げて練習していき、譜面に指定されているテンポで弾けるようにしていきましょう。
注意:メトロノームに合わせることは最終目標ではない!
メトロノームを使って練習するときに注意してほしいことがあります。
それは、メトロノームにぴったり合わせるのが最終的な目標ではないということです。
譜読み段階のリズム確認や、自分の中にリズム感を覚えさせるためにメトロノームを使うのは効果的ですが、メトロノームに合わせて一定のリズムで弾くのは、音楽的な演奏ではありません。
音楽的な演奏というのは、演奏者の表現の仕方によってテンポが揺れるものであり、その揺れが人の心を動かすのです。
最終的には、自分の表現によってテンポを揺らせるようになることを目標としましょう。
ピアノの練習に効果的なメトロノームの使い方は?
- 初めは、譜面のリズムを正しく理解するために使う
- 曲に慣れてきたら、テンポをキープして演奏するために使う
まとめ
今回はメトロノームの使い方がわからない方に向けて、使用方法を解説しました。
機械式メトロノームと振り子式メトロノームの違いがおわかりいただけたでしょうか。
それぞれのメトロノームにメリット・デメリットがあるので、それを知った上でメトロノームを選ぶといいでしょう。
また、メトロノームを使うのは譜読みや基礎練習に有効ですが、一定のテンポに固執すると機械的な演奏になってしまいます。
メトロノームを使った練習を踏まえた上で、最終的には音楽的にテンポを揺らしながら演奏できるようになるといいですね。