趣味でバイオリンを弾いている方は、楽器のメンテナンスをしているでしょうか。
特に忘れがちなのが弓の毛替えです。弓を買ってから一度も毛替えしていないという人もいるかもしれません。
バイオリンの弓の毛替えはどのくらいの価格でできるのでしょうか。また、自分で行うことは可能なのでしょうか。
この記事では、バイオリンの弓の毛替えについて、価格相場や方法をご説明します。
いいコンディションの楽器で演奏するために、ぜひ弓の毛替えをしてみましょう。
バイオリンの毛替え価格相場は?
バイオリンの弓の毛替えをしたいときは、弦楽器を扱う楽器屋さんへ持っていけば対応してもらえます。
予約が必要なお店もあるため、事前に確認してから行きましょう。
バイオリンの弓の毛替えにかかる価格の相場はどれくらいなのでしょうか。
有名楽器店の毛替えの価格を調べてみました。
なお、弓の毛の種類によって毛替えの価格は変わります。
ここでは、最もスタンダードなモンゴル産の毛で毛替えを依頼する場合の価格をまとめています。
クロサワバイオリン | 5,000円(税別) |
宮地楽器 | 5,400円(税込) |
島村楽器 | 5,700円~(税別) |
バイオリンパレット | 5,500円(税別) |
ヤマハミュージック(浜松店) | 5,500円(税別) |
大体、5,000~6,000円ほどで毛替えをしてもらえるようです。
モンゴル産の毛の他にも、
- シベリア産
- イタリア産
- カナダ産
などの種類があり、これらはモンゴル産の毛よりも毛替え価格が高くなる傾向にあります。
また、子供用の小さな分数バイオリンの弓を毛替えする場合は、大人用のバイオリンの弓よりも毛替えの価格を下げてくれるお店もあります。
楽器屋さんでは、弓の毛替え以外にもバイオリンの様々な修理をしてくれます。
どのような修理をしてくれるのか、また、価格相場はどれくらいなのかを見ていきましょう。
バイオリンの修理種類と相場は?
楽器屋さんで行ってもらえるバイオリンの修理には、以下のようなものがあります。
- 駒の調整
- ペグの調整
- 魂柱の調整
- 指板の接着
- 弓の革巻き
それぞれの修理内容と、主な楽器屋さんでの修理価格をまとめました。
駒の調整
バイオリンの駒は4本の弦を支え、弦からの振動を本体へ伝える大事な役割を持っています。
駒の高さがバイオリンの音色や弦の押さえやすさに影響するので、演奏者の好みに合わせて駒を削り、調整してもらうことができます。
クロサワバイオリン | 2,000円(税別) |
宮地楽器 | 1,080~3,780円程度(税込) |
下倉バイオリン | 5400円~(税込) |
ヤマハミュージック(浜松店) | 4000円~(税別) |
ペグの調整
ペグは、バイオリンの弦の張り具合を調整できる糸巻のこと。
ペグが固くて回すのが難しかったり、逆に緩くてちょうどいいところで止まらなかったりする場合、楽器屋さんで調整してもらえます。
クロサワバイオリン | 1本500円~(税別) |
宮地楽器 | 1,080円~(税込) |
下倉バイオリン | 1本1,620円~(税込) |
ヤマハミュージック(浜松店) | 1本1,000円~(税別) |
魂柱の調整
魂柱は木でできた小さな円柱状のパーツで、バイオリン本体の内部にあり、表板と裏板の間に挟まっています。
表板の振動を裏板へ伝える役割を持ち、この魂柱を少しずらすだけでも楽器の音色が大きく変わるといいます。
まさに楽器の「魂」といえる「柱」なのです。
楽器の音色を調整したいときや、楽器への衝撃で魂柱がずれてしまったときなどは、楽器屋さんで位置を調整してもらいましょう。
クロサワバイオリン | 応相談 |
宮地楽器 | 2,160円~(税込) |
下倉バイオリン | 2,160円~(税込) |
ヤマハミュージック(浜松店) | 3,000円(税別) |
指板の接着
バイオリンの弦を押さえるときに指を置くのが、黒い板でできた指板です。
指板は裏側のネックと接着されているのですが、この接着が剥がれてくることがあります。
そんなときは、楽器屋さんで接着してもらわなければなりません。
クロサワバイオリン | 3,000円~(税別) |
宮地楽器 | 1,620円~(税込) |
下倉バイオリン | 4,320円(税込) |
ヤマハミュージック(浜松店) | 1,000円~(税別) |
弓の革巻き
弓を持つときのすべり止めとして、また弓の保護のためとして、弓元に革が巻かれています。
バイオリンを弾いているうちに指が擦れて革がだんだん傷んでくるので、その際は革を巻き直してもらいます。
クロサワバイオリン | 牛革・羊革 2,000円(税別) トカゲ 3,500円(税別) |
宮地楽器 | 3,240~4,320円(税込) |
下倉バイオリン | 3,240円(税込) |
ヤマハミュージック(浜松店) | 2,000円(税別) |
ここまで、楽器屋さんでの弓の毛替え価格や修理の価格をご紹介しました。
しかし、通販で10,000円ほどの初心者用バイオリンセットを買った方などは、「そこまでお金をかけて毛替えをするのもなぁ…」と思われるかもしれません。
自分でバイオリンの弓の毛替えをする方法はあるのでしょうか。
自分で毛を交換する方法は?
バイオリンの弓の毛替えは、普通は自分で行わず、楽器屋さんに対応してもらうものです。
ですが、安物の弓を使っていて、楽器屋さんに何千円も払って頼むほどではないという方に向けて、自分で毛替えをする方法も調べてみました。
高い弓を使っている方は、弓を壊さないためにも自分では毛替えをしないことをおすすめします!
古い毛を外す方法
まずは、いま弓に張っている古い毛を外しましょう。
手順は以下の通りです。
①弓の持ち手側にあるネジを緩め、フロッグ(毛箱)を外す。
②弓の毛を留めている半月リングを壊さないように取り外す。先端にゴムの付いたプライヤーなどを使うと傷つけにくい。
③貝でできたスライドを引き抜き、その中のプラグ(毛を固定している木片)を取り除く。これで持ち手側の弓の毛が外れる。
④弓先側の毛は、弓の先端のチップについているプラグを取り除いて外す。
新しい毛を取り付ける方法
古い毛を取り外したら、続いて新しい毛を取り付けます。
新しい毛はヤフオクやメルカリなどで手に入れることができます。
①新しい毛をひとまとめにして水に浸し、片方の端を糸で縛る。
②縛った側に松脂の粉を付け、ライターであぶって溶着させる。
③溶着させた毛束を、プラグを使ってフロッグに固定する。半月リングとスライドも元通りに取り付ける。
④フロッグをネジで元通りに固定する。これで持ち手側の毛の取り付けは完了。
⑤弓の毛を櫛などで整えたら、弓先まで長さが足りることを確認し、②と同様に糸で縛ってから松脂の粉で溶着させる。
⑥弓先のチップにプラグで毛を固定すれば完成。
以上がバイオリンの弓の毛替え方法です。
なかなか手間がかかる上、パーツを外す際に壊してしまうと厄介なので、安物の弓を使っているという人は毛替えをしたいタイミングで弓を買い替えるのもありかもしれません。
毛洗いの正しいやり方は?
「安い弓なので楽器屋さんに毛替えを頼みたくないけれど、自分で毛替えをするのも大変そう…」という方のために、もう一つ方法があります。
それは毛洗いをするということです。
この方法も、弓の木の部分にダメージを与えてしまう可能性があるため、高い弓で行うことは避けてください。
毛洗いの方法としては、ネジを緩めてフロッグを弓本体から外してから、固形石鹸や中性洗剤、アルコールなど、油分を分解できるもので洗います。
木の部分に付かないように注意しながら、毛に付着している松脂や手の脂を落としましょう。
髪をサラサラにするためのコーティング成分が入っているシャンプーやリンスは使わないでください。
弓の毛がコーティングされると松脂が付きにくくなり、弾いても音が出なくなってしまいます。
毛洗いの正しいやり方
- 固形石鹸や中性洗剤、アルコールなどで松脂や手の脂を落とす
- コーティング成分の入っているリンスなどは使わない
バイオリンの毛替えの頻度は?
バイオリンの毛替えはどれくらいの頻度で行えばいいのでしょうか。
その人の練習量にもよるのですが、最低でも1年に1回は毛替えをすることをおすすめします。
プロの演奏家では、2カ月ごとに毛替えをするという人もいるようです。
アマチュアの場合はそこまで頻繁にしなくても問題ありませんが、毛替えを長い間していないと、
- 毛が伸び切ってしまう
- 毛の色が黄ばむ、黒ずむ
- 演奏中に毛が切れてしまい、本数が減ってしまう
などの問題が起こります。
発表会や演奏会などがある場合は、そのタイミングで毛替えをするといいでしょう。
本番の1~2週間ほど前に毛替えをしておくと、いい状態で本番を迎えられます。
毛替えの頻度
- 最低でも1年に1回毛替えするのがおすすめ
まとめ
この記事では、バイオリンの弓の毛替えや修理の価格相場、自分で毛替え・毛洗いをする方法などをご説明しました。
自分で毛替え・毛洗いすると費用は安く済みますが、弓を壊してしまう可能性がありリスキーでもあります。
くれぐれも安い弓のみで、自己責任で行っていただくようお願いします。
毛替えをするのをつい忘れてしまい、「前回毛替えをしたのは何年前だっけ?」という状態になってしまうこともあるかもしれません。
毛替えをするとそれだけで音色が変わり、バイオリンが弾きやすくなるということもあります。
音色がいい状態の方が練習も効果的にできるので、ぜひ定期的に毛替えをしてみてください。