楽譜に書かれている言葉の意味、よくわからないなぁと思っていませんか?
頻出する音楽用語の中でもレガートは、モルト レガート、センプレレガート、ノンレガートなどさまざまな種類があり、違いがわかりにくい音楽用語の一つです。
本記事では、ニュアンスの違いがわかりにくいレガートの種類や意味を解説していきます。
モルト レガート、センプレレガート、ノンレガートの使い分けができるようになれば、表現力もアップ!ぜひ参考にしてください。
レガート奏法と種類は?
レガートとはどんな奏法なのでしょうか。
ここでは、レガートの意味と具体的にどのように吹けばいいのかを解説していきます。
レガートの意味と吹き方
レガート(Legarto)とは「音と音の間を空けないでなめらかに演奏する」という意味のイタリア語です。
楽器ごとに表現の仕方が違いますが、管楽器の場合は、最初の音のみをタンギングして、最後の音までタンギングなしでなめらかに吹きます。
最初は「なめらかに吹く」イメージが湧きにくいかもしれません。
なめらかに吹こうして、テンポが落ちたり、音の切れ目が曖昧になってしまい、全体的に緩い感じの演奏になることが特に初心者には多いです。
レガートと書いてあっても、テンポや音の長さはしっかりキープして吹くように注意しましょう。
またトロンボーンはスライドを動かして音を変えるので、タンギングをしないと、音と音の間に余計な音が入ることがあります。
そのため、レガートと書いてあっても柔らかくタンギングする必要があります。
これをレガートタンギングと言います。
息の流れを止めないで、音と音の隙間を極力空けずにタンギングすることでなめらかさを表現する方法です。
- レガートとは、なめらかに吹くこと
- 最初の音のみタンギング、そのあとはタンギングせずなめらかに音をつなげる
- テンポが落ちたり、音の切れ目が曖昧になったりしないように注意
- トロンボーンは柔らかくタンギングする
次は、レガートのさまざまな種類についてチェックしていきましょう!
レガートのさまざまな種類
レガートに限らず、作曲者が曲のイメージを演奏者に伝える音楽用語はバリエーションが豊富です。
レガートの種類をまとめましたので、確認していきましょう。
種類 | 読み方 | 意味 |
legatissimo |
レガーティシモ |
レガートよりもさらになめらかに |
molto legato |
モルト レガート |
非常になめらかに |
legato assai |
レガート アッサイ |
十分なめらかに |
sempre legato |
センプレ レガート | 常になめらかに |
poco legato |
ポコ レガート |
少しなめらかに |
un poco legato |
ウン ポコ レガート |
やや少しなめらかに |
legato non tanto |
レガート ノン タント |
あまりレガートでなく |
non legato |
ノン レガート |
レガートでなく |
レガートには本当にたくさんの種類がありますね。
次は、たくさんの種類の中でもよく使われる「モルトレガート」「センプレレガート」「ノンレガート」の違いについて解説します!
モルトレガート・センプレレガート・ノンレガートの意味と違いは?
レガートにはたくさんの種類がありますが、よく使われるのが、モルトレガート、センプレレガート、ノンレガートの3種類です。
念のために、簡単な意味を復習しておきましょう。
- モルトレガート:非常になめらかに
- センプレレガート:常になめらかに
- ノンレガート:レガートではなく
それでは、もう少し詳しく意味と違いを確認していきましょう。
モルトレガート
モルトレガートは「非常になめらかに」という意味なので、レガートよりもさらになめらかに聞こえなければいけません。
一つ一つの音の粒をそろえることを意識して吹くことが必要です。
音と音の切れ目がなくても、それぞれの音の音量や音質、音色が違ってしまうと、なめらかには聞こえないでしょう。
息の流れを一定にして、同じ大きさ、音質、音色の音をつなげていくイメージで吹きましょう。
センプレレガート
「センプレ」とは「常に」「いつも」「ずっと」という意味で、単独では使われず他の音楽用語とセットで使われます。
センプレレガートとは、「これが書かれたら、それ以降は特にレガートの表記や記号がなくても、常にレガートをかけなさい」という意味です。
「センプレ」を使って音楽用語を適度に省くと、楽譜がスッキリ見えますね。
ノンレガート
ノンレガートとは「レガートではない」という意味ですから、音と音の切れ目を意識的に作る必要があります。
だからと言ってスタッカートほど短く切るわけではないことが注意点です。
また、スタッカートは「跳ねる」感じですが、ノンレガートは音の形が均一であることを求められるので、「跳ねる」ニュアンスはありません。
音の表情にも違いがあると言うことですね。
まとめ
今回はレガートの種類、特にモルトレガート、センプレレガート、ノンレガートの意味や違いについて解説しましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
音楽用語は、ただでさえ種類が多い上、時代や作曲家によって使い方が異なることもあり、苦手意識を持っている人も多いと思います。
でも、音楽用語は、作曲家がどのような思いで、どのように曲を演奏して欲しいのかを理解する手がかりになるのです。
音楽用語を覚えることは、より豊かな音楽表現をするために、楽器の練習と同じくらい重要なことなので、わからない言葉が出てきたら、楽典の本で毎回しっかり確認することをおすすめします。
焦らず少しずつ覚えていきましょう。